Project/Area Number |
21K10412
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58020:Hygiene and public health-related: including laboratory approach
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
田丸 亜貴 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主幹研究員 (70270767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 朋忠 神戸市健康科学研究所, 感染症部, 部長 (70416402)
村瀬 良朗 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 抗酸菌部 結核菌情報科, 科長 (80535998)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 結核菌 / 結核感染源調査 / 結核菌全ゲノムSNPs解析 / ゲノム解析 |
Outline of Research at the Start |
全ゲノム比較解析による結核菌分子疫学調査を本邦への導入するために、大規模結核集団感染や続発患者が数年以上経て出現する長期結核感染事例由来の菌株を用いて日本の結核菌の経時的なゲノム変異を解析し、日本での結核菌の関連性の有無を判別する「変異の閾値」を明確にする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、結核感染経路の結核菌ゲノム情報からの判定を目的とする.そのために,種々の発生規模や発生間隔の結核集団感染事例から分離された結核菌株を全ゲノム比較解析し、日本の結核菌株間の疫学的関連を判別する「ゲノム変異の閾値」を明らかにする.2023年度は昨年度に引き続き患者発生間隔が約1年以上かつVNTR型別で同一感染源由来と判定された集団感染由来結核菌株・同一患者由来結核菌株の全ゲノム一塩置換多型(SNV)解析を実施し、菌株間のSNV数を調査するとともに、大規模結核集団感染由来株の感染経路調査も試みた。 【方法】 保存菌株を再培養してゲノムDNAを精製,イルミナMiSeqにより全ゲノムリードを取得し,解析パイプラインMTBseqにより全ゲノムSNV解析を実施し、Median Joining Networkによりネットワーク図を取得した。 【これまでの結果】 VNTR型別法により同一株による再発と判定された結核再発事例11事例および同一感染源由来と判定された結核集団感染事例17事例由来の結核菌53株を対象とした。再発事例の菌株間SNV数は0が5事例、1が1事例、2が2事例、3が2事例、4が1事例であった。昨年度解析した初回発症から10年後に再発しSNV数が6であった事例はCoverage の低いSNVを除いたところSNV数が3になった。外群と比較すると他に感染源があったと推測できる結果となった再発事例が4事例あった。集団感染事例では0が5事例、1が4事例、2が4事例、3が3事例、6が1事例であった。SNV数が6であった事例は、外群と比較すると家族2名以外に感染源があったと推測できる結果となり、推定感染源からのSNV数は1株が1、もう一株が5となった。患者発生間隔とSNV数の分布は6年以内の17事例では0~3、6年以上の11事例では1~6となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は解析数を増やすことができ、さらに変異部位を詳細に検討することにより、おおむね海外での標準である「疫学的関連のある菌株間のSNV数は5以内」と一致した結果が得られた。しかし、外群と比較すると他に感染源があったと推測できる結果となった再発事例が4事例あった。これらは感染後に体内で微細変異が起こり初発の菌株と再発の菌株にSNVがみられたことが原因と考えられるが、次年度以降解析方法等について検討したい。 また、発症患者が5名以上かつ初発患者発生から数年後に続発患者の発生があった結核集団感染5事例由来株を全ゲノムSNV解析したところ各事例の菌株間SNV数は0~3で、長期にわたる大規模結核集団感染でも「疫学的関連のある菌株間のSNV数は5以内」の適用が可能なことが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
続発患者数が5名を超える大規模な集団感染,感染経路が複雑なケース(初発患者が再発後に続発患者に感染、集団感染後に初発患者が再発、など)由来の菌株など,できるだけ多くの同一菌株由来結核菌群の全ゲノムリードを取得し,全ゲノムSNP解析し、結核菌集団感染で起こりうるSNPその他ゲノム変異を調べる。さらに日本では疫学的関連がないが同一遺伝子型を示す広域多発株が多数存在する。広域多発株と同一遺伝子型の集団感染事例由来株の全ゲノムSNP解析結果を比較し、日本での結核菌の関連性の有無を判別する「変異の閾値」を明確にする。
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