アクアポリンを制御するミトコンドリア移植法による新しい歯髄保存・再生療法の開発
Project/Area Number |
21K09919
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57030:Conservative dentistry-related
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
高 裕子 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (10816119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 友昭 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (10284887)
西谷 佳浩 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (60325123)
富田 和男 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 講師 (60347094)
達山 祥子 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (70347095)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | アクアポリン / ミトコンドリア / 歯髄細胞 / 歯髄再生療法 / 歯髄保護 |
Outline of Research at the Start |
長期的な歯の機能保持には歯髄の保存が重要であるが、歯髄炎等により抜髄となることが多い。歯髄再生療法は、現状では適応症例が限られている。一方、炎症反応では、細胞膜上のアクアポリン(AQP)の発現上昇とミトコンドリアの機能低下が起き、これらは密接に関連することが報告されている。しかし、歯髄細胞におけるこれらの関係は未だ不明である。 そこで本研究ではまず、歯髄細胞等におけるAQP発現とミトコンドリア機能の関係を検証する。次に、ミトコンドリア活性化法として自己健常ミトコンドリア移植を歯髄炎に導入し、炎症環境下においてもミトコンドリアの機能低下を生じさせないことを検証して、臨床応用の可能性を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「水チャネルであるアクアポリン(AQP)の発現が、歯髄細胞等における炎症刺激によるミトコンドリア機能低下を介して亢進し、歯髄炎進行を促進する」との仮説を立証し、ミトコンドリア移植による歯髄、歯周組織の新しい保存・再生療法の開発を行うことを目的としている。2021年度は、ヒト歯髄由来細胞(DPCs)とヒト歯根膜線維芽細胞(HPLF)において過酸化水素による酸化ストレス処理または歯周病菌由来のリポ多糖(LPS)処理48時間後の細胞生存率を解析し、過酸化水素処理では25μM以上の濃度で未処理に比べ細胞生存率に有意な低下がみられ、DPCsの方がHPLFに比べて感受性を示すこと、LPS処理ではDPCsにおいて濃度依存的に細胞生存率の有意な低下が見られることが明らかとなった。さらにDPCsにおいて、AQP8,9、炎症性マーカーのCOX2、ミトコンドリア機能タンパク質であるプロヒビチン(PHB)1, 2について各処理2時間後の定量PCRによる遺伝子発現変化を解析したところ、50μMの過酸化水素処理ではAQP8については有意な差は見られなかったが、COX2では有意に上昇、AQP9、PHB1, 2では有意な減少が見られた。10μMの濃度でLPS処理を行った場合、COX2の有意な発現上昇は見られなかったが、AQP8, 9、PHB1, 2の遺伝子発現は有意に減少していた。また、2022年度は炎症刺激によるDPCsのAQP発現やミトコンドリア機能の経時的変化について、LPS処理48時間後でのAQP8.9の遺伝子発現を定量PCRにて検討したところ、AQP8に変化は見られず、AQP9は減少傾向が見られた。今後、タンパク質発現におけるAQP8.9の経時的変化を免疫染色、ウエスタンブロットにて解析する。PHB1, 2についても同様に解析を計画する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、がん細胞由来のミトコンドリアDNA欠損細胞における炎症反応ではAQPの発現上昇とミトコンドリアの機能低下が起き、これらが密接に関連することが報告されている。また、DPCsとHPLFでは炎症刺激を加えるとAQPやミトコンドリア機能を司るPHBの遺伝子発現が起きることが明らかとなっている。現在、炎症進行におけるDPCsのタンパク質発現変化について免疫染色の検討から行っており、当初予定していたウエスタンブロットは次年度に行う計画とした。DPCsにおけるLPS処理後の遺伝子発現変化についても、2022年度は使用する定量PCRの機器の変更のため再度条件検討から行った。次年度は抗体の検証や解析方法の確認を含め、結果につながるよう引き続き研究を遂行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、まずは歯髄細胞(DPCs)に焦点を当て以下の実験を行う。その後、歯根膜線維芽細胞(HPLF) 、象牙芽細胞様細胞(OLC) および実験動物(ラット)を用いて以下の実験を行う。 1)炎症刺激によるAQP発現変化検討とミトコンドリア機能評価 A)各細胞に炎症刺激(IL-1b, TNF-α、LPS、H2O2)や糖による浸透圧刺激を行った後、ミトコンドリア膜電位、タンパク発現変化、遺伝子発現の経時的変化の解析を行う。B)各細胞にsiRNAを導入してPHB2発現抑制を行い、AQP発現への影響を検討する。また、ミトコンドリアの機能別に阻害を行いAQP発現への影響を検討する。さらに、ミトコンドリアを賦活化しAQP動態を検討する。C)ヒト線維芽細胞より取り出した健常ミトコンドリアを炎症刺激によってミトコンドリア機能が低下した細胞に移植し、その回復効果を、AQP動態、ATP産生量等を指標に検討する。D) Wistarラットに窩洞形成し、起炎物質(LPS等)を用いて歯髄炎モデルや歯周炎モデルを作成し、歯髄細胞等のミトコンドリア機能、AQP動態を検討する。 2)歯髄炎、歯周炎動物モデルを用いたミトコンドリア移植と従来型歯髄再生療法の効果の検討 A)上記1)-D)のミトコンドリア移植モデルと、従来型歯髄再生療法による有効性や即効性、病態の緩和状況を病変部にて組織学的に比較検討する。B)動物実験(自発的舌突出行動、対物攻撃性試験)にて、動物の不快感を評価する。以上より、ミトコンドリア移植による歯髄、歯周組織の新しい保存・再生療法の開発を行う。研究成果はオープンアクセスの国際雑誌に投稿し、広く公表を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)