Development of a new treatment using alpha-lipoic acid derivative for radiation dermatisis
Project/Area Number |
21K08737
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55020:Digestive surgery-related
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
河野 洋平 大分大学, 医学部, 准教授 (90572008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪股 雅史 大分大学, 医学部, 教授 (60315330)
衛藤 剛 大分大学, 医学部, 准教授 (00404369)
相場 崇行 大分大学, 医学部, 医員 (10896012)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 放射線性皮膚炎 / αリポ酸 / 抗酸化 / 放射線皮膚炎 |
Outline of Research at the Start |
放射線治療は頭頚部癌、乳癌、食道癌、皮膚癌など多くの癌腫において標準的に行われている。放射線治療の副作用のうち放射線皮膚炎は放射線治療を受ける患者で最も頻繁にみられ,多くの癌患者がその急性期および晩期障害に苦しんでいるが、その対策はいまだ十分ではない。我々がこれまで抗癌剤脱毛対策として研究を続けてきたαリポ酸誘導体は大気中で安定した強力な抗酸化物質であり、酸化ストレスがメカニズムに強く関与する放射線性皮膚炎に対して皮膚への塗布製剤としての使用による効果が期待される。本研究ではαリポ酸誘導体の放射線性皮膚炎に対するメカニズムについて動物モデルを用いて解明し、さらに臨床的有効性を評価する。
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Outline of Annual Research Achievements |
放射線治療の副作用としての皮膚炎に対する有効な治療法はいまだ確立されていない。酸化ストレスがメカニズムに強く関与する放射線性皮膚炎に対して皮膚への塗布製剤として適した強力な抗酸化物質αリポ酸誘導体は、臨床的効果が期待される。本研究ではαリポ酸誘導体DHL-HisZnの放射線性皮膚炎に対するメカニズムを解明し、臨床的有効性を評価する。 2021年度の研究としては、αリポ酸誘導体の経皮投与による皮膚変化を病理学的に詳細に検討することとした。放射線性皮膚炎における急性期では、酸化ストレスが関連する血管透過性亢進により浮腫性変化が生じることが報告されており、作成に放射線照射を要する放射線性皮膚炎モデルでの検討の前に、これまで研究実績があり簡便に皮膚の酸化ストレス状態を誘導できる抗癌剤投与動物モデルを用いて、皮膚変化を観察した。1%αリポ酸誘導体を抗癌剤投与前後に背部皮膚に塗布し、抗癌剤投与後24時間の時点で、2光子顕微鏡を用いて生体皮膚における蛍光ラベルしたデキストランの血管外漏出の程度を観察したところ、αリポ酸誘導体は有意に血管外漏出を抑制し、酸化ストレス環境における血管透過性亢進を制御しうることを確認した。また皮膚浮腫を反映しうる皮膚組織厚を測定し、αリポ酸誘導体投与は亜急性期において、抗癌剤投与による皮膚組織厚上昇を抑制する傾向も確認した。2022年度の研究では、皮膚組織において毛包再生を促すInsulin like growth factor(IGF)を検討し、αリポ酸誘導体が酸化ストレスによるIGF産生抑制を軽減し、ダメージからの皮膚再生を促すことを明らかにした。さらに免疫染色にて皮膚アポトーシス部位を検討し、αリポ酸誘導体は抗がん剤投与による血管内皮細胞のアポトーシス誘導を制御することを確認し、この機序により血管透過性亢進を抑制する可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では放射線照射マウス皮膚炎モデルを作成し、皮膚の酸化ストレスによる変化に対してαリポ酸誘導体の効果を検討する予定であったが、セシウムを線源とした放射線30Gyを照射するモデルの作成の困難性があり、簡便に皮膚酸化ストレスを誘導する抗癌剤投与マウスモデルを用いて、αリポ酸誘導体の効果を検討した。放射線皮膚炎でも生じることが明らかとなっている酸化ストレスに起因する皮膚血管透過性亢進病態に対しαリポ酸誘導体経皮投与はこれを抑制する可能性を示し、さらにその作用機序は皮膚血管の内皮細胞アポトーシス誘導の制御であることを明らかにすることができた。放射線性皮膚炎に対する効果の証明にまで至っていないが、類似の皮膚病態である抗がん剤脱毛などの皮膚障害に対するαリポ酸誘導体の効果を明らかにし、ここまでの研究成果を論文化し、報告まで至っていることから、おおむね順調に進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
放射線性皮膚炎動物モデルの作成が可能となれば、放射線障害としての皮膚酸化ストレスに対するαリポ酸誘導体DHL―HisZnの効果を検討する。10週例BALB/Cマウスの背部を剃毛し、コントロール群、放射線照射単独群、放射線照射+DHL-HisZn投与群の3群に分け、放射線照射単独群と放射線照射+DHL-HisZn投与群はセシウムを線源とした放射線30Gyを背部の1㎝径円形範囲に一回照射する。DHL-HisZn投与群はさらに放射線照射後1日目から照射後30日目まで計5日間、1日1回50μlのDHL-HisZn含有軟膏(0.1%、0.5%、1%、2%)を塗布する。放射線皮膚炎急性期の評価として、放射線照射30日後に犠死させ背部組織を採取し、炎症、アポトーシス、酸化ストレスマーカーの評価を行う。さらに晩期障害の評価として放射線照射後比較的期間をおいた(半年~1年)マウスモデルから背部皮膚組織を採取し、組織学的炎症の評価とともに、RNAを抽出し、炎症性遺伝子(ccl2, il1b, il6)の発現程度を比較検討する。またマイクロアレイハイブリダイゼーションオーブンを用いて遺伝子発現の変動についてGeneSpringソフトウェアを用いてDHL-HisZnのRNAにおける効果を網羅解析する。放射線照射による晩期障害に対するαリポ酸誘導体の効果を判定するとともに、そのメカニズムを解明する。放射線性皮膚炎モデル作成が難しい場合は、これまでの研究成果の特徴をさらに掘り下げることとし、抗がん剤誘発皮膚障害に対するαリポ酸誘導体の効果を臨床研究にて行う。特に皮膚血流が豊富で障害をきたしやすく、脱毛、炎症などの変化が観察しやすい頭皮において、αリポ酸誘導体の皮膚障害への効果を明らかにする。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)