血小板に含まれるポリリン酸がPRP組織再生治療において果たす役割の解明
Project/Area Number |
21K09932
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57040:Regenerative dentistry and dental engineering-related
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
川瀬 知之 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90191999)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 血小板 / 多血小板血漿 / ポリリン酸 / 組織再生 |
Outline of Research at the Start |
血小板濃縮材料は再生治療に広く応用されている.その根拠は,血小板中に豊富に含まれる増殖因子群による血管新生と細胞増殖の誘導作用による.近年,血小板のポリリン酸(polyP)は,exosomeとともに注目されるようになってきた.現時点では主に血液凝固促進と骨再生への関与にだけ関心が集まっているが,特異性の高い可視化技術や定量技術の確立が進めば,低濃度のpolyPしか含まれてないとされる血小板でもその生理的・病理的役割の全貌が解明されるものと期待される.本研究では,polyPの可視化や定量などの基盤技術を早期に確立し,この技術をもとに血小板に含まれるpolyPの動態と再生活性への関与を解明する.
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Outline of Annual Research Achievements |
1) PRPに含まれるpolyPの個体差の評価: 毎日計画的な身体トレーニングを欠かさないJ2リーグのサッカー選手の協力を得て,同年代の一般健康人を比較した.骨格筋のエネルギー代謝が高いアスリートの血小板polyPは,一般人より有意に低いという結果であった. 2) 凝固系・線溶系への関与の検討: polyPは血小板の止血効果において重要な役割を示すといれているが,市販の熱重合により人工的に合成されたpolyPを使用する限り,このような効果は認められなかった. 3) 骨芽細胞・破骨細胞・血管内皮細胞への影響評価: 市販の合成polyPを培養細胞に投与し,その増殖に及ぼす影響にについて予備実験的に検討した.結果的に有意な影響が認められなかったが,37℃におけるpolyPの半減期が数時間程度であることも確認した. 4) サンプルの保存: これまでの予備実験の結果,血小板polyPを再現性高く測定するには,自家蛍光の非常に少ない固定剤を使用して,固定から数日以内に実験に供することが必要であった.しかし,サンプルが多数に及ぶ場合,この方法では処理数に限界がある.そこで,血小板を一晩固定後,水洗し,-80℃で凍結保存することで少なくとも6週間は安定して保存できることを見出した. 5) 培養細胞中のpolyP局在の解明: 今後の実験系に使用する骨芽細胞や線維芽細胞において,血小板同様にpolyPの局在を検証した.DAPIに親和性があるDNAについては避けて観察することで影響を最小限にすることができるものの,血小板に認められたような強染色を示すpolyPの局在は認められず,細胞全体がDAPIに染まるような像が観察された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
血小板polyPレベルの個体差については,広範囲の年齢層の一般人およびプロアスリート集団を対象に継続的に検討している.データの蓄積も計画を上回るものがあるので,想定以上の進捗状況といえる.研究結果も随時論文として,国際誌に発表した. また,polyP測定に関連して,定量法の確立だけでなく,計画にはなかったものの,サンプル保存法についても,今後の展開を優位にする技術開発に成功したことは評価に値すると思っている. しかし,polyPの凝固・線溶系や培養細胞に対する生理活性に関しては,市販の合成polyPが文献にあるような効果を示していないため,研究が遅れている. また,今後実験に使用する骨芽細胞などの付着系有核細胞において,polyPの可視化が難しいことがわかり,実験がそこで停滞している. エクソゾームに関しては,超高速遠心機が利用できる環境ではないため,市販のポリマーをベースにしたキットをいくつか試してみたが,これまでの回収率を大きく上回るような結果を得ていない. さらに私事ながら,年度末の1か月間,新型コロナ感染により入院加療が続き,ほとんど実験が手につかなかったことも進捗に影響したと思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
市販の合成polyPに代わるものとして,ヒト血小板を大量に集めてpolyPを抽出するか,あるいは少量のpolyPでも有効的な作用させられるような徐放性基材を開発することが必要である. 付着系細胞の細胞全体を覆うようなDAPI反応性蛍光物質は,おそらく,細胞膜表面のプロテオグリカンなどのポリマーがpolyPに対して親和性を持っているためと思われるが,この課題を解決しないと骨芽細胞内部あるいは周辺でのpolyPの挙動を追跡できないので,対策を検討する必要がある.具体的には,プロテオグリカンを特異的に分解する酵素などを入手して試す. エクソゾームに関しては,さらに使用したことのない市販のキットをいくつか試す,あるいは,抽出前のサンプル処理に工夫することで課題を解決したい.
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Fluorometric quantification of human platelet polyphosphate using 4’,6-Diamidine-2’-phenylindole dihydrochloride: application in Japanese population.2021
Author(s)
Watanabe T, Kitamura Y, Aizawa H, Masuki H, Tsujino T, Sato A, Kawabata H, Isobe K, Nakata K, Kawase T
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Journal Title
Int J Mol Sci
Volume: 22
Issue: 14
Pages: 7257-7257
DOI
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Peer Reviewed / Open Access
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