転写因子Runx2の標的遺伝子の同定と骨格形成における機能解析
Project/Area Number |
21K09827
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57010:Oral biological science-related
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高畑 佳史 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (60635845)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | 骨形成 / 発生 / Runx2 / 転写因子 / 骨格形成 / 軟骨分化 |
Outline of Research at the Start |
間葉系幹細胞は、自己複製能と骨、軟骨、脂肪、骨格筋、腱や靱帯などへの多分可能を有する体性幹細胞である。間葉系幹細胞から、各種骨格系細胞への分化は全く異なるファミリーに属する転写因子によって決定される。その中でrunt-related transcriptionfactor2 (Runx2)が骨芽細胞の分化を支配するマスター遺伝子として登場し、Runx2のノックアウトマウスは骨形成が完全に阻害されることが示されている。そこで本研究はRunx2の下流で働く新規標的遺伝子を同定し、標的遺伝子の発現動態解析を通して、骨形成の分子メカニズムの解明を目指したものである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
間葉系幹細胞は、自己複製能と、骨、軟骨、脂肪、骨格筋、腱や靭帯などへの多分可能を有する体性幹細胞である。骨格系は、未分化間葉系幹細胞から段階的に分化過程が進行し、最終的に正常な組織が形成される。 未分化間葉系幹細胞から各種骨格形成細胞への分化は全く異なるファミリーに属する転写因子によって支配されていることが次々と明らかにされ、ショウジョウバエの体節形成遺伝子のひとつRunt-related transcription factor2 (Runx2)が骨芽細胞の分化を支配するマスター遺伝子で、Runx2のノックアウトマウスは骨形成が完全に阻害されることが示された。また、その後の遺伝学的研究成果により、Osterix転写因子がRunx2の下流で働く転写因子であることが明らかにされ、骨形成過程に必須的役割を果たしていることが示された。Runx2およびOsterix転写因子の欠失は強力に骨形成を抑制し、これらの転写因子によって発現制御される標的遺伝子の存在は多数存在するにも関わらず、標的遺伝子のノックアウトマウスでRunx2ノックアウトマウスと同等の表現型を示すものは見つかっていない。したがってRunx2およびOsterix標的遺伝子のなかで、未知の骨格形成に重要な遺伝子の存在が示唆される。 本研究ではRunx2とOsterixの標的遺伝子を最新のゲノム編集技術を用いてin vivoでのスクリーニングを行い、その中からこれらの遺伝子導入によって発現誘導された細胞外マトリックス成分SPARC related modular calcium bindingファミリー遺伝子に着目し、骨格形成における遺伝子機能の詳細な解明を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Runx2とOsterixの標的遺伝子を最新のゲノム編集技術を用いてin vivoでのスクリーニングを行った結果、SPARC related modular calcium bindingファミリー遺伝子Smoc1とSmoc2に着目した。これらの遺伝子を欠失させると、Smoc1のノックアウトマウスでは腓骨の消失や、足指の融合などの骨表現型を示した。一方、Smoc2のノックアウトマウスは正常に生育し、骨格系には大きな変化を示さなかった。細胞外マトリックスタンパク質であるSmoc1とSmoc2は互いに分子の相同性が高く、相補的に機能を代償している可能性があるため、Smoc1とSmoc2の両者のダブルノックアウトマウスを作製した。 このマウスの骨表現型を解析すると、Smoc1のノックアウトマウスで見られた表現型に加えて、内軟骨骨形成の遅延と頭蓋骨の形成が完全に阻害される重篤な表現型を示した。 これまでの研究成果では生体での骨格形成についてSmoc1, Smoc2の遺伝子機能の重要性を明らかにすることができたので、当初の計画以上に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
Smocファミリー遺伝子の発現を制御するメカニズムを解明するために、遺伝子発現を内在性のタンパクレベルで検出しモニタリング可能なシステムを構築する。そのためのツールとして11アミノ酸からなるHiBiTタグを利用する。HiBiTは発光物質の酵素ドメインLgBiTと高い親和性で結合してNanolucを構成し、基質と反応することで非常に強い発光を生じる。このHiBiTタグとCRISPR/Cas9によるゲノム編集法を組み合わせて、Smoc1タンパク質のC末端にHiBITを挿入したノックインマウスを作製する。このマウスを用いてin vitroおよびin vivoにてSmoc1, Smoc2の発現動態の解析とその制御機構の解明を目指す。
|
Report
(2 results)
Research Products
(4 results)