Project/Area Number |
21K11382
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59020:Sports sciences-related
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
石道 峰典 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (80737536)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 骨格筋 / AQP4 / 加齢 / 水分 / 加齢性筋萎縮 / 水代謝 / 筋水分量 / 筋萎縮 / アクアポリン4 / 老化 |
Outline of Research at the Start |
本研究テーマは、AQP4を介した骨格筋内の水代謝の変化が加齢性筋萎縮に関与しているのかどうかを明らかにすることである。水分子による細胞の形態制御は知られており、研究代表者も成熟筋の萎縮への水代謝の関与を明らかにしている。したがって、高齢期骨格筋での水含量低下が加齢性筋萎縮と関係していることは十分に考えられる。本研究では高齢期骨格筋での萎縮と水代謝との関係性を明らかにし、AQP4を介した水代謝の関与という新しい観点から加齢性筋萎縮メカニズムを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
我々は、これまでの研究において加齢にともなう水分含有率の低下が生じる前に水分代謝の主たる制御因子である水チャネル“アクアポリン4(AQP4)”の発現量の低下が引き起こされる可能性を明らかにしてきた。一方で、加齢時に生じるAQP4の低下がどのような分子メカニズムによって制御されているかは不明瞭なままである。 そこで2023年度の研究は、加齢によって生じるAQP4の発現低下に関与する制御因子の探索を行なった。本研究では特に恒常性維持における主要メカニズムであるオートファジーに着目した。実験動物に老齢ラットと若齢ラットを用い、被験筋は速筋である前脛骨筋とした。被験筋を摘出し、標的タンパク質の発現量を検討した。本研究ではオートファジー系のタンパク質としてLC3、p62、beclin-1に注目した。これらはいずれもオートファジーの活性時に発現量が増加するタンパク質であり、オートファジーのマーカー分子として広く認知されている。 その結果、若齢期と比較し加齢期ではARP4の発現量の低下が認められる一方で、LC3の総発現量に変化は認められなかった。さらにLC3をLC3-IとLC3-IIに分類して詳細な分析を行ったが、どちらの型においてもその発現量に加齢による影響は認められなかった。また、p62やbeclin-1の発現量についても若齢期と比較して高齢期における顕著な変化は認められなかった。 以上のことから、本研究により、若齢期と加齢期の間でオートファジー系のタンパク質発現量に変化がみられなかったことから、顕著なオートファゴソーム形成は生じておらず、高齢期骨格筋において恒常的にオートファジーが活性化しているわけではない可能性が示唆された。さらに高齢期骨格筋にみられるAQP4の発現量の現象に対しオートファジーによるタンパク質分解は関与していない可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度の研究は、加齢によって生じるAQP4の発現低下に関与する制御因子の探索を行なった。本研究では特にタンパク質分解の主要メカニズムの1つであるオートファジーに着目した。実験動物に老齢ラットと若齢ラットを用い、被験筋は速筋である前脛骨筋とした。被験筋を摘出し、標的タンパク質の発現量を検討した。本研究ではオートファジー系のタンパク質としてLC3、p62、beclin-1に注目した。その結果、若齢期と比較し加齢期ではARP4の発現量の低下が認められる一方で、LC3の総発現量に変化は認められなかった。さらにLC3をLC3-IとLC3-IIに分類して詳細な分析を行ったが、いずれも加齢による影響は認められなかった。また、p62やbeclin-1の発現量についても若齢期と比較して高齢期における顕著な変化は認められなかった。これらのことから本研究より、高齢期骨格筋において顕著なオートファゴソーム形成は生じておらず、恒常的にオートファジーが活性化していない可能性が示唆された。さらに高齢期骨格筋にみられるAQP4の発現量の減少に対しオートファジーによるタンパク質分解は関与しておらず、他の独立した制御メカニズムが関与している可能性が示された。これらの知見は、加齢性筋萎縮や水分量低下に先立って生じるAQP4の発現特性の変化の制御メカニズムを明らかにする上で重要な知見であると考えられる。 一方で2023年度の途中に実験室の空調設備が故障し、復旧まで時間を要する事態が生じた。さらに空調設備の故障により実験試薬などの品質管理が困難となり、必要試薬の揃え直しにも時間を要した。その結果、実験計画に遅滞が生じたため、研究成果の発表には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の研究により、加齢性筋萎縮や水分量低下に先立って生じるAQP4の発現量の減少に対しオートファジーによるタンパク質分解は関与しておらず、他の独立した制御メカニズムが関与している可能性が示された。一方で本研究では、加齢によるAQP4減少におけるユビキチン-プロテアソーム系など他のタンパク質分解経路や転写・翻訳などのタンパク質合成経路の関与については明らかにできなかった。加齢による筋萎縮や水分量の低下の前にAQP4が減少することから、AQP4減少の抑止は加齢性筋萎縮の予防や改善につながる可能性があると考えられる。したがって、加齢によるAQP4の減少を引き起こしている分子メカニズムの解明は、加齢による筋萎縮や筋水分含有率低下のメカニズムを明らかにする上で重要な知見となる。そこで今後は、加齢によるAQP4の減少に関与する分子メカニズムの探索を予定している。
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