呼吸性視覚フィードバックによる呼吸リハビリテーションの開発に向けた生理学的検討
Project/Area Number |
21K11226
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59010:Rehabilitation science-related
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
泉崎 雅彦 昭和大学, 医学部, 教授 (20398697)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 呼吸運動 / 視覚 / 体性感覚 / ミスマッチ / フィードバック / ミスマット / 呼吸困難 |
Outline of Research at the Start |
呼吸困難は痛みと同様に不快な感覚であり、両者に多くの神経学的共通点がある。中でも呼吸困難と「幻肢痛」は、運動出力と体性感覚フィードバックのミスマッチという共通の機序を持つ。幻肢痛の鏡療法では、失われた四肢体性感覚を「四肢性視覚フィードバック」で代償し、痛みを緩和する。本研究の目的は、呼吸困難の緩和を目指す「呼吸性視覚フィードバック」による呼吸リハビリテーションの開発に向け、その基礎的知見を得ることである。健常成人を対象に、呼吸性視覚フィードバックによる胸部体性感覚の代償は、運動中の呼吸困難を緩和するか明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、視覚と呼吸リズムの統合が身体所有感の再較正に与える影響について、加齢とパーキンソン病(PD)に着目し、ラバーハンドイリュージョン(RHI)を用いて検討した。身体所有感は自分の身体を自分のものであると感じる主観的な感覚であり、RHIは身体所有感の変容を実験的に誘導する方法である。RHIは視覚と体性感覚の空間的位置の再較正を引き起こし、眼前にある模擬手への所有感を生じさせる。前年度の研究により、呼吸リズムが身体所有感の確立に関与し、呼吸リズムと視覚情報の時間的・空間的一致が重要であることが示唆されているが、視覚と呼吸の統合機能については不明な点も多い。一方、視覚、触覚、聴覚などの感覚統合機能では加齢の影響は少ないとされているが、PDでは運動障害だけでなく、視覚と嗅覚の統合機能の低下も示されている。そこで、RHIを用いて視覚と呼吸リズムの統合機能を評価し、加齢とPDがRHIの生成に与える影響を検証した。健常高齢者(EH)32名、高齢PD患者(PD)32名、若年健常者(YH)38名を対象に、呼吸リズムと模擬手の垂直方向の動きを同期させる装置を使用してRHIを誘発し、空間的要因、時間的要因、およびグループ要因(YH、EH、PD)の3要因を設定し、RHIトレーニング前後の身体所有感を評価した。その結果、空間的要因と時間的要因の主効果、およびグループ要因と空間的要因の交互作用が認められた。YH群では、空間的一致条件において、時間的同期条件の身体所有感の変化が他の時間的条件に比較して増加した。また、時間的同期条件と空間的一致条件の組み合わせでは、YH群の身体所有感の変化がEH群とPD群と比較して増加し、EH群とPD群の間に差はなかった。以上の結果から、視覚と呼吸リズムの統合機能によるRHIの生成には、PDよりも加齢が強く関与していることが示唆された。上記について論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
呼吸リズムに同期して動く模擬左手の視覚情報がラバーハンド錯覚現象に影響を与えることを明らかにし、これまでに原著論文として報告した(Kosuge M, Honma M, Masaoka Y, Kosuge S, Nakayama M, Kamijo S, Shikama Y, Izumizaki M. Respiratory rhythm affects recalibration of body ownership. Sci Rep. 2023 Jan 17;13(1):920. doi: 10.1038/s41598-023-28158-2.)。また、2023年度に実施した研究結果は、原著論文として投稿中である(Aging, not Parkinson’s disease, decreases a recalibration of body ownership caused by vision-respiratory interaction.)。これらのことは、呼吸運動の視覚情報が単純な視覚情報として処理されず、呼吸運動出力のフィードバックとしての機能を発揮しうることを示唆する。一方、Respiratory inductive plethysmographyの出力を利用して、ディスプレイ上に呼吸に同期したコンピューターグラフィックを提示するソフトウェアには課題があり、改良を継続していたが、改良が終了したところである。そのため、論文化した研究があるものの、研究の進捗がやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
Respiratory inductive plethysmographyの呼吸出力を用いてコンピューターグラフィックを問題なく作成できるようになったため、呼吸運動の視覚情報の呼吸調節系と呼吸感覚への作用の検討を行う。コンピューターグラフィックの種類と動きの提示のパターンを変化させ、同時に呼吸代謝測定装置で得られる生体情報を用い、より詳細な分析を行う。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)