形状記憶ゲルを利用した周術期医療にも対応可能な顎補綴装置の開発
Project/Area Number |
21K09993
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57050:Prosthodontics-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小山 重人 東北大学, 大学病院, 准教授 (10225089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30178644)
古川 英光 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (50282827)
日原 大貴 東北大学, 歯学研究科, 助教 (60781292)
川上 勝 山形大学, 有機材料システムフロンティアセンター, 准教授 (70452117)
佐藤 奈央子 東北大学, 大学病院, 助教 (80510015)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 形状記憶ゲル / 顎顔面補綴 / 顎補綴装置 |
Outline of Research at the Start |
形状記憶ゲルを用いることにより,周術期を連続的に担い術後早期回復を促進する顎補綴装置および治療システムの基盤を形成することを目的とする.形状記憶ゲルは2種類のモノマーからUVラジカルバルク共重合により合成され,低温ではゲルの秩序構造により硬く,加熱するにつれ結晶融解が起こり,ゲルのヤング率が急激に低下すると同時に素早く元の形に戻ろうとする特性を持つ. 方法は①形状記憶ゲルの内部構造解析,力学物性評価にて,顎補綴装置に最適な形状記憶ゲル組成を決定し,②3Dゲルプリンティングシステムにて形状記憶ゲルを利用した顎補綴装置の設計,形状記憶システムと操作条件を構築し,本技術の臨床応用への妥当性を検証する.
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Outline of Annual Research Achievements |
形状記憶ゲル(SMG)は、低温ではゲルの秩序構造により硬いが、温度上昇に伴い結晶融解が進み、材料を変形することができる。冷却すると再び結晶化し、その形状を維持するが、再度加熱すると、結晶融解によりSMGは元の形状に回復する。本年度はSMGを顎顔面補綴装置に応用するため、2種のアクリレートモノマーの配合比率の制御により、口腔内使用を想定した最適化を図った後、圧縮永久歪試験を行い、温度変化に伴う形状記憶回復性を評価した。 N,N-Dimethylacrylamide、N,N-Methylenebis (acrylamide)、Docosyl Acrylate(DA)およびStearyl Acrylate(SA)を配合し、光重合開始材の添加により光硬化型SMGとし、DAおよびSAの配合比率が異なる試作品を作製した。作成した光硬化型SMG試験片に対し、圧縮永久歪試験を行った。SMG硬化体の中心部の厚みを測定した後、60℃で軟化させ、圧縮永久歪試験器で硬化体を25% 圧縮し、圧縮形状を記憶させた。次いで、23℃、37℃および60℃にそれぞれ圧縮永久歪試験器を開放して、SMG硬化体の寸法変化を測定した。 全てのSMG配合条件において、23℃で100%の形状固定率を示した。37℃では、DA50-SA50、 DA75-SA25、 DA100-SA0において高い形状固定率を示した。60℃では、SAを配合した材料において、低い形状固定性を示したことから、温熱下における急激なヤング率低下により形状回復性を示したと考える。DA100-SA0では、60℃の形状固定率が有意に高く、回復性に乏しいことが分かった。結晶融点の高いDAは、SMGの転移温度を高温側にシフトさせ、口腔内温度において安定した形状固定性を付与することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗況に関しては、おおむね順調に進展しているとした。 その理由としては、使用環境を想定した材料特性動および材料安定性評が終了し、その問題点であった口腔を想定した37℃条件下に適した配合が確認されたことによる。DAおよびSAの配合比率を制御することで、転移温度よりも高い熱を加えると形状回復性を示し、口腔内温度において安定した形状固定性を付与することができたことより、次年度では、さらに臨床応用に適した材料特性および配合を決定すること、およびSMGの3Dプリンティング加工の目途がたった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては臨床応用を視野に入れ、口腔環境の保持性と形状固定性さらに向上させるため、SMG材料の配合を最終決定する。決定したSMG材料の口腔内における材料特性挙動を確認する。また、そのSMG材料の生体安全性評価試験クラスⅡ(ISO10993:細胞毒性試験、感作性試験、皮膚刺激性試験)を行い、新規歯科材料・患者に使用可能な医療装置開発を念頭に進める。 また最終的目的である、3DプリンティングにてSMG利用補綴装置を製作する臨床応用段階に移行するために、連携研究施設である山形大学工学部SWELとの協力を推進する予定である。このためには平行して、今までのデータを基盤とし3Dプリンティング材料に適した形状記憶ゲルへの改良も実施する。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)