Project/Area Number |
21K09176
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56010:Neurosurgery-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
道上 宏之 岡山大学, 中性子医療研究センター, 准教授 (20572499)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | ホウ素中性子捕捉療法 / 悪性脳腫瘍 / ホウ素薬剤 / 悪性腫瘍 / グルコース輸送体 / プレシジョンメディスン / 創薬研究 / 糖輸送体標的薬剤 / 抗がん剤 |
Outline of Research at the Start |
BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)は、標的となる悪性腫瘍細胞へホウ素薬剤を導入させ、同部位に中性子を照射し、ホウ素と中性子の核反応により腫瘍細胞を殺傷する細胞レベルのがん治療法である。しかし、現在臨床に使用可能なホウ素薬剤は、アミノ酸(フェニルアラニン)にホウ素を結合させたBPAのみである。我々の問いは、「ホウ素薬剤はBPAの1剤で充分か?」 である。今回、BNCTにおける治療の向上へ向け、ホウ素薬剤においても同理論が適応可能と考え、ホウ素薬剤の多剤併用を目標とした新規ホウ素薬剤の開発へ取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)は、標的となる悪性腫瘍細胞へホウ素薬剤を導入させ、同部位に中性子を照射し、ホウ素と中性子の核反応により腫瘍細胞を殺傷する細胞レベルのがん治療法である。BNCTは、2020年3月に加速器中性子源の医療機器承認、ホウ素薬剤の薬事承認、2020年6月より関西BNCT共同医療センターなど国内2か所で、再発頭頚部癌に対し世界初のBNCT保険診療を開始、続いて再発悪性神経膠腫にて申請段階である。 現在のBNCT使用のホウ素薬剤は、アミノ酸(Phe)にホウ素(10B)を付けたBPA(Borono PhenylAlanine)1剤である。癌高発現のアミノ酸輸送体(LAT-1)を介して腫瘍細胞内部へ導入されるが、その取り込みは腫瘍組織内で不均一であり、取り込みのない腫瘍細胞よりの再発が問題である。BNCTは、米国で生まれ、日本で発展し開花した、世界に誇るべきトップレベルのがん医療技術である。BNCTは、放射線治療に加えてホウ素薬剤の腫瘍への高集積性という化学療法の側面が強く、腫瘍細胞への特異的かつ高効率なホウ素薬剤の取り込みが治療の成否を担う今回我々は、悪性神経膠腫予後不良疾患にて高発現のグルコース輸送体(GLUT)に着目し、GLUTを介しての腫瘍特異的な取り込み能を有する新たなホウ素薬剤の(糖ホウ素製剤)開発へ着手する。同時に腫瘍組織の遺伝子解析にて、ホウ素薬剤の標的遺伝子を新たに探索・決定する。今後、複数のホウ素薬剤(糖-ホウ素薬剤+BPA併用)を用いた新規プレシジョンBNCTへの前臨床研究を本シーズにて行う。新規ホウ素薬剤による数種類の細胞株への取り込み評価を行い、イメージングでの細胞内部の取り込み評価を行った。更に動物モデルによる薬物動態評価を行い、経時的な検証を行い、新規薬剤の効能効果の検証に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BNCTにおける治療成功の可否は、腫瘍組織・腫瘍細胞への薬剤の取り込みに大きく依存する。医療承認のホウ素薬剤BPAは、アミノ酸輸送体(LAT-1)を介して腫瘍集積性を示すが、腫瘍組織でのLAT-1発現は不均一であり、BPAの低い集積部での再発が問題である。私は複数のホウ素薬剤によるBNCTへのホウ素多剤併用療法を念頭に、第一世代ホウ素薬剤BSHに注目し、本プロジェクトを構築した。 BSHは、1分子内の高いホウ素含有率と高水溶性(BPAの100倍以上)を有しており、BNCT臨床研究の使用実績がある。一方、細胞内導入能が無く、腫瘍特異性が低いため近年では使用されてない。 BSHはこの2つの問題点を克服すれば新規のホウ素薬剤に最も近く、GLUTを標的とする糖類ホウ素薬剤開発の着想に至った。同時に、GLUT高発現の膠芽腫患者は予後不良であるため、今後の2剤併用のBNCTが、予後延長に寄与すると考えられる。 バイオインフォマティクスにて、各種がんにおけるアミノ酸輸送体やグルコール輸送体の発現について、がん横断的検証を行い、アミノ酸輸送体の発現の低下してるがんにおけるグルコール輸送体の発現関連についての検証を行った。更に、グルコース結合型のホウ素薬剤投与により、標的細胞株での高いホウ素薬剤の取り込みを確認した。また、がん微小環境における組織糖濃度に注目し、細胞増殖に影響の無い環境下における糖結合型ホウ素薬剤の取り込み評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
現在ホウ素薬剤のお手本とされているアミノ酸ホウ素薬剤BPAの取り込み標的とされてるLAT-1の低発現のがん細胞株を用いたモデル動物を作成し、糖結合型ホウ素薬剤による取り込み評価特に薬物動態評価を行う。更に、LAT-1低発現株に対する新規ホウ素薬剤投与後に中性子照射を行い、細胞レベルでの殺細胞評価を京都大学複合原子力科学研究所での中性子照射を利用して行う。 更に、薬物動態評価の結果より、正常組織への取り込みが低く、腫瘍への取り込みが高値となる最適なタイミングでのBNCTによる治療検証を行う。 同時に公開データベースを用いた高悪性度悪性腫瘍におけるグルコール輸送体の発現を検証し、がん横断的な新規薬剤適応拡大を検証する。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)