Project/Area Number |
21K09461
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56040:Obstetrics and gynecology-related
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
森 清一郎 国立感染症研究所, 病原体ゲノム解析研究センター, 主任研究官 (80342898)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | HPV / 子宮頸がん / 転写共役因子 / 炎症性サイトカイン / ケラチン / 転写因子 / ウイルスがん遺伝子 / ウイルス発がん / 遺伝子発現 / 転写複合体 / 上皮細胞 |
Outline of Research at the Start |
ヒトパピローマウイルス(HPV)は上皮細胞に感染し、子宮頸癌等の原因となる。HPVの上皮細胞特異的な遺伝子発現が、HPVの細胞指向性や発癌部位を決める要因の一つとなっているが、その分子機構はわかっていない。本研究では、HPVゲノムの転写調節領域に結合する細胞の核タンパク質を質量分析により網羅的に調べ、HPVの上皮細胞特異的な遺伝子発現を支える転写複合体の詳細を明らかにする。また、得られた情報をもとに、転写複合体の形成を阻害してHPVの遺伝子発現を抑制する化合物を探索し、抗HPV薬及び子宮頸癌治療薬の開発へ繋げる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
細胞の転写因子TEADは、HPVゲノムの転写調節領域(LCR)に結合し、HPVがん遺伝子の発現を活性化する。本研究では、野生型LCRとTEAD結合配列に変異を導入したLCRに結合する子宮頸がん細胞の核タンパク質をプロテオーム解析によって比較することで、TEADと複合体を形成してLCRに結合し、HPVの上皮細胞特異的な遺伝子発現に関わる宿主転写共役因子を網羅的に調べた。 昨年度までに、変異型LCRへの結合が減少した炎症性サイトカインS100A9に注目し解析を行った。S100A9がTEADとの直接結合を介してLCRに結合し、転写共役因子としてHPVがん遺伝子の発現を活性化することで、子宮頸がん細胞の増殖を促進することを明らかにした。 今年度あらたに、変異型LCRへの結合が減少したケラチンタンパク質に注目し解析を行った。子宮頸がん細胞で、ケラチン6A(KRT6A)をノックダウンするとHPVがん遺伝子の発現が低下し、細胞の増殖が阻害された。また、子宮頸がん細胞内で、KRT6AがLCRに結合していることがわかった。KRT6Aが子宮頸がん細胞の核に存在し、転写共役因子として、HPVがん遺伝子の発現に関わることが示唆された。 S100A9およびKRT6Aは、上皮細胞で発現していることから、上皮細胞特異的なHPV遺伝子発現に関わる宿主転写共役因子と推測される。一方、病原細菌や真菌等の感染による子宮頸部の炎症反応が子宮頸がんの発症に寄与することが知られているが、その背後にある分子機構は不明である。S100A9およびKRT6Aは、炎症刺激により上皮細胞での発現が誘導されることが報告されていることから、S100A9およびKRT6Aは、炎症とウイルス発がんを直接結び付ける重要な宿主因子と思われる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上皮細胞特異的なHPVがん遺伝子の発現に関わる宿主因子としてS100A9に加え、あらたにKRT6Aを同定し、HPVがん遺伝子の発現と子宮頸がん細胞の増殖に関わることを明らかにしたことから、おおむね順調に進んでいる。一方で、当初予定していた、HPV遺伝子発現に関わるTEAD共役因子であるVGLL1の子宮頸がん細胞での機能解明については、解析が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
KRT6Aは上皮細胞で特異的に発現していることから、HPV感染の上皮細胞特異性に関わる重要な宿主因子と考えられる。また、KRT6Aの細胞質での機能はよく知られているが、核内での機能はわかっていない。KRT6AとTEADとの結合を共免疫沈降等を用いて調べ、HPVがん遺伝子の転写におけるKRT6Aの核内での機能を明らかにする。また、KRT6Aのアミノ酸配列に核移行シグナルと核搬出シグナルが予測されることから、それらの変異体を作成することにより、KRT6Aの核局在のメカニズムを調べる。これらの情報を総合し、HPVがん遺伝子の転写および子宮頸がん細胞の増殖におけるKRT6Aの核内での機能を明らかにする。
|