Project/Area Number |
21K10537
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58040:Forensics medicine-related
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山下 琢矢 和歌山県立医科大学, 薬学部, 講師 (10645203)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | Exosome / 乱用薬物 / 法中毒 |
Outline of Research at the Start |
薬物依存症に対する根本的な治療法が存在しないのは、薬物の精神依存形成過程が極めて緻密で、核となるメカニズムが不明である事に起因する。これは薬物依存メカニズム研究の視点を従来までの接着因子、モノアミン、神経栄養因子、ポリペプチド類といった既知分子から転換する必要がある事を示唆している。本研究では新たな切り口として、神経細胞-グリア細胞間ネットワークで重要な役割を担う事が明らかになりつつあるExosomeを研究視点とし、薬物依存形成に覚醒剤・麻薬中毒状態で放出される神経細胞-グリア細胞由来Exosomeが及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
現在、薬物依存症に対する根本的な治療法が存在しないのは、薬物の精神依存形成過程が極めて緻密で、核となるメカニズムが不明である事に起因する。これは薬物依存メカニズム研究の視点を従来までのモノアミンなど、既知分子から転換する必要がある事を示唆している。本研究では新たな切り口として、神経細胞 -グリア細胞間ネットワークで重要な役割を担う事が明らかになりつつあるExosomeを研究視点とし、薬物依存形成に薬物中毒状態で放出される神経細胞 -グリア細胞由来Exosomeが及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。昨年度はグリア細胞から放出される炎症性サイトカインIL-6を定量した結果、IL-6量は神経興奮の機序を持つ薬物で増加し、抑制の機序を持つ薬物では減少した。さらにこの状態のグリア細胞から脂質を抽出し、遊離脂肪酸分子種をLC-MS/MS解析した結果、神経興奮の機序を持つ薬物を作用させた群でアラキドン酸の上昇とドコサヘキサエン酸の減少が認められた。 以上の結果を踏まえて、本年度は、乱用薬物を曝露させた神経細胞Exosomeを作用させたグリア細胞の神経可塑性へ及ぼす影響を検討する目的で、各種Exosomeがグリア細胞の増殖や神経可塑性マーカーであるD-セリンの産生量を評価した。その結果、神経興奮の機序を持つ薬物由来Exosome時にD-セリンの産生量が亢進した一方で、細胞増殖には影響しないことが示された。さらに現在、神経可塑性に重要な機能を持つNMDA受容体の解析条件検討を進めており、本研究完遂のための準備をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者は2021年度、神戸学院大学薬学部から、和歌山県立医科大学薬学部へ異動した。これにより、神戸学院大学薬学部の学生からの研究協力が得られなくなった。さらに和歌山県立医科大学薬学部は2021年度創設ということもあり、細胞培養実験など、研究環境の整備に多くのエフォートを割くことになったため、当初予定していた研究の一部しか実施できなかった。以降、この影響を受けて続けており、当初想定していた計画よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究遅延の大きな原因は研究環境変化(マンパワーの不足)であるが、昨年度、学生配属があり、新たに研究協力が可能になった。これにより、各種実験の推進力が向上し、本研究で予定している実験の完遂が可能になると考えている。これまでの検討により神経興奮の機序を持つ薬物と抑制の機序を持つ薬物に暴露した神経細胞由来Exosomeが神経可塑性を調節する可能性が示されたが、この研究結果をより強固なものにするためには神経細胞側のNMDA受容体とD-セリンの連関性を評価する必要がある。これまで申請者はNMDA受容体に関する検出系を確立していない。そのため、本学の薬理系研究者に事前に相談し、今後、実験上の課題が発生した場合に協力を求めることの出来る環境を整備している。また、これまで得られた実験結果の再現性試験も随時進める予定である。
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