Innovative treatment of soft tissue tumors by air plasma-activated medium
Project/Area Number |
21K09217
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56020:Orthopedics-related
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Research Institution | Plasma ChemiBio Laboratory |
Principal Investigator |
鈴木 良弘 一般社団法人プラズマ化学生物学研究所, 研究部, 代表理事 (80206549)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 低温大気圧プラズマ / 骨肉腫 / 鉄 / フェロトーシス / 活性酸素 / ミトコンドリア / アポトーシス抵抗性 / mitochondria / ミトコンドリアダイナミクス / 空気プラズマ照射液 / 骨軟部腫瘍 / 鉄イオン |
Outline of Research at the Start |
集学的治療法の進歩によって悪性骨軟部腫瘍の予後は改善されてきたが、治療抵抗性のために過去十年間の治療成績は向上していない。この抵抗性にはアポトーシスに対する耐性が関与するので、これらの腫瘍が抵抗性を持たない他の細胞死を誘発する薬剤・方策の発見は画期的な治療法に繋がることが期待できる。われわれは、空気プラズマを用いた照射液を作出し、これが、ヘリウムプラズマ照射液に抵抗性な悪性骨軟部腫瘍にも著効を示し、鉄ストレスを介する細胞死を誘発することを発見した。本研究では、この細胞死の機構を明らかにするとともにマウス腫瘍移植モデルにおける有効性と安全性を検証し、悪性骨軟部腫瘍治療法の創出を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究から、APAMは骨肉腫に主として酸化的細胞死を誘発し、そのうちの一つはフェロトーシスであることがわかった。フェロトーシスは過酸化脂質の蓄積によって生じ、その生成の代表的な経路は、過酸化水素(H2O2)と2価鉄 (Fe (II))のフェントン反応を介するヒドロキシルラジカル産生から開始される経路である。このシナリオに一致して、H2O2のカタラーゼによる消去ならびにFe (II)の除去は細胞死を抑制した。さらに、ヒドロキシルラジカルやそれと脂質の反応で生成される脂質ラジカルの増加も確認された。フェロトーシス阻害剤であるフェロスタチンー1は脂質ラジカル消去剤であることから、この経路がフェロトーシスが起きる経路であると考えられた。APAMに対する細胞感受性が増殖状態によって変化することが観察されていたが、非可逆的カタラーゼ阻害剤3-アミノトリアゾール (3-AT)が細胞内H2O2を増加させて感受性を著しく増大させることを見出した。この発見は、H2O2が細胞死の重要なメディエーターであることの更なる証拠となった。次に、前年度に発見したMPMCのメカニズムを解析した。カタラーゼならびにFe (II)の除去は、MPMCも強く抑制したことから、H2O2とFe (II)はMPMCの制御に関与する可能性が示された。Fe (II)がミトコンドリアの分裂―融合動態を調節しているか調べた。Fe (II)除去はミトコンドリアの過剰融合を引き起こし、一方、Fe (II)添加はミトコンドリアの分裂、断片化を誘発した。オルガネラ選択的Fe (II)プローブを用いた生細胞イメージングの結果、APAMはゴルジ装置や小胞体内不安定鉄プール (Labile iron pools, LIPs)の減少とミトコンドリア内LIPの増加を誘発することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の大きな成果は、APAMによる骨肉腫のフェロトーシスがH2O2 とFe (II) のフェントン反応に起因することを明らかにすることができた。さらに、この作用には、ゴルジ装置や小胞体内のFe (II)、あるいはミトコンドリア内のFe (II)の変動が付随することが示唆された。もう一つの大きな成果は、H2O2 とFe (II)はMPMCの制御にも関与することを見出したことである。H2O2は、ミトコンドリア内でスーパーオキシドをはじめとするROSを増加させ、酸化ストレスを生じさせる。一方、ミトコンドリア内のFe (II)の変動は、ミトコンドリアの分裂―融合状態を変化させることが示された。これらの結果を考え合わせると、ゴルジ装置や小胞体内からのFe (II)の細胞質への流出が起これば、典型的なフェロトーシスとなり、一方、それらのFe (II)がミトコンドリアへ移動する場合は、フェロトーシスと異なる酸化的細胞死に繋がる可能性が考えられた。後者の細胞死モードは現在のところ同定されていないが、ミトコンドリアの関与が大きいことから、神経細胞に見られるオキシトーシスに類似するものと考えられた。 将来のAPAMの臨床応用を考えると、それに対するがん細胞の抵抗性は重要な研究課題である。この問題に関して、3-ATによる感作作用を発見した。3-ATの併用により、APAMに対する骨肉腫の抵抗性は顕著に低下した。同様の作用が他のがん細胞でも認められたことから、今後その有効性を動物実験でも検証できれば、APAMの抗腫瘍効果を増強させる普遍的かつ有力な手段となることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
APAMによるゴルジ装置や小胞体内からのFe (II)の減少のメカニズムとして、これらのオルガネラのオートファジーによる分解に伴う流出が考えられるので、それが起きているかどうかを調べる。また、オートファジーの抑制がMPMCならびに細胞死に栄養するかどうかを検討する。さらに、これらのオルガネラのFe (II)の減少に伴い、細胞質のFe (II)が増加しているかどうかを定量して検討する。神経細胞に見られるオキシトーシスでは、細胞内カルシウムの関与が知られている。そこで、APAMが細胞内カルシウムレベルに変化を与えるかどうかを解析する。Fe (II)変動が小胞体からミトコンドリアへのカルシウム輸送と関連するかどうかを検討する。細胞内カルシウムの関与が見られた場合は、ストア依存性カルシウムチャネル、電位差依存性カルシウムチャネルを中心に解析して、関与するカルシウム流入経路を同定する。Fe (II)によるミトコンドリアの分裂―融合動態の調節メカニズムを明らかにする。APAMがこの動態制御に関与する遺伝子群Drp1, Fis1, Mfn1/2の発現ならびにリン酸化状態に影響を与えるかどうか調べる。MPMCにはミトコンドリアの断片化と凝集が必要で、後者には細胞膜の脱分極が必要であるので、APAMが細胞膜電位に影響を及ぼすかどうか検討する。さらに、APAMと3-ATの併用投与が動物腫瘍モデルでも有効であるかを調べる。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)