Project/Area Number |
21K09712
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56060:Ophthalmology-related
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
角田 和繁 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 視覚研究部, 部長 (30255525)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 黄斑ジストロフィ / 中心窩回避 / 視細胞萎縮 / 自然経過 |
Outline of Research at the Start |
黄斑ジストロフィは、両眼の中心視野、視力が進行性に傷害される遺伝性網膜疾患である。近年、遺伝学的原因が確定した黄斑ジストロフィ患者に対しては、新規治療の患者への導入が国内外において検討されている。治療の適応および効果を正しく評価するためには、視細胞障害の経時的変化に関する自然経過研究が非常に重要であるが、黄斑ジストロフィにおいては半数以上の症例で中心窩回避という特異な現象が生じており、障害の進行評価が困難となっている。本研究は様々な原因遺伝子を含む各種の黄斑ジストロフィに対して、多数症例において後ろ向き、および前向きに観察を行うことで、効果的な治療導入に役立てるのが目的である。
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Outline of Annual Research Achievements |
黄斑ジストロフィの症例のなかには、その進行過程において、中心窩の視細胞および網膜色素上皮の構造・機能が、傍中心窩に比べて長期的に温存される中心窩回避(foveal sparing)が見られることが知られている。本研究の目的は、黄斑ジストロフィの多数例において、黄斑部の初期病変領域を体系的に調べることで中心窩回避の実態を調査し、黄斑部変性のメカニズムを解明することである。 臨床的に黄斑ジストロフィと診断された症例を対象として調査を行った。昨年に引き続き、当院および、共同研究施設8施設から該当症例を抽出し、眼底自発蛍光(FAF)、光干渉断層計(OCT)を用いて横断的観察、経過観察を行った。三宅病、ベスト病、X連鎖性網膜分離症は対象外とした。 錐体・杆体ジストロフィ89例、黄斑ジストロフィ81例、スターガルト病39例の計209例418眼が登録され、38.7%で遺伝学的病態が確認されていた。 FAFによる初期病変部位(中心窩からの距離)は、左眼、Baselineにおける計測で838.9 ± 240.7μm、経過中の初発病変に限った計測では850.6 ± 144.3μmであった。また、OCTのEZ初期欠損部位(同上)については、847.4 ± 158.0μmであった。これらの数値は、それぞれ網膜色素上皮層(RPE)および視細胞層の初期病変部位を表しており、初期病変の80%以上は、中心窩から500-1000μmの輪状領域に出現していることが分かった。我々はこれをparafoveal fragile zone (PFZ)と命名した。 黄斑ジストロフィにおけるPFZの存在は、黄斑部の傍中心窩から変性・萎縮が進行する本疾患の病態を裏付けていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
全施設の合計症例数は209症例となり、そのうち原因遺伝子が確定している症例が39%となった。これまでの解析により、黄斑ジストロフィにおける視細胞層、網膜色素上皮層の初期病変のうち約80%が中心窩から500-1000μmの輪状領域(parafoveal fragile zone、PFZ)に存在することが分かった。また、初期病変が中心部(半径300μm)に存在する例はなかった。これらは、これまでに報告されたことのない黄斑ジストロフィの重要な病態を示している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のPFZが発症するメカニズムを明らかにするために、長期経過観察によるFAF蛍光消失領域(DDAF)の経時変化を多数例において定量的に解析する予定である。その際、進行の速度や、空間的な進行パターンを明らかにし、黄斑部における脆弱領域をさらに細分化して検討する。また、中心窩回避やPFZの生理学的意義を解明するために、中心窩回避が生じないタイプの黄斑ジストロフィ(オカルト黄斑ジストロフィ、眼底正常な錐体ジストロフィ)の多数例と、初期病変領域の比較を新たに行う予定である。
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