Project/Area Number |
21K10251
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57080:Social dentistry-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野原 幹司 大阪大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (20346167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 えりか 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (30816450)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 低栄養 / 嗅覚 / 味覚 / アルツハイマー型認知症 / 食欲 / 服薬数 |
Outline of Research at the Start |
日本は超高齢社会を迎え要介護高齢者も増加の一途をたどっている.そこで問題となっているのが低栄養である.要介護高齢者の低栄養の改善のためには,原因である食欲低下にフォーカスを当ててアプローチする必要がある. 食欲には味覚と嗅覚が大きく関わる.われわれは要介護高齢者を対象として,味覚・嗅覚機能と食欲の関連について研究を行ってきた.しかし,要介護高齢者はさまざまな疾患を有するため,オーダーメイドの食欲改善プログラムを考えるには原因疾患にもとづいた傾向を明らかにする必要がある.本研究は,原因疾患ごとの味覚・嗅覚機能および嚥下機能と食欲・栄養状態との関連を明らかにすることを目的としている.
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Outline of Annual Research Achievements |
申請者は,要介護高齢者においては嗅覚や味覚は著しく低下しており,それらが食欲に影響している可能性を明らかにしてきた.しかしながら,要介護高齢者はヘテロな疾患の集合である.本研究では疾患ごとの嗅覚・味覚・嚥下機能と食欲との関連を明らかにすることを目的に,アルツハイマー型認知症の症例(AD群)を対象とした.精神科医によりADと診断され,高齢者施設に入所中のコミュニケーションが可能な57名を対象とした.平均年齢は88.1 (SD 5.3)歳,平均介護度2.6 (SD 1.2),FASTの平均は5.1 (SD 0.6)であった(AD群).対照群は介護を必要としない65歳以上の高齢者39名で,平均年齢81.2(SD 6.1)歳であった.HDS-Rは21点以上であり,平均25.7 (SD 4.0)点であった(非AD群). 調査項目は嗅覚(OSIT-J 基準値9点),味覚(Salsave 基準値0.6mg/平方cm),食欲(CNAQ 基準値16点),栄養状態(BMI),服用薬剤数とした.2群のt検定の結果で年齢に有意差を認めたため,年齢を共変量として年齢差を考慮せず解析できる共分散分析にて2群間を比較した(信頼区間:95%). OSIT-J は2群とも基準値を下回った.2群間に有意な差を認め,AD群が嗅覚低下していた (p <0.001) .Salsaveは2群とも基準値を下回ったが,2群間に有意な差を認めなかった (p =0.05) .CNAQ,BMIは2群とも維持されており,2群間に有意な差を認めなかった(それぞれp=0.20,p=0.22).服用薬剤数は2群間で有意な差を認め,AD群が多かった(p=0.001).以上のことから,ADにおいては,非ADと比べて著しい嗅覚低下が認められたものの,味覚低下は両群で差を認めず,食欲や体格についても差がないことが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究はヒトを対象とした調査研究であり,とくにヒトの中でも疾患を有する高齢者(アルツハイマー型認知症患者)を対象としている.そのような調査の性質上,主たるフィールドは病院や高齢者施設となる.2020年以来のCOVID-19感染症は,致死率の高い高齢者に対する感染対策が極めて重要であり,その流行期においては高齢者施設において外部からの来客を禁止するところが数多く出てきている.そのため,本研究においても,予定していた施設での調査が中止になったり,延期になったりすることがあった. その対策として,厳重な感染対策を行って調査する,緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の期間を避けて調査するなどを行ってきた.本研究の申請時から感染状況も考慮して研究計画を立てていたため,COVID-19の流行を繰り返した年度の割には,それなりの調査成果が得られたと思われる. 2023年度終了時点ではデータ採取は終了し,英語論文を投稿中である.今後,データや英文の修正を行いつつ,論文掲載に向けて取り組んでいく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,英語論文を投稿中である.査読結果によってはデータ採取の追加を行う.また,データ解析の追加や修正も必要に応じて行う.英語論文投稿・修正においては英語ネイティブ話者による英文校正や助言を受けつつ進めていく予定である.また研究結果および作成論文の価値を高められるよう,予算の都合がつけば論文をオープンアクセスにしたいと考えている.
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