CD147を中心とした頭頸部癌の炎症性微小環境と免疫チェックポイント阻害薬抵抗性
Project/Area Number |
21K09648
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56050:Otorhinolaryngology-related
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
鈴木 真輔 秋田大学, 医学系研究科, 准教授 (90312701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川嵜 洋平 秋田大学, 医学部附属病院, 講師 (00644072)
登米 慧 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (20816045)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 頭頸部癌 / 微小環境 / CD147 / 炎症 / 免疫チェックポイント阻害薬 / PD-1/PD-L1 / サイトカイン |
Outline of Research at the Start |
近年、頭頸部癌治療に免疫チェックポイント(PD-1/PD-L1)阻害薬が導入されたが、治療に抵抗性を示す症例も多い。最近、この抵抗性を解く鍵として炎症環境が注目されている。特に炎症性サイトカインは癌細胞の腫瘍免疫応答に関与しており、これらの併用阻害によって抗PD-1抗体による治療効果が相乗的に増強することが報告されている。 我々はこれまで、CD147が頭頸部癌進展およびその炎症環境に深く関与することを解明し報告してきた。本研究はCD147を基軸として頭頸部癌における炎症性微小環境と腫瘍免疫応答の関係性を解明し、免疫チェックポイント阻害薬抵抗性を克服する新たな治療標的の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、頭頸部癌治療に免疫チェックポイント(PD-1/PD-L1)阻害薬が導入され大きなインパクトを与えているが、治療に抵抗性を示す症例も多い。最近、この抵抗性を解く鍵として腫瘍を取り巻く腫瘍微小環境、特に炎症環境が注目されている。IL-6をはじめとした炎症性サイトカインは癌細胞の活性化のみならず、腫瘍免疫応答に関与しており、これらの併用阻害によって抗PD-1抗体による治療効果が相乗的に増強することが報告されている。我々はこれまで細胞膜タンパク質であるCD147の癌進展への関与を研究し、CD147の発現が頭頸部癌の転移に強く関連することを頭頸部癌細胞株および臨床サンプルによる検討で明らかとしてきた。一方、炎症性微小環境と腫瘍免疫応答の関係性、およびこれらの腫瘍進展機序におけるCD147の役割はいまだ明らかとされていなかった。本研究ではこれまで、放射線によって線維芽細胞から誘導されるIL-6が頭頸部癌細胞遊走能亢進に関与していることを確認し、放射線治療後の再発・転移に炎症性環境が関与する可能性を示唆した。さらに、CD147が腫瘍微小環境の酸性化に関係し、この酸性化が頭頸部癌細胞の腫瘍進展および免疫チェックポイント阻害薬への抵抗性に寄与することを腫瘍微小環境の視点から明らかとした。また、臨床データの解析では、再発・転移頭頸部癌患者の血中における好酸球/好中球比が免疫チェックポイント阻害薬の効果に関係することを明らかとし、基礎および臨床の両面から解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炎症と強く関連する頭頸部癌治療の改善のためには、炎症性微小環境の特徴や変化を解明し、これに基いた対応を取る必要がある。本研究では、放射線治療を受けた頭頸部腫瘍組織では、癌細胞周囲の線維芽細胞が自ら分泌するIL-6を介して、頭頸部癌細胞の進展を促進する可能性を示唆した。IL-6は炎症環境における主要なサイトカインであり、この結果は炎症性微小環境と頭頸部癌進展が関係することを示しており、研究展開の基礎となる背景を提示している。頭頸部癌進展および免疫チェックポイント阻害薬抵抗性の更なる機序解明のためには、CD147およびIL-6をはじめとした炎症環境関連因子のもつ役割をより詳細に明らかにする必要がある。しかし本研究で示されたIL-6と炎症性微小環境との関連性や、CD147によって誘導される腫瘍微小環境の酸性化と炎症との関連性についてはいまだ解明を要する点が多い。また、本研究では血中の好酸球/好中球比が免疫チェックポイント阻害薬の治療効果に関与することが確認されているが、今後は好酸球と炎症反応との関連性、および主要な炎症関連因子であるIL-6や腫瘍環境の酸性化などと免疫チェックポイント阻害薬の治療効果に関する検討も必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
CD147およびこれにより誘導される腫瘍環境の酸性化と炎症性微小環境との関連性、および分子機構の解明を進めるため、分子生物学的手法を用いた解析を行う。同時に、頭頸部癌細胞およびこれに関わる腫瘍免疫応答関連因子とCD147との関連性について解析を行う。これらの結果から、炎症環境における頭頸部癌進展とCD147およびPD-1/PD-L1を軸とする腫瘍免疫応答の相互作用を明らかとする。また、頭頸部癌患者の血清中における炎症関連因子と、腫瘍進行度や薬剤有効性、予後などの臨床因子との相関について検討を行う。この臨床的解析により得られた結果と、基礎的解析から得られた結果との整合性を検討し、頭頸部癌治療効果改善につながる標的因子を検索する。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)