成人期摂食機能不全をもたらす口腔機能発達期のストレスによる視床下部エピゲノム記憶
Project/Area Number |
21K10112
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57060:Surgical dentistry-related
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
片桐 綾乃 大阪大学, 大学院歯学研究科, 講師 (40731899)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 隆史 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (50367520)
上野 祥夫 大阪大学, 大学院歯学研究科, 招へい教員 (50880118)
毛利 育子 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 准教授 (70399351)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 口腔機能発達不全 / 睡眠障害 / ネグレクト / 摂食機能障害 / 感覚過敏 / DOHaD / 摂食機能不全 / 口腔機能発達 / 育児放棄 / 視床下部 / エピジェネティック変化 |
Outline of Research at the Start |
生後直後や発達期の環境要因が、成人期以降の健康に影響を及ぼす(DOHaD)ことが注目されている。本研究課題では環境要因として、外的要因の育児放棄(低栄養・ストレス)、口腔顔面形態・機能の発達に関係する内的要因の睡眠妨害(睡眠時無呼吸)を想定した。離乳前後は、口腔機能の発達に伴い、栄養環境および摂食能力が劇的に変化する。口腔機能発達期の育児放棄や睡眠妨害は、摂食行動・痛覚・睡眠をコントロールする視床下部にエピジェネティック変化をもたらし、摂食関連機能異常の残存をきたすと考えられる。視床下部の機能を解明し、口腔機能発達における早期の治療的介入の必要性について、エピゲノム医療の視点から立証する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
出生直後や発達期における環境要因(健康・栄養状態)は、成人になってからの健康に影響を及ぼす(Developmental Origins of Health and Disease: DOHaD)。本研究では、摂食能力の向上により栄養環境が劇的に変化する離乳期前後のストレスが、神経系のエピジェネティック変化を惹起し、成人以降も咀嚼能力や口腔内感覚など、摂食に関する機能の異常が残存すると仮説を立てている。離乳期前後のストレスモデルには、ネグレクトおよび口腔顔面形態・機能の発達に関係する睡眠時無呼吸(2021年度報告)を用い、成人以降の摂食関連機能異常を行動学的に明らかにした。さらに、本年は性差にも着目した。 ネグレクト群、乳児期睡眠時無呼吸群、およびストレスを負荷する時期要因を解析するために、成人期睡眠時無呼吸モデル群を設定した。Grip force test、摂食テスト(単位時間当たりのペレット、パスタ摂食量測定)、口腔粘膜への機械刺激に対する嫌悪反応閾値、口腔粘膜の無髄神経線維刺激に対する嫌悪反応閾値を、離乳から成人期にわたり測定した。オスラットでは、ネグレクト群、乳児期睡眠時無呼吸群、成人期睡眠時無呼吸群と対象群間で、体重増加およびGrip forceにおいて有意な差は認められなかった。一方、ネグレクト群、乳児期睡眠時無呼吸群において、摂食能力の低下を認めた。さらに、乳児期睡眠時無呼吸群では、成人後に口腔粘膜への機械刺激に対する嫌悪反応閾値および無髄神経線維刺激に対する嫌悪反応閾値が低下した。しかし、成人期睡眠時無呼吸症候群群では、これらの変化は認められなかった。すなわち、乳児期のストレスは、摂食関連機能異常の晩期残存を呈する要因となることが示唆された(論文投稿)。メスラットもオスラットと概ね同様の傾向を示すが、成人以降は性ホルモンの影響を強く受ける結果を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目である2022年度はDOHaDモデル動物が呈する摂食関連機能異常の行動学的な特徴を、時期的要因および性差の視点から解明した。DOHaDモデル動物において、口腔顔面領域を支配する三叉神経の感覚ニューロンおよび運動ニューロンの機能変化を免疫組織学的に明らかにしており、本プロジェクトはおおむね順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
メスラットの成人以降の摂食関連機能異常を呈するDOHaDモデルについて、その行動学的および神経生理学的特性を、オスラットとの比較、また、性サイクルの影響という視点から解明し、誌上発表する。成人以降の摂食関連機能異常を呈するDOHaDモデルラットは、口腔顔面領域の機能異常だけではなく、不安行動や社会行動異常を呈することを確認しており、口腔顔面領域と全身性に生じる種々の機能異常の相関における神経学的メカニズムを探究していく。
|
Report
(2 results)
Research Products
(1 results)