Project/Area Number |
21K10857
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58070:Lifelong developmental nursing-related
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
遠藤 佑子 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (70822766)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 周産期喪失(ペリネイタル・ロス) / 死別悲嘆ケア(ビリーブメント・ケア) / 流産・死産 / 流産・死産の当事者ニーズ / スピリチュアルサポート / グリーフケア(グリーフサポート) / 周産期メンタルヘルス / 情報提供支援ツール / 周産期喪失 / ペリネイタルロス・ケア / 流死産 / こどもとの死別悲嘆 / グリーフケア/グリーフサポート / スピリチュアルケア / ビリーブメントケア / 情報提供 / 周産期グリーフケア / ペリネイタルロス / 流産 / 死産 / グリーフ / 当事者アンケート調査 / 当事者ニーズ / グリーフケア |
Outline of Research at the Start |
本研究は、流産・死産など周産期に子どもと死別した両親が、正常な悲嘆過程をたどるために必要な情報提供支援ツールを、当事者ニーズに基づいて作成することである。突然の受止め難い宣告の直後から、誰もが平等にいつでも無料でアクセス可能な情報源とそのシステム構築が求められている。深い悲しみの中、当事者にとって先が見えない悲嘆の道しるべとなるよう、経験者の声から必要だと明らかとなった確かな情報を提供できる支援ツールを開発する。本ツールが当事者に役立つとなり、さらに悲嘆ケアに悩む医療者の当事者理解を促し、関わりのヒントを与える情報として役立てられ看護に還元することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
流産・死産当事者らがこの上ない悲しみを経験した時、どのような物事に支えられ、その後の人生に折り合いをつけ、生きていくことができるのかは重要な当事者ニーズを把握するための要素となる。悲嘆は1人ひとり異なる個別性の高い反応であることから、エビデンスに基づくデータを示すことが難しい場合が多い。それでも研究代表者が取り組んできた研究成果に基づき、多くの当事者らの声に基づいて本情報提供ツールを完成させ、当事者にとって役立つサイトを作り上げていきたいと考え、論文採択に挑戦してきた。 本年度の実績として、これまで長い時間を要したが、3年以上かけて蓄積してきた当事者の声を研究成果として第6回日本グリーフ&ビリーブメント学会学術大会にて発表することができた。更に、研究結果の投稿論文が採択され、Kobe Journal of Medical Sciences Vol. 70に掲載された。当事者の想いやスピリチュアルサポートについて論文化することができ、本課題で作成する情報提供サイトに示す情報が、当事者の立場に立ち、より説得力ある情報として届けられることを期待する。2023年度は論文以外にも、周産期喪失事例検討の執筆に携わった。 一方で、論文化に長い時間を要する結果となったことから、1年間の延長を申請し、2025年3月末までに本課題を達成する計画へ修正した。ドラフト版情報提供サイトのコンテンツやデザインについての検討に着手しはじめている。突然、妊娠期に大切な子どもの死を告げられるというトラウマティックな喪失を経験した当事者が「あの時、何も考えられなかった」からこそ「あの時、こんな情報を教えて欲しかった。」と振り返えられる情報を系統的に網羅し、悲嘆にくれる状況に適した方法(情報量、情報源、表現、等)について慎重に検討を重ねながら、ドラフト版情報提供サイトの完成に向けて作業を継続し取り組んできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
計画遅延の主な要因は、論文採択までに要した時間である。2023年度も引き続き、本研究課題で作成する情報提供サイトの基盤となる当事者ニーズに関する研究成果発表および論文投稿に時間を費やしてきた。論文が無事に採択されるまで予想以上の時間を要する結果となったが、研究結果に基づいた情報提供ができることは、信頼できる情報提供サイトを構築するためにも重要であると考え、目標達成のために取組んできた。 初期計画時はできるかぎり短期間でドラフト版情報提供サイト作成を終え、早期にインタビューに取組む事が望ましいと考えていた。しかし、本研究の本質と目的に立ち返り、よりよい情報提供サイトを構築するために、最も時間を費やすべきフェーズであると再認識した。本研究が最終目的としている、周産期喪失を経験した当事者が、当時を振り返り、喪失後に「あの時、教えて欲しかった。知りたかった」と必要性を感じている情報を届ける情報提供サイトの作成のため、グループフォーカスインタビューにて意見を募る計画である。研究協力者への倫理的配慮として、インタビューに要する時間は精神的・身体的苦痛を伴わない様に設定する必要がある。情報提供サイトを構築する内容の1つひとつに対して意見を募るには、果てしない時間を要する。そのため、いかにドラフト版情報提供サイトに掲載するコンテンツを絞り込み、情報提供方法を当事者の立場へ十分配慮したものにするかが重要となる。様々な当事者の立場から、よりよい工夫や改善点について具体的な意見を吸い上げられるようなインタビューが実施できるよう準備する必要がある。限られた時間の中で、状況が異なる当事者の立場から、有益な意見を聴取できるように、ドラフト版情報提供サイトの作成は、時間を費やすべき工程であると捉えなおし、引き続き、サイト作成作業を継続してきた。計画修正した時期にデータ収集が開始できるよう準備を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
初期計画から遅延している状況に対して1年延長し、2024年度は最終年度として本課題研究を以下の通り成し遂げられるよう取り組んでいきたい。遅延原因となった、情報提供サイトの基盤となりえる当事者の声に基づいた研究結果の論文化に時間を要したが目標達成することができたため、予定通り本情報提供サイトのコンテンツに役立てる。 2024年4月~8月:ドラフト版情報提供サイト作成 2024年8月~12月:研究協力者リクルートおよびデータ収集 2025年1月~2月:データ分析 初期計画よりおおよそ1年遅延している状況に対して、1年間延長により、この遅延を取り戻し目標達成を目指す。最終的に、2025年3月に研究成果発表と情報提供サイト公開および広報を開始していく計画である。科研最終年度は、学術集会等での一般演題発表および情報提供サイトの公開と広報開始を目指し、論文化はその後に取組んでいく予定である。情報提供サイトの運用を開始後も、利用した当事者がどのように感じられているのか等のフィードバックを受けられるよう公開を計画中である。また、論文という形で必ず社会へ成果報告することを誓い、周産期グリーフに関する理解と支援の必要性について、社会啓発の目的も兼ねて取り組んでいく。 本情報提供サイトが1番成し遂げなければならないことは、突然、当事者となられた方々が、深い悲しみの中にあっても、必要で適切な情報を誰もが平等に手に入れられるように環境を整える事である。支援者であっても知らない実態があることから、支援者だけでは適切な情報提供が行えるとは限らない現状を私たちは知っている。そのためにも当事者が必要と考える情報提供は、看護支援においても大きな役割を担うものになると考えている。そのような情報提供サイトが立上げられるよう、計画に基づき研究課題を遂行していく所存である。
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