Project/Area Number |
21K09977
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57050:Prosthodontics-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
水口 真実 岡山大学, 大学病院, 医員 (20634489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪木 拓男 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (00225195)
水口 一 岡山大学, 大学病院, 講師 (30325097)
三木 春奈 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (60739902)
小山 絵理 岡山大学, 大学病院, 医員 (60779437)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | サルコペニア / ACTN3遺伝子 / 舌機能低下 / 遺伝子多型 / ACTN遺伝子 / 咀嚼機能低下 / 機械学習 / 評価 / 早期発見 |
Outline of Research at the Start |
口腔機能の低下による低栄養は,全身の筋力低下につながる。口腔機能の低下を早期発見し,早期に改善できれば,要介護状態への転落を遅延することができると考えられる。そのためには,口腔機能の低下を初期段階で妥当性高く,簡便に検出できる手法,基準が必要となる。 そこで,口腔機能の一部である咀嚼機能の初期低下を簡便に精度高く検出する手法を,ワイヤレス筋電計によって得られた実際の食事時の筋電図データから解明する。この際,残存歯数,舌の巧緻性,認知機能等の既存の咀嚼機能低下関連因子を交絡因子として考慮し,咀嚼機能低下をきたすハイリスク高齢者に対して,早期発見システムの構築を行ない超高齢社会のニーズに応えたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
要介護高齢者の増大に対して,要介護状態の発症を遅らせ,健康寿命を延伸することが強く望まれている。近年,フレイルが高齢者の自立喪失の有意なリスク因子であると報告された。フレイルサイクルの一端に口腔機能,特に咀嚼嚥下機能の低下による低栄養がある。そこで,口腔機能低下に関するリスク因子を早期に発見し,早期に口腔機能,栄養状態の改善を図ることができれば,高齢者の要介護状態への転落を遅延できると考えられた。 そこで,実際の食事時の筋電図を音声波形解析技術の応用により,早期の咀嚼機能低下を類推する試みを開始した。しかし,教師データ獲得が困難であったため,他のリスク因子の検討を行った。 咀嚼嚥下機能の維持,賦活を目的として行われる筋機能訓練は,オーラルディアドコキネシスに加え,舌圧も改善することが知られている。この舌圧は骨格筋量よりも体幹筋量の影響を受け,舌機能や舌骨上筋群は速筋繊維が優位な筋と言われている。一方,サルコペニア発症時には速筋線維優位な筋線維の萎縮が生じ,速筋はサルコペニアの影響を大きく受ける。このサルコペニア発症のリスク因子の一つに,ACTN3遺伝子R577X多型による筋線維の萎縮が明らかとなっている。そのため,このACTN3遺伝子多型の差異が舌機能低下並びに嚥下障害を呈するリスクとして考えられるのではないかと着想した。 そこで本年度は,ACTN3遺伝子R577X多型が舌機能低下並びに嚥下障害を呈するリスクとなるかを評価するための予備的検討を行った。まず,高齢者を対象にDNAを採取する必要があることから,被検者負担の少ない採取方法並びにその結果の妥当性について検討した。その結果,従来の唾液採集によるDNA抽出と同程度の精度を有した採集方法を確立した。今後は,この手法を用いて対象被検者の負担少なくDNA収集,R577X多型の評価を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで唾液からDNAを抽出し,ACTN3遺伝子R577X多型の評価を行っていたが,そのためには大量の唾液を採取する必要がある。そのため,要介護高齢者ではその唾液採取が困難であるという問題点があった。そこで本年度は,従来の吐出唾液ではなく,口腔内に残存している唾液や頬粘膜の擦過によって得られた試料からDNA抽出が可能か,またその実行可能性,検査結果の妥当性について検討を行った。 健常者を対象に,通常の吐出唾液を対象とした10名分の試料と無菌綿棒により口腔内残存唾液や頬粘膜の擦過にて採取した唾液サンプル(擦過唾液:4名分)を用いて,DNA抽出,リアルタイムPCRによるACTN3遺伝子R577X多型の解析を行った。さらに,擦過唾液を4名から2回行い,それぞれの資料から得られた結果の妥当性について,検査結果の一致度を用いて検討した。 その結果,吐出唾液,擦過唾液ともにリアルタイムPCRによるACTN3遺伝子R577X多型の評価は十分に行うことができた。さらに,擦過唾液による4名のACTN3遺伝子R577X多型の評価結果も全て一致した。そのため,無菌綿棒による擦過唾液によっても遺伝子多型の解析は十分,実施可能であることが明らかとなった。 これら予備的検討を行えたものの,高齢者の受診控え,高齢者施設への立入禁止処置等により,高齢者を対象とした臨床診査を含む本研究の実施は困難であった。今後,高齢者施設の外部研究者の受入状況の変化に伴い,高齢者サンプルの収集を行う予定である。 また本研究計画書は,岡山大学臨床研究審査専門委員会の審査を受け,研究実施の承認を受けており,高齢者施設の受入状況に応じて,いつでも実施できる状況に至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの予備的検討から,口腔機能低下のリスク因子と考えられているACTN3遺伝子R577X多型の解析手法は確立できた。さらに唾液の吐出が困難な要介護高齢者の唾液サンプルを習得する方法として,滅菌綿棒による擦過唾液という新たな唾液採取方法を確立したことで,本研究の実行可能性は飛躍的に高まった。同時に,新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い,高齢者施設の研究受け入れ再開にも期待が持てる。 今後は,サルコペニアに関連する遺伝子多型と舌機能,嚥下機能低下との関連を検討することで,それらが舌機能,嚥下機能低下の早期リスク因子となるか検討を行う。さらに,前期高齢者でありながらすでに要介護状態(要介護度4以上)の高齢者と,要支援がなく自立した生活が可能な80歳以上の高齢者のDNAを採取し,これら高齢者の差異をgenotypeの観点から検討を行うことで,サルコペニアに加え舌機能,嚥下機能低下に関する未知の遺伝子多型の解明を試みる。本研究内容は,すでに本学倫理委員会に審査申請を行い,研究実施の承認を受けているため,すぐさま実施可能な状態にある。
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