| Project/Area Number |
21K09646
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
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| Section | 一般 |
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| Review Section |
Basic Section 56050:Otorhinolaryngology-related
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| Research Institution | Hirosaki University |
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Principal Investigator |
松原 篤 弘前大学, 医学研究科, 教授 (10260407)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 直美 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (30770143)
高畑 淳子 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (60568898)
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| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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| Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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| Keywords | アレルギー性鼻炎 / マイクロバイオーム / 食物繊維 / 多様性 / 好酸球性副鼻腔炎 / 構成異常 / 黄色ブドウ球菌 / 好酸球性中耳炎 |
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| Outline of Research at the Start |
本研究は、腸内細菌叢を始めとする人体を取り囲むマイクロバイオームが、最近急増してきたアレルギー性鼻炎や難治性の副鼻腔炎ならびに中耳炎とどのように関わっているかを解明することを目的としている。方法として、実際の患者から得られた検体と正常対象として地域の一般住民から得られたデータと統計学的に比較することにより、腸内細菌の構成異常や多様性と疾患の関係を明らかにする。
また、われわれがこれまで作成してきた中耳の好酸球性炎症モデルも改変して用いることにより、サイトカインや免疫担当細胞など基礎的研究の観点から難治性のアレルギー性・好酸球性炎症上気道疾患の病態を明らかにするものである。
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| Outline of Annual Research Achievements |
アレルギー性鼻炎の有病率は増加の一途をたどっており、2019年の疫学調査では、アレルギー性鼻炎は全人口の約半数に達すること報告されている。また、難治性の疾患である好酸球性副鼻腔炎・中耳炎も患者数が増加している印象がある。これらは上気道のタイプ2炎症であり、これらの病態に腸内や局所のマイクロバイオームが関与することが徐々に明らかになりつつある。そのため、マイクロバイオームの多様性や構成異常と疾患の関連を検討することは、疾患の病態を理解し治療法を検討する上で極めて重要である。
申請者らは青森県弘前市岩木地区の一般地域住民を対象とした疫学調査（岩木健康増進プロジェクト健診）において、便サンプルから細菌のDNAを抽出し次世代シークエンサーによる網羅的解析により明らかにされた腸内細菌叢の構成と、主要な吸入性抗原（スギ花粉、ハウスダスト、イネ科花粉、雑草花粉）の感作の状況ならびに鼻症状の発症との関係性について詳細な解析を行ってきた。また、腸内細菌のエサとなる食物繊維の摂食状況を、簡易型自記式食事歴法質問票を用いたアンケート調査の結果を合わせて解析を行ってきた。その結果、吸入性抗原感作群では、腸内細菌叢の多様性が低下しており、細菌としては、ラクトバシラス目やビフィドバクテリウム目の占有率は感作抑制に、バクテロイデス目は感作促進に働くことが示唆された。さらに、食物繊維の摂取状況を加味した検討では、ラクトバシラス目が多く水溶性食物繊維の摂取が多い対象者は、ラクトバシラス目が少なく水溶性食物繊維の摂取が少ない対象者よりも有意に総IgE値が低いことが明らかとなった。
この結果は、プロバイオティクスならびにプレバイオティクスの観点から、食事や生活環境を工夫することが上気道のタイプ2炎症制御に関わる可能性を示唆するもので、今後の更なる発展が期待できると考えている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
吸入性抗原感作と発症の関係については、大学院生の山口大夢が「主な吸入性抗原感作に関わる腸内細菌叢構成および多様性の検討」として解析を進め、2023年にAllergology Internationalに投稿された。
さらに、共同研究者の野村彩美が、「食物繊維の摂取量と腸内細菌叢がIgE産生に与える影響」のテーマで、2023年10月に開催された第72回日本アレルギー学会においてミニシンポジウムで発表を行った。また、同学会のシンポジウム「マイクロバイオームとアレルギー疾患」において、申請者がこれまでに当施設における研究成果を「上気道アレルギー疾患とマイクロバイオーム」のテーマで紹介した。さらに、脂肪酸の摂取状況などの検討も加えて、アレルギー疾患の感作と発症に関して解析を進めている。
好酸球性中耳炎のマイクロバイオーム研究に関しては、筑波大学耳鼻咽喉科と共同研究により、外耳ならびに鼻腔の細菌叢と好酸球性中耳炎の関連について検討をすすめてきた。その結果、好酸球性中耳炎の局所のマイクロバイオームは正常対象に比し、多様性が低下していることが明らかとなり、筑波大学の井伊理恵子により英文原著として投稿の準備中がすすめられている。
基礎的な動物実験としては、我々がこれまで行ってきた卵白アルブミンによるモデル動物作成ではなく、より臨床に近いモデル動物の作成法としてパパイン刺激によるモデル作成法を確立し、大学院生の松下大佑により英文原著として投稿原稿の作成中である。また、この研究を引き継いだ大学院生の藤田友晴により、上皮性サイトカインの詳細な解析が進行中である。
以上のように、マイクロバイオームの観点を中心として、アレルギー性鼻炎並びに好酸球性上気道炎の臨床的な解析が進行中である。動物モデルを用いた基礎研究からも成果が得られつつあり、進捗状況はおおむね順調である。
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| Strategy for Future Research Activity |
アレルギー性炎症のマイクロバイオーム解析として、摂食の影響を検討することは極めて重要である。岩木健康増進プロジェクト健診によって得られた腸内細菌叢の次世代シークエンサーによる網羅的解析データと、簡易型自記式食事歴法質問票を用いて得られた食物繊維摂取量を組み合わせて、総IgE、特異的IgEによる感作状況ならびに発症との関連について詳細な解析をすすめる。これは、乳酸菌の摂取であるプロバイオティクスと食物繊維を摂取するプレバイオティクスを合わせたシンバイオティクスの概念に沿ったものであり、食事や日常生活改善によるアレルギー性鼻炎の制御に寄与する可能性があるものと考えている。
さらに、腸内細菌叢だけでなく口腔の細菌叢に関しても検討を進める。岩木健康増進プロジェクト健診のおける唾液サンプルを次世代シークエンサーによる網羅的解析により明らかにされた口腔細菌叢のデータを用いて、アレルギーの感作と発症に腸内細菌叢と口腔細菌叢がどのように関与しているかについて解析する。
また、食物繊維摂取だけでなく脂肪酸とアレルギーとの関連についても検討をすすめる。種々の脂肪酸のうち、n-3不飽和脂肪酸はその代謝産物がアレルギー症状を緩和させるとの報告がある。そこで、飽和脂肪酸やn-6不飽和脂肪酸摂量とn-9不飽和脂肪酸の摂取量、ならびにメタボローム解析により体内のこれらの脂肪酸の量とアレルギー性鼻炎の感作・発症の関連を検討する予定である。
動物実験としては、われわれの施設で行ってきた中耳の好酸球性炎症モデルの作成法を改変し、新たに自然免疫系をより賦活するパパインを用いた、より臨床に近いモデル動物の作成法が確立し、現在投稿準備中である。このモデルを用いて、病態と深く関わる各種の上皮性サイトカインや、自然リンパ球（ILC2）など免疫担当細胞の解析をすすめる予定である。
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