Project/Area Number |
21K10399
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58020:Hygiene and public health-related: including laboratory approach
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
七條 和子 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 客員研究員 (90136656)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 内部被ばく / 分子病理学 / マイクロドジメトリー / 放射化マンガン / 肺 / 小腸 / 幹細胞 / 原子爆弾 |
Outline of Research at the Start |
「広島原爆において入市1日目の入市被爆者の死亡率が高い」という疫学的データを踏まえた検討で、中性子線により放射化された土中の MnO2 微粒子が大気中に多量に舞い、この放射性微粒子を吸い込むことで早期入市者に内部被ばくが引き起こされたと考えた。 カザフスタン原子炉で、MnO2 粉末に中性子線(4×1014n/cm2)を照射して得られた放射性 56MnO2 をラットに暴露する。肺では死に繋がる病的進行が平均吸収線量に依存するのではなく56Mn粒子の比放射能に依存することを報告しており、56Mn粒子の比放射能と各臓器(小腸、脳、睾丸)の吸収線量と、遺伝子不安定性の関係について分子病理学的評価を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
福島原発事故後11年を迎えた日本では、放射線の作用が、腫瘍発生・腫瘍制御に関する研究の中で社会的関心事となりその基礎的研究の重要性が増している。本研究の目的は、体内留放射能が内部被ばくとしてラットに及ぼす影響の三次元的空間分布を分子病理学的に検出し、組織細胞のマイクロドジメトリ(微視的放射線量分布)との関連を検討すること(Patho-マイクロドジメトリ)にある。私達は、長崎原子爆弾の核燃料である239Pu由来のアルファ粒子飛跡を近距離被爆者の病理標本上に確認し、内部被ばくの科学的証拠を初めて示した。現在の評価法では、被爆者の最も高い骨髄組織吸収線量は0.560 mGy/y, 生存期間68日における累積線量は0.104 mGyとごく僅かで人体に影響する値ではないと考えられたが、α粒子飛跡周辺細胞では、粒子が細胞核を通過する際の局所的線量は高線量(血管 皮細胞で3.89Gy、肝実質細胞で1.29Gy)と算出された。広島原爆からの中性子線で放射化された物質のうち内部被ばくで主要なものとして放射性Mn-56 が特定されている。放射化された土中の MnO2 微粒子が大気中に多量に舞い、これを吸い込むことで早期入市者に 内部被ばくが引き起こされたと考えられる。日本では放射線管理上の理由で実験が困難なためカザフスタン国立核研究センターの IVG.1M 原子炉で照射を行い、得られた放射性 MnO2 をラットに暴露する実験を行った。組織内に沈着するMnO2粒子近傍のβ線吸収線量を指標として肺,小腸について遺伝子不安定性分子病理マーカーの探索を行った結果、肺では放射性微粒子周辺細胞における局所的な超高線量による初期事象の肺幹細胞損傷が重大病因に繋がる可能性を見出し論文発表した。既に、幹細胞の存在が実証されている小腸では幹細胞損傷と局所積算線量との関連性について病態解明を進め論文化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1)セメイ医科大学(カザフスタン)と共同研究で内部被ばく線量を変えた実験(Mn-56x1, x2, x3)を行い病理標本を採取した。既存のラット内部被ばく病理標本の画像データーベースを作り解析した。MnO2を放射化して得たMn-56微粒子を曝露した各臓器の内部被ばくによる被曝吸収線量推定値は、全身0.14Gy、小腸1.48Gy、肺0.11Gy、他の臓器ではそれ以下だった。肺では気腫、出血、炎症が6時間から180日後まで続き、高度の炎症細胞浸潤と肺炎、無気肺、肉芽腫、高度の出血など重篤な所見が認められた。60Co-2Gy外部照射群では認められなかった。線維化について弾性性線維(エラスチン)と膠原線維(コラーゲン)を染色し陽性領域の割合を解析した結果、 内部被ばく群でエラスチンの異常沈着を認め論文review発表した。 2)Patho-マイクロドジメトリー;遺伝子不安定性マーカーとして、2種のマーカー;H&E染色による細胞核異型、TUNEL法によるDNA障害アポトーシス細胞を観察した。分子病理学的定量解析の結果Mn-56 部被ばく群では、肺および小腸の幹細胞ににアポトーシス陽性細胞が見られ論文発表した。 3)56MnO2 沈着肺病理標本のSR-XRF-XANES解析(放射蛍光X線分析法とX線吸収微細構造; 照射X線の内電子励起による吸収による元素分析)を行い、Fe元素と共存するMn2+を肺標本上に同定した。周辺組織部位は病理学的に血痰と壊死組織だった。放射性Mn56微粒子の吸収線量は主にβ線によるもので、微粒子 5μmで粒子表面線量が 8.05Gy、10μmで15.5Gyと算出された。 以上の結果を加えてreview論文を作成し発表公開した。 4)小腸標本で幹細胞にアポトーシス陽性異常細胞とMn2+の同定結果が得られたので、論文投稿し受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
肺、小腸について検討した結果をまとめて、内部被ばく群での病態の増悪化の機序を考察し論文発表したので、更に、脳、睾丸などの他臓器についても同様に検討する。遺伝子不安定性と幹細胞損傷について局所積算線量を指標とした検討も含めて内部被ばくの分子病態解明を行う。目に見えない放射線が、内部被ばくでは局所的高線量であるため、最初に幹細胞の損傷を引き起こし、長い年月をかけて生体に及ぼす重大病因にどう繋がっていくのか解明を進めていく必要がある。
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