Project/Area Number |
21K09551
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56040:Obstetrics and gynecology-related
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
川嶋 章弘 昭和大学, 医学部, 講師 (10783376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関沢 明彦 昭和大学, 医学部, 教授 (10245839)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 妊娠高血圧腎症 / メチル化 / 胎盤幹細胞 / 妊娠初期 / cell-free DNA / DNAメチル化 / 初期絨毛 / エピゲノム / メチル化異常 / 妊娠初期絨毛 |
Outline of Research at the Start |
胎盤の形成・発達にエピゲノムが重要な役割を担っている。胎盤のエピゲノム異常は胎盤の形成異常と関連し、妊娠高血圧腎症の発症に関与することが示唆されているが、妊娠初期の絨毛細胞のエピゲノム上での変化がヒト胎盤の形成・発達に及ぼす影響は明らかではない。本研究では、妊娠高血圧腎症をその後の妊娠経過中に発症する胎盤における妊娠初期のエピゲノム情報から、妊娠高血圧腎症を発症するエピゲノム異常を特定し、妊娠高血圧腎症の病態形成のメカニズムの解明をする。またこのエピゲノム異常をマーカーとして妊娠初期に母体の血漿中の胎盤由来遊離核酸を定量化し、妊娠高血圧腎症の非侵襲的な発症予測や病態モニターが可能になる。
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Outline of Annual Research Achievements |
妊娠高血圧腎症の発症機序を解明することは、周産期医学における重要な課題です。特に、妊娠初期の胎盤形成不全がこの疾患のキーファクターとされ、エピゲノムの変動が胎盤の遺伝子発現調整に中心的役割を担うことが明らかになっています。本研究では、妊娠初期の胎盤におけるエピゲノム異常が胎盤形成不全を引き起こし、結果的に妊娠高血圧腎症を誘発するという仮説を立て、検証を行います。具体的には、妊娠高血圧腎症をのちに発症する初期胎盤からDNAメチル化異常を示す遺伝子を同定し、これらの遺伝子が胎盤形成においてどのような役割を果たすかを解明することを目指しています。研究手法として、(1)妊娠高血圧腎症をのちに発症する妊婦の初期胎盤からプロモーター領域に DNAメチル化異常をもつ遺伝子の特定、(2) ヒト胎盤幹細胞を用いて候補遺伝子のRNA干渉法による遺伝子発現抑制を行った細胞の機能評価、(3) 妊婦血漿中のcell-free DNAからの候補遺伝子のDNAメチル化異常検出方法を確立し、病態に応じたバイオマーカー開発を試みます。現在、(1)および(3)からADORA2BやHOXB4など、酸化ストレスに関連する遺伝子のメチル化異常が妊娠高血圧腎症の発症に関連することを認めました。現在、これらの候補遺伝子が胎盤形成不全および妊娠高血圧腎症の発症にどう影響するかをヒト胎盤幹細胞を用いて分析しています。この研究から得られる知見は、妊娠高血圧腎症の病態理解を深め、新たな治療標的の同定につながる可能性があります。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度までのヒト胎盤幹細胞を用いた実験において、ADORA2B遺伝子のノックダウンは酸化ストレス応答の一環として鉄過剰沈着につながることが確認されました。これは、ADORA2B遺伝子の高メチル化が酸化ストレスへの脆弱性を高める可能性を示唆しています。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、HOXB4遺伝子の酸化ストレスに対する影響についての研究が進行中であり、これらの結果は妊娠高血圧腎症の病態理解を一層深めるものと期待されます。加えて、胎盤幹細胞からのオルガノイド形成を通じた分化および機能解析が進められており、これらのオルガノイドモデルを用いた詳細な機能的研究は、胎盤の形成不全と妊娠高血圧腎症発症のメカニズムを解き明かす上で重要な手がかりを提供します。これらの研究成果により、妊娠高血圧腎症の発症メカニズムの理解が深まるだけでなく、妊娠高血圧腎症に対する新たな治療標的の同定に繋がる可能性があります。これは、妊娠高血圧腎症の早期診断や予防、治療法の開発において重要な意義を持ち、母体及び胎児の健康維持に貢献することが期待されます。
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