スキルス胃癌の微小環境構築・腹膜播種を阻止するためのレクチン含有細胞外小胞の開発
Project/Area Number |
21K08722
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55020:Digestive surgery-related
|
Research Institution | The Noguchi Institute |
Principal Investigator |
土田 明子 公益財団法人野口研究所, 研究部, 研究員 (70378024)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八須 和子 (広瀬和子) 公益財団法人野口研究所, 研究部, 研究員 (30625447)
井手尾 浩子 公益財団法人野口研究所, 研究部, 研究員 (90180322)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
|
Keywords | 細胞外小胞 / miRNA解析 / 腹膜中皮細胞 / 血管内皮細胞 / 糖脂質 / 複合体形成 / 蛍光標識 / 胃癌 / 腹膜転移 / ガレクチン |
Outline of Research at the Start |
胃癌の腹膜転移は予後に大きく関わるものの、その制御機構に関しては未だ解明されていない。近年、癌転移を促進する要因として細胞外小胞の関与が提唱されており、胃癌の腹膜転移においても細胞外小胞の役割解明および標的細胞への集積阻止は重要な課題である。我々は糖鎖認識分子であるガレクチ-4の発現が腹膜転移に大きく関与することをin vivo実験から既に見出しており、ガレクチン-4が細胞外小胞上にも局在する事を確認している。 本研究では、高転移性胃癌細胞株が分泌する細胞外小胞のガレクチンや糖鎖の変化に着目し、腹膜転移の引き金となる中皮細胞への細胞外小胞集積メカニズムの解明を行い、腹膜転移の阻止を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高転移性胃癌細胞が分泌する細胞外小胞の性状および機能解析を行い、腹膜中皮細胞を標的化する際にガレクチン-4が関与するかを明らかにすることを目的とする。また、ガレクチン-4発現細胞とKO細胞が分泌する細胞外小胞を比較することで、腹膜転移を促進させるメカニズムの解明を目指す。当該年度は、まず各NUGC4細胞クローン株(wild株, Mock株, KO株, Rescue株2種)の細胞外小胞の精製しWestern Blottingによる特性解析を行った。各細胞外小胞の重要タンパク分子の発現について調べたところ、いずれもCell Lysatesにおける発現パターンとほとんど変わらないことが分かった。一方、各細胞外小胞上の糖脂質についても解析を進めた結果、各細胞株における糖脂質発現パターンと同様に、腹膜播種を起こすwild株パターンと腹膜播種を起こさないKO株パターンに大別できることが明らかになった。各細胞株由来の糖脂質はそのまま細胞外小胞の膜を形成し、受容細胞に取り込まれた後にもリサイクルされ受容細胞の膜の一部になる可能性が高いことから、癌の悪性化を伝承する可能性も考えられた。次に細胞外小胞に含まれるマイクロRNA (miRNA)に着目し、受託解析によりNUGC4細胞の腹膜転移に関連するmiRNAの有無を調べることにした。NUGC4 cells由来エクソソームが癌微小環境構築にどのように関与するのかを解明する手がかりが得られると考えられた。miRNA解析の結果からは細胞外小胞の癌悪性化への関与が示唆された。しかしながら、血管内皮細胞や腹膜中皮細胞を用いた評価では、顕著な微小環境構築はまだ確認できていないのが現状である。今後の展開として、これまでに顕著な変化が見られている細胞膜上糖脂質とガレクチン-4の働きに着目して、腹膜播種を促進させるメカニズム解明を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、各NUGC4細胞クローン株(wild株, Mock株, KO株, Rescue株2種)の細胞外小胞の精製し特性解析を行うとともに、細胞内小胞に包接されているマイクロRNA解析を行った。各細胞外小胞の重要タンパク分子の発現について調べたところ、腹膜播種を起こす株ではcMETの発現が亢進していること、起こさない株ではFlotillin-2, CD81, CD63の発現が少し亢進していること、KO株ではCD44の発現が減少していることなどが明らかになったが、いずれもCell Lysatesにおける発現パターンとほとんど変わらなかった。一方、各細胞外小胞上の糖脂質について解析を進めた結果、各細胞株における糖脂質発現パターンと同様に、腹膜播種を起こすwild株パターンと腹膜播種を起こさないKO株パターンに大別できることがわかった。細胞膜上糖脂質について質量分析法により詳細な解析を行い特徴的な糖脂質構造を同定することができた。次に細胞外小胞に含まれるmiRNAに着目し、NUGC4細胞の腹膜転移に関連して変動するmiRNAの有無を調べた。具体的にはWild株、KO株、Rescue株のmiRNAを抽出してターゲット解析やパスウェイ解析などを行うことにより、これらのクローン株間で変動する約150のmiRNAが見つかった。癌の悪性化に寄与する血管新生やアポトーシス、TGFbeta-signalingなどのがん関連パスウェイに関わる遺伝子が変動していた。よって、miRNA解析の結果からは細胞外小胞の癌悪性化への関与が示唆された。しかしながら、血管内皮細胞や腹膜中皮細胞を用いた評価では、MMP-2やTIMP-2の発現が少し亢進することや、TGFbeta 受容体の発現量が変化することが明らかとなっているが、顕著な微小環境構築はまだ確認できていないのが現状である。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果から、細胞膜上の糖脂質の組成が腹膜播種に関連している可能性を見出しており、さらに今年度は腹膜播種能に関連して変化する特徴的な糖脂質構造を同定することができた。この糖脂質構造がガレクチン-4との協働することにより膜上の受容体発現を制御し、癌の悪性化をコントロールしている可能性も考えられる。今後は、同定した糖脂質構造を合成する糖転移酵素に着目し、糖転移酵素遺伝子の発現を制御して、細胞膜上の糖脂質の構造を改変することで細胞の悪性化を抑制できるか調べる。その場におけるガレクチン-4の役割を明らかにすることで、腹膜播種を促進させるメカニズム解明を目指す。さらに、糖脂質改変による細胞の癌悪性化制御が可能となったらマウスを用いたin vivo実験を行い、腹膜転移の阻止を目指す。
|
Report
(2 results)
Research Products
(1 results)