Project/Area Number |
21K10196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57070:Developmental dentistry-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
伊藤 龍朗 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (60635126)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 複合バイオフィルム / C. albicans / S. mutans / 早期小児齲蝕 / 母子感染 |
Outline of Research at the Start |
早期小児齲蝕(Early Childhood Caries: ECC)はバイオフィルム (B.F.)感染症の一つであり、臨床の場で頻繁に遭遇する。その発症にはCandida albicansの保有に強い関連があることが解明されつつあり、母子感染の可能性も指摘されている。本研究では、患者の背景情報と微生物プロファイルを取得し、Streptococcus mutans-C. albicans複合B.F.モデルの齲蝕関連因子と構造を解析する。これらを包括的に評価する事で、B.F.の病原性とC. albicansの母子感染を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
早期小児齲蝕(Early Childhood Caries: ECC)はバイオフィルム(B.F.)感染症の一つであり、臨床の場で頻繁に遭遇する。ECC患児の口腔B.F.(歯垢)からは S. mutansと共にCandida albicansが高頻度で検出され(ECCオッズ比5倍以上)、さらには母子感染の可能性が示唆されている。C. albicansとECCの関連を調査した疫学研究は「(1)患者情報の統計解析」と「(2)微生物プロファイルの取得」にとどまっており、B.F.の 観点で ECCとC. albicansの母子感染を解析した例はほとんどない。そこで、細菌と真菌が共存した複合B.F.を一単位とし、口腔からの分離株を用いて検討する必要があると考えた。本研究では、ECC患児とその母親の試料からS. mutans-C. albicans複合B.F.を構築し、「B.F. の齲蝕関連因子と構造」という観点で、その病原性とC. albicansの母子感染を明らかにしていく。 令和5年度では、引き続き3歳以上の小児とその母親を対象に、C. albicansとS. mutansの生菌数測定を実施すると同時に、臨床分離株を作成しC. albicansの母子感染をAP-PCRで評価した。その結果、C. albicans検出率はCaries群母47.3%>Caries群子25.5%(子)>CF群母24.0%>CF群子0%であった。またC. albicans保有小児の92.9%が重度ECCであった。母子由来のC. albicansをAP-PCRにて解析したところ、79.7%が株レベルで類似していた。ここまでの成果を論文にまとめて投稿し、令和5年12月にPediatric Dental Journalに受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度では臨床分離株からB.F.を構築し、齲蝕関連因子と構造解析を行う予定であったが、20組の評価では解析の頑健性が低いと判断し、Caries群の被験者数を55組にまで増加させることとした。Caries群(子)ではC. albicansを検出したが、CF群(子)では未検出であった。母子のペアの場合、C. albicans検出率はCaries群でそれぞれ25.5%(子)、47.3%(母)であった。一方CF群ではそれぞれ0%(子)と24.0%(母)であった。C. albicansの生菌数は多い順に、Caries群母(5.7E+04 CFU/ml)>Caries群子(2.8E+04 CFU/ml)>CF群母(1.3E+03 CFU/ml)であった。また検体由来のコロニー表現型からC. albicansを分離し、AP-PCRのバンドパターンに基づいて系統樹を作成することで遺伝的近縁関係と多型を評価した。この段階で結果を一旦まとめることとしPediatric Dental Journalへ投稿、令和5年12月に同誌に受理された。令和5年度に予定していたB.F.アッセイを延期し、論文執筆にその分の時間と労力を投資することで成果を得た。 以上の理由から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ハイドロキシアパタイトディスクモデルにて、臨床分離株を用いた複合B.F.アッセイを行う。複合B.F.の齲蝕関連因子として、B.F.中の生菌数、バイオマス、 EPS、齲蝕病原遺伝子(グルコシルトランスフェラーゼや耐酸性遺伝子)、酸産生能を定量し、その病原性を評価する。さらに共焦点レーザー顕微鏡により、臨床 分離複合B.F.の3Dイメージングを行う。B.F.形成の過程でS. mutans, EPS, C. albicansそれぞれに異なる染色を施し、視覚的に構造を解析する。S. mutansのマ イクロコロニーのサイズ、EPSの厚みと分布、C. albicansの菌糸形態、細菌と真菌の組み合わせパターンを主に観察する。 本学生物資源科学部 成澤直規准教授らのグループにより、ナットウキナーゼ抽出成分が実験室株のS. mutansに対して有望なB.F.阻害効果を示すことが報告されている。同研究室とは共同研究を推進中であり、本研究で得られたS. mutans臨床分離株を用いて同試験を追試する。
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