慢性脳低灌流を加えた新規認知症モデルの開発と内皮機能障害メカニズムの解明
Project/Area Number |
21K09169
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56010:Neurosurgery-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中瀬 泰然 東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (60390928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板東 良雄 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (20344575)
清水 宏明 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (20506638)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 病態モデル / アルツハイマー病 / 慢性脳低灌流 |
Outline of Research at the Start |
アルツハイマー病 において、アミロイドβ 蛋白沈着を促進させる要因として動脈硬化による慢性脳低灌流やエストロゲンなどの性ホルモンによる血管内皮機能障害の関与が示唆されている。しかしこれまで、慢性脳低灌流による血管内皮機能障害と性ホルモンの関与する血管内皮機能障害との直接的な連関は明らかになっていない。そこで本研究では実際のアルツハイマー病患者さんの病態に近いラットの新規アルツハイマー病態モデルを用いて、血管内皮細胞-pericyte -astrocyte の細胞間連絡に生じる異常を分子レベルで解明し、「エストロゲン低下による血管内皮機能障害が慢性脳低灌流により助長され神経細胞障害が促進される」ことを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度も引き続きCOVID-19感染対策による診療業務の増加や会議への移動出席などの制約により十分な実験時間を確保できなかった。一方で、加齢に伴い血液脳関門の機能低下が予想され、当初推測していた慢性低灌流モデルに近い病態を観察できると考え、24か月齢の高齢マウスを用いた大脳の免疫組織染色の実験を、加齢によるコネキシン蛋白発現の変化や白質病変との関連を明らかにする目的で、開始した。また、実臨床における白質病変の重要性を検証するため、アルツハイマー型認知症および軽度認知障害症例を対象に、認知機能障害の各症状および認知症周辺症状と白質病変の分布領域との関連を検討した。その結果、認知症の中核症状と白質病変との相関は認めず、易怒性・徘徊・脱抑制など過活動性の周辺症状が両側性多発性白質病変と強い関連を示すことを明らかにした(Nakase T, et al. Association between Gray and White Matter Lesions and Its Involvement in Clinical Symptoms of Alzheimer's-Type Dementia. J Clin Med. 2023 Dec 12;12(24):7642)。また認知症患者から得た血液サンプルの解析より、アミロイドβの蓄積と認知機能低下には脳卒中既往の有無関係なく相関を認めたが、ニューロフィラメント軽鎖は脳卒中既往のない症例でのみ認知機能低下と相関し、アストロサイト関連蛋白は脳卒中既往ある症例でのみ認知機能低下と相関を認めた。血液バイオマーターでも白質病変と小血管病変との関連を示唆する結果を証明できた(2023年日本内科学会にて発表)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19感染予防対策のため臨床業務に時間を取られたため、実験時間を十分確保できなかった。そのため慢性虚血モデルを完成させることができず、代替え策として24か月齢の高齢マウスを用いて大脳の免疫組織染色を行なっている。高齢によるコネキシン蛋白発現の変化や白質病変との関連を明らかにする予定である。一方で、アルツハイマー型認知症患者の脳画像解析を行い、また、実臨床における白質病変の重要性を検証するため、認知機能障害の各症状および認知症周辺症状と白質病変の分布領域との関連を検討し、過活動性の認知症周辺症状が両側性多発性白質病変と強い関連を示すことを明らかにして報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
高齢マウス脳病理を免疫組織染色にて解析し、血管内皮やアストロサイト、神経細胞におけるコネキシン蛋白発現の変化を明らかにする予定。加齢に伴い血液脳関門の機能低下が予想され、当初推測していた慢性低灌流モデルに近い病態を観察できると考えている。さらに、脳動脈硬化による慢性脳血流低下状態が推測される糖尿病を合併したアルツハイマー型認知症患者について、症状推移や脳画像変化を観察し、実験モデルで得られた結果と比較することで実臨床における白質病変の病態を解析する予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(8 results)