口腔がんの浸潤・転移を抑える創薬の新たな分子標的、シャペロン依存性オートファジー
Project/Area Number |
21K10063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57060:Surgical dentistry-related
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
横山 三紀 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (70191533)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | シャペロン依存性オートファジー / 口腔がん / Hsc70 / LAMP2A / Rac / 浸潤 / 細胞運動 / リソソーム / LAMP-2 |
Outline of Research at the Start |
シャペロン依存性オートファジー(CMA)は、特殊なタンパク質分解の経路のひとつである。分解対象のタンパク質のCMAモチーフがシャペロンタンパク質に認識されると加水分解酵素を含む細胞内小器官であるリソソームに運ばれ、内部に取り込まれて分解される。CMA活性の調節の破綻ががんや神経変性疾患に関連し、またCMA活性が老化と共に減少することが報告されている。しかしどのようなタンパク質が、どのような状況でCMAの基質になるかについての知見は十分ではない。本研究では口腔がんの浸潤に関与する因子がCMAの基質になる可能性を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
口腔がんの頸部リンパ節や遠隔臓器への浸潤・転移を阻止する新戦略が求められている。がん細胞の浸潤・転移は上皮間葉移行による高い運動性の獲得によって亢進する。シャペロン依存性オートファジー(CMA)は標的となるタンパク質がシャペロンタンパク質Hsc70に認識されリソソームに運ばれて分解されるタンパク質分解経路である。代表的なタンパク質分解経路であるマクロオートファジーを介したリソソームによる分解、ユビキチン化を介したプロテアソームによる分解と比較すると、CMAでは分解されるタンパク量は少ないが分解の特異性が高いという特徴をもつ。近年、がん細胞において代謝や増殖の制御に重要な因子がCMAにより分解されることが明らかになっている。しかしCMAの浸潤・転移への関与は不明である。本研究では予備実験から示唆された細胞運動に必要なRac/Rhoの活性化制御因子のCMAによる分解の可能性を調べることを目的とした。それによりCMAが、がんの浸潤抑制のための創薬の新たな標的となる可能性を探る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CMAの第一段階はHsc70による分解対象の基質タンパク質の認識である。Hsc70はKFERQモチーフとよばれる5アミノ酸残基の配列を認識して結合すると考えられているが、KFERQモチーフが満たすべき条件は5残基のどちらかの端がQ (またはN)で、残りの4残基の中に塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸、疎水性アミノ酸 (F/V/L/I)を少なくとも1残基ずつ含むことである。当初Rac/Rhoの活性化制御因子がCMAの基質になるかを直接調べようとしたが、実験系を構築することが困難であったため、KFERQモチーフをHsc70がどのようにして認識するかを明らかにする計画に切り替えることにした。そこでKFERQモチーフの近傍に部位特異的に光反応性の架橋部位 (pBpa)を導入し、Hsc70との架橋が形成された場合には、その架橋がHsc70のどの部位との間に形成されたかを調べることを計画した。しかし、架橋形成の相手を同定する技術は存在しなかった。そのため、架橋形成の相手側に、部位特異的に切断部位を導入するという方法を新たに開発した。この結果をProtein Science [32:e4823 (2023)]に報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
部位特異的架橋・切断を組み合わせる技術を確立できたので、まずKFERQモチーフの近傍に部位特異的に光反応性の架橋部位 (pBpa)を導入し、Hsc70との架橋部位を同定をおこないたい。同定できた場合には、Hsc70側に架橋部位を導入することで、さまざまなRac/Rhoの活性化制御因子について、Hsc70に認識されるかどうかを調べ、認識される因子についてはさらにCMAの浸潤・転移への関与を検討したい。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)