精しょうの質を可視化する新しい男性不妊症診断法および精子保護剤の開発
Project/Area Number |
21K09370
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56030:Urology-related
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
村林 奈緒 浜松医科大学, 医学部, 特任准教授 (10378416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗 修平 浜松医科大学, 医学部, 特任助教 (30647607)
高久 康春 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 特任研究員 (60378700)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 男性不妊症 / 精しょう液 / ナノスーツ / 分子重合膜 / 粘性 / 精子 / 精しょう / 酸化ストレス |
Outline of Research at the Start |
男性不妊症の原因を明らかにし、それを改善する社会的意義は大きい。精子と共に放精させる液性因子の精しょうは精子運動性や受精能に関与し、また抗酸化能を有するなど、精子機能において重要な働きをもつ。しかし、生化学的特徴に基づく精しょうの質が、不妊原因に関連付けられることは極めて稀である。本研究では、我々が発見した『精しょうを可視化』する2つの技術を用いて精しょうの特性を調べ、男性不妊症との関連性・未知の制御機構を解明する。さらに精しょう機能を規範とした新しい精子保護剤の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
NanoSuit法は、電子顕微鏡による生試料観察技術である。従来の電子顕微鏡の試料作製では必須であった化学固定や脱水・乾燥といった多段階の前処理を必要としないため、生物試料を生きた状態のまま解析することができる。申請者の研究室は、本法を用いることで生きた精子の形態観察法を確立させている。我々はこれらの観察技術を展開することで、精子の周りを精しょうが覆っている状態を高分解能解析できることに成功した。この精しょうの可視化は精しょうが電子線重合により自立膜形成した結果であり、本研究ではこの精しょうの特性に着目した精しょうの質の評価の開発を試みた。 この精しょう由来の自立薄膜の性質を評価することを目的に、精しょう液をプラズマ重合により薄膜形成させ、蒸留水を重合膜表面に滴下させた際の、液滴の接線と固体表面とのなす接触角の測定により濡れ性を評価した。その結果、精しょう由来の分子重合膜の接触角は11.2°-37.2°の個人差があり、いずれも比較的高い親水性の性質を有していることがわかった。接触角は年齢および精子濃度に比べ、タンパク質濃度、グルコース濃度と弱い負の相関性を示した。この結果は精しょう液中のこれら高分子の高い濃度が重合膜の親水的性質に寄与していることを示唆する。一方、精子運動率はタンパク質濃度とグルコース濃度ではなく、重合膜の濡れ性とは有意な負の相関性を認めた。また、WHO基準による不妊症の定義として用いられる精子運動率40%以下の症例は40%超の症例に比し、有意に高い疎水的性質を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
精しょうは精子活性化や受精能獲得に寄与するため、その質の評価は重要である。この課題へのアプローチは生化学的手法が一般的である。これに対して我々は、精液がプラズマ重合により自立薄膜化することを見出し、そのような安定状態の下で目視解析できる方法を開発した。また、この重合膜の疎水的性質と精子運動率の低下に関連性があることを見出し、精しょうの質の違いから男性不妊症を評価する新しい方法を提案できた。研究の進捗状況は、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
我々は、精しょうがプラズマ照射により自立薄膜化することを見出し、重合膜の疎水的性質が精子の運動率の低下に関連していることを明らかとした。現在、我々は精しょうに含まれる高分子の成分に着目し、この精しょうの質との関連性について検討中である。このような高分子溶液の中から、バイオミメティクス概念に基づき、精子に対し保護効果を示す生体適合性化合物のスクリーニングを行う。 また、精しょうの存在は酸化ストレスに起因する精子運動率の低下を改善するため、上記高分子化合物を用いて、活性酸素に対し高い保護効果をもつ新しい精子培養液および凍結保存液の開発を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)