Project/Area Number |
21K08924
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55050:Anesthesiology-related
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
村田 寛明 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (90437856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上園 保仁 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20213340)
宮野 加奈子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (50597888)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | オピオイド / レミフェンタニル / フェンタニル / 脱感作 / オピオイド受容体 / 急性耐性 / 痛覚過敏 / 細胞内局在 |
Outline of Research at the Start |
モルヒネ、フェンタニル、レミフェンタニルなどのオピオイド鎮痛薬はオピオイド受容体作動薬であり、強力な鎮痛法として臨床現場で幅広く使用されている。オピオイド鎮痛薬は、使用目的や副作用を考慮し、ある1種類の単独使用ではなく異なる種類を順次投与していく場面が多いが、この際に急性耐性や痛覚過敏といった現象によりオピオイド鎮痛薬の効果が減弱することが克服するべき課題である。本研究では、オピオイド鎮痛薬の投与により生じるオピオイド受容体の細胞内分布の変化に着目して、より効果的に鎮痛効果を得られるオピオイド鎮痛薬の順次投与の方法を分子生物学的に解析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
μオピオイド受容体(MOR)に作用するオピオイド鎮痛薬のうち、周術期に用いられるレミフェンタニル(RF)とフェンタニル(FEN)について、両薬剤を順次投与した場合のMORの活性変化に関して、MORを安定発現するHEK293細胞株を用いて解析した。同一濃度のRFを反復投与した場合、3 nM以上の濃度では、2回目投与時のMOR活性化の低下(脱感作)を認めた。FENで同様の投与を行うと、1 nM以上で脱感作を認めた。すなわち、FENはRFより脱感作を生じやすかった。さらに同一濃度のRFおよびFENによる脱感作の程度を比較したところ、1 nMで最も差異を認めた。一方で、MORの細胞質内への取り込み(internalization)は、FENよりもRFで強力に生じた。 さらに2回目の投与で1回目と同等のMOR活性反応を得るのに必要なRFおよびFENの濃度を検討した結果、1回目RF(3 nM)の場合2回目RFは10 nM必要であった。一方、1回目FEN(1 nM)の場合2回目FENは10 nM、1回目FEN(3 nM)の場合2回目FENは100 nMを必要とした。1回目と2回目で薬剤を変更したところ、FEN投与後にRFを投与すると、FENを連続投与した場合よりも脱感作を生じやすい傾向が観察された。一方、RF投与後にFENを投与した場合、RFを連続投与した場合よりも脱感作を生じにくかった。 これらの現象について分子機序を解明するために実施したcAMPアッセイやβアレスチンのリクルートメントアッセイでは、RFとFENの間に差異を認めなかった。そこで、異なる視点からの解析としてRFおよびFENのMOR結合部位に関する分子力学的in silicoシミュレーション解析を実施した。その結果、両者のMOR結合部位はわずかに異なり、結合によりMOR分子に異なる構造変化が生じることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RFに引き続いてFENを投与すると効率的に鎮痛効果を得られることを示唆する現象が観察され、RFやFENによるβアレスチンを介したシグナル伝達機構は明らかに異なる脱感作およびinternalizationのプロセスを生じることが示唆された。また、これらの分子機序としてRFおよびFENのMOR結合様式の差異によるMOR分子の構造変化が関与していることが示された。研究の目的を達成に寄与するデータが順調に蓄積されているため、このように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で見出された、レミフェンタニル投与後のフェンタニル投与が脱感作を抑制するという現象は、臨床的に有意義な結果である。この現象に関与する分子機序としてレミフェンタニルおよびフェンタニルのMOR結合部位の違いとそれによるMOR分子構造変化の違いが関与していることが示唆される結果を得た。βアレスチンのリクルートメントアッセイに関して、RFとFENの間に差異は認めなかったが、βアレスチンはMORの脱感作およびinternalizationに関与している。したがって、MORの構造変化の違いがβアレスチンのリクルートメント後のシグナル伝達調節に影響を与えている可能性がある。この点を明らかにすることは、本研究課題において重要であると考え、さらに時間を使って詳細に検討することが望ましいと判断した。
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