Project/Area Number |
21K11241
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59010:Rehabilitation science-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川口 謙一 九州大学, 大学病院, 准教授 (30621370)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 日常生活動作 / 脊椎長範囲固定 / リハビリテーション治療 |
Outline of Research at the Start |
高齢者の脊椎変性疾患に対する長範囲固定術後の脊柱可動性低下は、日常生活動作 (ADL)に影響を及ぼすと共に、下肢の関節運動や筋活動パターンに変化をもたらし、特定の関節や筋への負荷増大による新たな障害や転倒リスクの原因となる可能性がある。本研究では、脊椎長範囲固定術前後のADL評価と日常の基本動作に関する3次元動作解析および筋電計測を行い、術前後の運動パターンの変化およびその特徴を解析し、術後のリハビリテーション計画や生活指導にフィードバックを行うことで、高齢者のADL改善や転倒予防が期待でき、健康寿命の延伸に寄与できるものと考える。
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Outline of Annual Research Achievements |
この研究の目的は、進行した脊柱変性疾患に対する脊椎長範囲固定後のADL制限およびその動作時の下肢関節運動や殿筋・下肢近位筋の活動パターンの変化を解析し、その特徴を明らかにすることである。 高齢者の脊柱後側弯症に対する手術が普及し、良好な疼痛軽減や脊柱アライメント獲得が可能となったが、一方で脊椎固定による可動性低下によって特に体幹前屈動作を伴うADLに影響がでやすいことが報告されている。また、術後に行う基本的ADLにおいても、下肢の可動域や筋活動パターンの変化などが生じ、局所的な負荷の増大による新たな障害発生やバランス不良による転倒リスク増大などが危惧される。よって、脊椎長範囲固定後の患者に対して、3次元動作解析を使用した基本的ADL(歩行、立ち座り、段差昇降など)の運動解析および表面筋電計による殿筋および下肢近位筋の筋活動パターンの解析を行い、健常者および術前のデータと比較しその相違点を検証することで、術後のリハビリテーション時の運動指導や姿勢・ADL指導などの患者教育に応用できるものと考えている。本年度に解析できたデータからは、基本的ADLを行う際には健常者や術前データと比較し、股関節の可動域が増大しかつ殿筋の筋活動の増大を認めた。特に筋活動パターンに関しては、脊柱後側弯症患者の術前では脊柱起立筋に比べ殿筋は低い活動パターンを示していたが、術後は殿筋における筋活動の増加がみられ、これは脊柱固定後の代償性変化と考えられた。この結果より、術前からの股関節伸展筋群の評価や運動療法が重要であると共に、術後のADLにおいても股関節およびその周囲筋に負荷が集中しないようなリハビリテーション治療や生活指導を行うことで、新たな障害発生の予防につながると考えられる。今後、症例数を増やして研究をすすめるとともに、バランス評価も追加して行い、転倒予防の対策としても検証を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請当時の研究計画では年間10例程度の手術患者の解析を行う予定であったが、COVID-19感染症の影響などもあり、高齢者の外来患者減少により手術適応となる脊柱変性後側弯症の患者が少なく、本年度はコントロールとしての健常者5例、術前5例と術後1年経過2例の計測を行った。実際に測定を行った患者においては、3次元動作解析および表面筋電計を使用した基本的ADL(歩行、立ち座り、階段昇降など)に関するデータ収集は問題なく施行可能であった。対象となる症例数が少ないため、今後は、適応年齢を拡大しながら症例数を確保し、研究をすすめていくよう検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は、高齢者のリハビリテーション治療への応用を目的として、高齢者に限定した脊柱変性側弯症を研究対象としていたが、手術適応となる症例が少ないため、今後は中年者まで適応を広げ、長範囲固定後のADLについて検討をすすめていく予定としている。中年患者を含めることで、年齢の影響が多少生じると思われるが、同一術式の患者に限定するため、問題は少ないと考えている。また、関連病院などにも協力を呼びかけ、十分なサンプルサイズの確保に努めていきたい。今後は、年間10例程度を目標に、新規患者の解析をすすめると共に、術後1年経過時のデータ測定も順次行う予定である。また、転倒リスクの評価として、重心動揺計を使用したバランス評価も追加して行い、長範囲固定術の影響を多面的に評価していく。研究成果については、結果がまとまり次第、学会発表や論文執筆に取り組む予定である。
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