高周波電流によるファイル未到達根管における歯髄の蒸散と根管の殺菌
Project/Area Number |
21K09908
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57030:Conservative dentistry-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菅谷 勉 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (10211301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 絵利香 北海道大学, 大学病院, 医員 (50779882)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 高周波電流 / 根尖狭窄部 / 焼灼 / 蒸散 / 殺菌 / 根尖性歯周炎 / インピーダンス / 根管径 / ジュール熱 / 変性 / 感染根管 / 抜髄 / 発熱 |
Outline of Research at the Start |
機械的根管拡大形成が行えない側枝やレッジより根尖側の根管に残髄や細菌の残存があると、予後不良の大きな原因となる。本研究では、高周波電流の通電により、①主根管の根尖狭窄部や側枝での温度上昇を数値シミュレーションにより算出し、②主根管と側枝の根管モデルで殺菌効果を解明、さらに③イヌによる動物実験で根尖狭窄部や根尖分枝の歯髄の蒸散、壊死への効果を検討し、④根尖性歯周炎を誘発させて根尖狭窄部や根尖分枝内の殺菌と根尖病変の治癒への効果を解明するとともに、安全な通電限界についても明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
牛象牙質にΦ0.1㎜の模擬根管を作製し、電圧225Vで通電を行って根管充填し、封鎖性を色素侵入試験およびSEMで評価し、さらに根管壁の性状をEDSで評価した。その結果、通電時間を長くし根管壁からCやOが消失してCaとPのみが検出されるようになると、封鎖性はやや低下する傾向がみられた。これはシーラーと根管壁の間ではなく、焼灼された象牙質が多孔性となっているため、根管壁ないで色素漏洩が生じていると考えられた。封鎖性はメタシールソフトペーストの方がAHプラスより良好であり、さらに垂直加圧充填するよりシーラー単独で根管充填した方が封鎖性は高かった。 一方、イヌの健全歯を髄腔開拡し、髄腔内を細菌感染させて根尖性歯周炎を惹起させ、225Vの高周波電流を根尖から2.5mm歯冠側の位置で通電し、根尖部3mmは根管形成を行わずに根管充填した。9週後にエックス線画像で根尖部骨欠損の縮小状態を評価した結果、2.5mm歯冠側で通電を行うことによってほぼ100%の歯根で骨欠損の縮小または消失が認められ、根尖孔を穿通し根管拡大形成を通法で行った場合よりも高い成功率を示した。この結果、通電によりファイルが接触していない根管が殺菌できたことを示すものであり、とくに根尖分岐は通法では細菌が除去できないが、高周波通電は根尖分岐まで殺菌できたことが大きく影響していると考えられた。 0.4mm、または1.0mmの耐熱性テフロンチューブ内にバイオフィルムを形成して、チューブ内に通電して内面をSEMで評価した結果、チューブ内の細菌は蒸散し消滅させることが可能であった。したがって、根管治療においてファイルが接触不可能な根管でも、電流が流れる部位であれば細菌を消滅させ、さらに根管を封鎖できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
R4年度の予定は、R3年度までの実験を継続するとともに、実験的根尖性歯周炎への高周波電流による根尖性歯周炎の治癒効果を検討することであった。すでにR3年度に開始した実験は既に概ね終了しており、R4年度に開始した動物実験も解析が順調に進んでいる。論文も一編が掲載されていることから、進捗状況はきわめて順調であり、計画は前倒しで進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
R5年度の研究予定の一部をすでに開始しており、計画通り実験的根尖性歯周炎に対する通電の治癒効果を病理組織学的に検討をすすめていく。抜髄では、データの解析を終了したので論文投稿の準備を開始する。さらに、ファイルが到達しない根管での通電効果を向上させるために、高周波電流の周波数と殺菌効果との関係も検討していく予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)