Project/Area Number |
21K09161
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56010:Neurosurgery-related
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
田中 俊英 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (90301530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤崎 安晴 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (00256322)
佐々木 光 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (70245512)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | Bevacizumab / Glioblastoma / Tumor microenvironment / Angiogenesis / neoadjuvant chemotherapy / VEGF / bevacizumab / glioblastoma / tumor microenvironment / immune checkpoint / angiogenesis |
Outline of Research at the Start |
悪性神経膠腫腫瘍の増殖・浸潤にVEGFが不可欠であり、その抗体であるベバシズマブ(Bev)の抗腫瘍および耐性メカニズムの解明が急務である。Bev奏功時・Bev耐性時に得られた手術標本を用いて腫瘍微小環境・病理組織所見・遺伝子プロファイル・免疫監視機構因子を比較し、Bevと免疫治療の併用療法の有用性や治療効果予測マーカーを明らかにし、治療の層別化を図ることを目的とする。本研究の成果は、免疫チェックポイント阻害剤や樹状細胞ワクチン治療など免疫治療との併用療法などの新たな治療への発展と他癌腫の治療にも広く応用できることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
引き続き初発神経膠芽腫症例を対象にして、Bev治療介入前の腫瘍摘出術(naive-Bev)・Bev使用直後に画像上で腫瘍縮小効果を確認後の腫瘍摘出術(neo-Bev)・Bev治療後再発時の再手術または病理解剖 (refractory-Bev)の3つの条件下の腫瘍摘出標本を用いて、幹細胞マーカー(nestin, FOXM1)・内皮細胞マーカー(CD34)・腫瘍随伴マクロファージ(CD163)の発現レベルを免疫組織染色法 (IHC)で比較解析を継続している。香川大学の協力のもとneo-Bev投与前後におけるFMISO-PET画像のデーター収集に努め、IHCによる低酸素マーカー(CA9)や免疫系細胞マーカー(CD163, Foxp3)・免疫チェックポイント分子(PD-1, PD-L1)の発現レベルをFMISO集積との比較分析を行い、論文発表した(Suzuki T et al World Neurosurg 2023)。慶應義塾・香川大学との多施設共同研究によるneo-Bev投与後開頭手術に関する探索的第2相前向き臨床試験は、登録後2年が経過し臨床情報の解析を行った。第82回日本脳神経外科総会、第82回日本癌学会総会、第61回日本癌治療学会、第41回日本脳腫瘍学会で口演発表した。生命予後・画像所見上の改善度を評価し、Bev治療後のT1造影とFLAIR画像上の腫瘍容積縮小率や生命予後とIHCで得られた組織学的所見を対比した。また膠芽腫に対する樹状細胞免疫治療の臨床研究登録症例数は60例を超え、治療成績の評価と予後を層別化すべく予後良好と不良群の標本を用いて遺伝子解析を行い、予後予測バイオマーカーの候補遺伝子を抽出し論文発表した(Takei J et al Cancer Immunol Immunother 2023)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Neo-Bev症例の開頭手術例の症例数を追加し、免疫組織染色法 (IHC)により、幹細胞性に寄与する転写因子であるFOXM1及びM2腫瘍随伴マクロファージ発現レベル(CD163)とTMEの酸素化および生命予後との関連について解析中である。またパイロット試験として予後良好・不良症例における空間マルチオミクス解析を施行したところsirtulin6 (SIRT6)の予後予測因子としての可能性が示唆された。Neo-Bev症例の標本解析から予後不良症例で高発現することが明らかになったFOXM1と併せて解析を進めている。一方で、膠芽腫症例の画像上FLAIR高信号の意義は未だ明らかではないが、本研究を通じてT1造影とFLAIR高信号領域における病理学的所見を対比し解析した結果、FLAIR高信号領域ではCD163 陽性細胞の浸潤が顕著であった。腫瘍浸潤に加え炎症による浮腫が惹起されている病態を反映している可能性が示唆された。 更に「血管の分化」の指標となるERG (erythroblast transformation specific related gene)発現に着目した。VEGFで誘発される腫瘍血管ではERG発現が誘導されることが知られている。Bev治療介入前の腫瘍摘出術(naive-Bev)・Bev使用直後の腫瘍縮小効果を確認後の腫瘍摘出術(neo-Bev)・Bev治療後再発時の再手術または病理解剖 (refractory-Bev)の3つの条件下での腫瘍摘出標本を用いて、内皮マーカー(ERG・CD34)およびVEGFとそれ以外の血管新生因子(Angiopoietin-1/2, fibroblast growth factor, EphA2)の発現レベルを比較分析し、初回手術と再発時の発現レベルの相違を解析した。現在論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍免疫抑制サイトカインであるVEGFに対する阻害剤であるBevを併用することにより腫瘍免疫賦活作用が期待できるため、樹状細胞免疫治療との併用治療の上乗せ効果について解析する。治療介入症例から得られた腫瘍摘出標本を用いた解析研究へ発展させる。Bev付加の有無によりT細胞、マクロファージを含む免疫担当細胞の表面マーカーの発現レベルを比較分析することにより、免疫学的腫瘍微小環境を評価する。腫瘍細胞や微小血管・壊死巣とこれら細胞の局在・浸潤範囲を網羅的に解析する。 またFOXM1の予後予測バイオマーカーとしての有用性を検証すべくBev治療後の無病増悪期間や生命予後との関連についても引き続き症例数を蓄積して解析を継続する。Bev治療後の再発症例の手術標本及び病理解剖標本についても、neo-Bev後の再発症例に対する再手術や病理解剖は稀でありペア標本を得ることは困難なため、今後はペア標本にこだわらずに症例数を蓄積して解析を進める。 更にペア標本を用いた解析対象とする因子を、治療標的である内皮増殖因子(VEGF)及びその受容体(VEGFR)に加えVEGF以外の血管新生因子 (bFGF, angiopoietin, Eph A2)や制御性T細胞(Foxp3), CD8陽性T細胞、腫瘍随伴マクロファージ(CD163)、免疫チェックポイント因子など免疫監視機構調節因子の解析項目も解析対象とする。また予遺伝子発現の網羅的解析についても、腫瘍微小環境が組織形態を反映していることを鑑み、従来の凍結塊の解析だけでなく組織切片から解析部位を特定する空間オミクス解析が不可欠になり、本研究の如く、治療介入前後のペア標本を蓄積することの重要性が今後益々高まると予想される。
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