埼玉県内の臨床および下水から分離したESBL産生大腸菌の解析
Project/Area Number |
21K10418
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58020:Hygiene and public health-related: including laboratory approach
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
岸井 こずゑ 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (10629570)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | One health approach / 下水流入水 / 臨床由来株 / ESBL産生大腸菌 / CTX-M遺伝子型 / 地域差 / blaCTX-M-27 / ST131 / blaCTX-M-9 group / blaCTX-M-1 group |
Outline of Research at the Start |
ESBL産生大腸菌は、1980年代から欧米で出現し、瞬く間に全世界の医療機関に広まった。我が国では、2000年代に入り徐々に増加が見られ、その後、急激に増加した。近年では、健常者の腸管内にESBL 産生大腸菌が保菌されていることも明らかにされ、ESBL 産生菌の感染対策には、臨床だけではなく市中及び環境を含め、継続的に監視する必要性が高まっている。本研究では、環境及び臨床由来ESBL産生 大腸菌を対象として薬剤感受性試験、耐性遺伝子解析及び全ゲノム解析を行い、各分野の薬剤耐性の状況や相互の関係性を明らかにすることを目的とする。本研究結果は、環境及び臨床の垣根を超えた感染制御に大きく貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、埼玉県内の環境および臨床由来ESBL産生 Escherichia coliを対象として薬剤感受性試験、耐性遺伝子解析および全ゲノム解析を行い、各分野の薬剤耐性の状況や相互の関係性を明らかにすることを目的とする。本年度は、環境由来株の埼玉県内における地域差を確認するため、昨年度解析対象とした下水処理場Aとは異なる処理場Bの流入水(2021年4月, 6月, 8月, 10月, 12月, 2022年2月月採水)より分離したESBL産生E. coli 24株を解析対象に加え、薬剤感受性の確認、CTX-M遺伝子型の決定を進めた。両処理場の1年間のESBL産生E. coliの分離率は、A処理場で3.77%、B処理場で3.21%であり、Fisherの直接確率検定の結果、P=0.549となり有意差は認められなかった。薬剤感受性についても大きな差は見られなかった。CTX-M遺伝子型については、A処理場ではCTX-M-1Gが、B処理場ではCTX-M-9Gが最も分離頻度が高かく、両処理場のESBLの遺伝子型構成について、Fisherの直接確率検定を実施した結果、P=0.046となり有意差が見られた。また、CTX-M -1Gについても検定を実施した結果、P=0.024となり有意差が認められた。このことから、薬剤耐性遺伝子の遺伝子型構成には地域差がある可能性が示された。この結果を受け、2023年8, 9月に埼玉県内の下水処理場4ヶ所の流入水よりESBL産生E. coliを分離し、さらに地域差の検討を進めた。分離率および薬剤感受性については、大きな差は見られなかった。CTX-M遺伝子型については、A処理場でのみCTX-M-1Gが対象株の半数を占め、B, C, D処理場ではCTX-M-9Gが優勢であった。今後は、下水処理場Aおよびその流域下水道処理区域内の病院から分離されたESBL産生E. coliを対象に比較ゲノム解析を進め、各分野の相互関係性や地域特性の要因を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していなかった地域差の検討を実施したため、2023年度の課題である比較ゲノム解析を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに公開されているESBL産生E. coliのゲノム配列のうち、手始めに全配列が完了している株について薬剤耐性遺伝子及び遺伝子伝播に関与する遺伝子をリストアップし比較する。さらに下水および臨床から分離されたESBL産生E. coliの中から各STの代表株を選び、全ゲノムシークエンスを行う。基準株のみならず、下水および臨床由来株における薬剤耐性遺伝子や遺伝子伝播に関与する遺伝子の保有・変異状況を調査する。加えて、各STの起源についても基準株の情報を基に明らかにしていく。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)