Project/Area Number |
21K09246
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56020:Orthopedics-related
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
岳 鳳鳴 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (20532865)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | iPS疾患モデル / エーラス・ダンロス症候群 / 脊椎変形 / CHST14遺伝子変異 / 疾患iPS細胞 / ゲノム編集技術 / 筋拘縮型EDSの疾患モデル |
Outline of Research at the Start |
エーラス・ダンロス症候群は、皮膚・関節の過伸展性 、各種組織の脆弱性を特徴とする遺伝性結合組織疾患である。筋拘縮型EDS (mc EDS)は、CHST14またはDSE遺伝子の変異に基づくEDSの新病型(mcEDS)である。進行性脊椎の変形は頻繁に起きる深刻な合併症であり、患者のQOL/ADL低下を招く。本研究は患者由来のiPS細胞用いて、骨のような小結節を分化誘導し、骨形成のプロセス全体をモデル化することで、骨格変形の発症を解明することである。そして、疾患の原因となるCHST14遺伝子の変異、あるいは、それによる影響を取り除くことを試み、新規治療法の探索に役立つ可能性がある知見を導き出す。
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Outline of Annual Research Achievements |
エーラス・ダンロス症候群(EDS)は、皮膚や関節の過伸展性、各種組織の脆弱性を特徴とする先天性疾患の総称である。本研究では、D4ST1をコードするCHST14遺伝子の変異によって引き起こされるmcEDSを特に注目している。EDSの様々な型において、骨の変形が進行すると、体幹バランスの悪化、呼吸機能障害、摂食障害などが生じ、患者のQOL(生活の質)やADL(日常生活動作)が低下する最も重要な症状の一つである。しかし、患者から組織サンプルを取得することは困難であり、たとえ組織サンプルが得られても、個々の細胞タイプの正確な分析が難しく、骨芽細胞から骨細胞への移行などの一過性のイベントを観察するのはほぼ不可能である。また、骨格変形が遅発性であるため、動物モデルでの研究も限られている。このような理由から、発症メカニズムは明らかになっていない。 この研究は、患者由来のiPS細胞を用いて、骨形成のプロセス全体をモデル化し、骨格変形の発症メカニズムを解明することである。具体的には、既に樹立したmcEDS-CHST14患者の皮膚繊維芽細胞由来iPS細胞(A108、A279、A280)と、CHST14変異のない正常iPS細胞(253G)を用い、骨形成分化の過程を模倣した段階的分化法で骨様結節の形成を試みた。骨形成細胞の分化過程において、各段階の骨細胞の遺伝子発現を解析し、カルシウム沈着量を測定し、骨形成におけるコラーゲンとデコリン遺伝子とたんぱく質の発現を確認した。今年度の研究では、骨形成系統におけるコラーゲンの分布を調査するために、骨形成分化の7日目に電子顕微鏡でコラーゲンを観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨形成におけるコラーゲンとデコリンの発現について、WT由来iPSCと比較して、患者由来iPSCでは COL12A1の発現が高く、DCNの発現が低い。さらに、患者由来iPSCA280では、DCN 発現の低下は顕著でした。免疫細胞化学的染色プロファイルにおけるI型コラーゲンの発現は、7日目では群間で有意な差を示さなかったが、デコリン染色は患者由来iPSCよりもWT由来iPSCで高かった。第7日目の誘導分化による骨芽細胞が生成したコラーゲンの分布を電子顕微鏡で観察した。細胞間質内にはコラーゲン繊維が観察され、一型コラーゲン特有の明暗のストライプ状構造が見られた。患者由来のiPS細胞で分化した骨芽細胞の細胞間質では、明瞭なストライプ状構造を持つ太いコラーゲン繊維に加えて、大量な細い、乱雑に配列したコラーゲン繊維も観察された。一方、正常なiPS細胞で分化した骨芽細胞の細胞間質にも細いコラーゲン繊維が存在するが、その数は少なく、主に太いストライプ状のコラーゲンが見られている。細い、乱雑に配列したコラーゲン繊維は、患者の場合にはコラーゲンがうまく束ねられていない可能性を示唆した。
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Strategy for Future Research Activity |
電子顕微鏡で観察された細い、乱雑な配置の繊維には、ストライプ状の構造が見られないため、完全にコラーゲン繊維であるかどうかは確定できない。したがって、次のステップとして、免疫電顕を行って確認する予定である。また、decorinがコラーゲン繊維上にどのように分布しているかを観察するために、decorinの免疫電顕も同時に行う予定である。
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