Project/Area Number |
21K11519
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59030:Physical education, and physical and health education-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 裕央 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (50782778)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 野球 / 投動作 / 運動制御 / 正確性 / 筋活動 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は投動作の再現性と誤差修正に焦点を当て、野球の投球の正確性を決定する 制御方略を明らかにすることである。投球の正確性を高めるためにヒトが投動作をどのように制御しているのかについて熟練者および未経験者の異なるスキルレベルで検証し、投球の正確性が高い投手は再現性と微調整能力をどのように制御しているのか、そして学習過程で投動作の再現性やバラつきがどのように変遷していくのかについて調べる。また、平常時であれば安定した制球力(高い正確性)を発揮できる投手が、試合など真剣勝負を求められる場面で制球力が乱れる要因として、この再現性と誤差修正のための微調整がどう影響しているのかについて明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は前年度に引き続き、ピッチャーマウンドの傾斜を変えたとき(通常マウンド/急峻マウンド)に生じる適応過程からピッチャーの制球力に影響を及ぼす要因を見出すための環境適応学習パラダイムを用いた研究を実施した。前年度計測したデータに加え、熟練投手および非熟練投手の被験者数を増やして比較をした結果、前年度に得られたような群間の差が生じたというよりは、熟練投手において、適応過程で狙ったところに正確になげるためのリリース位置や投動作の調節には個人間で差がある傾向が捉えられた。例えば、リリース位置の変動は非熟練投手と比べると熟練投手は共通して大きかったが、適応後のリリース位置は適応前のマウンドと同じ位置で安定する投手もいれば、反対に適応前のマウンドとは異なる位置でリリースが安定する投手もいた。つまり、制球力が高い熟練投手の中でも、狙った位置に安定して投げるためのリリース位置の方略には少なくとも2つのパターンがあることが分かった。この環境適応学習パラダイムを用いれば、例えば試合で投げる際にリリース位置の変動に影響を及ぼすと考えられるマウンドの土が掘れていく過程で、自身がリリース位置をどのように調節すれば良いかを知ることができ、環境(マウンド)が変化する中でどのボールリリース方略を選択すべきかを検討できるようになれる。また、熟練投手は適応の過程でリリース位置の変動が大きかったが、同時に体幹の前傾角度や下肢の関節角度の変化量も大きかった。一方、その変化量はマウンドの傾斜を変えてからの2~3球で特に大きく、それ以降は急激に安定するといった特徴も見られた。このことは、制球力の高い投手は下肢や体幹部の位置や動きを素早く安定させることでリリース位置を調節していることを示唆する結果であり、以前に明らかにした投球間の体幹部の筋活動のバラつきが少ないという結果と一致する結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の研究計画と比べると、令和5年度までの進捗はかなり遅れてしまっている状況にある。最大の理由としては本研究以外の業務に割かれる時間が大幅に増えてしまったことでエフォートが十分に割けなかったことが挙げられる。令和6年度は本研究を実施できる最終年度となるため、前年度までと比べて本研究に割けるエフォートを増やして研究成果をあげられるようにしていく。また、子どもの野球経験者を中心に被験者をなかなか集めることができず、新たな研究課題に取り組むことができなかったことも大きい。 また、前年度まで実施してきた環境適応学習を行う際に床反力データを併せて計測し、軸足の挙動を計測する計画だが、そのための装置の作成にてこずり、現状実施ができていない。また、傾斜が急峻になる際は大きな問題はなかったが、反対に傾斜を少なくしたり平地にして投げてもらおうとすると転倒したり、ケガをするリスクが見込まれたので環境適応学習の方法について見なおさなければならない状況になった。この点も研究計画から遅れている要因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、子どもを対象とした研究課題については小学生のチームに協力をしてもらえる状況になったため、そのチームを中心に子どもの被験者を募り、実験を進めていく。現在、そのための日程調整および測定機材の手配、購入手続きを行っており、令和6年度上半期には実験を開始できるようにする。 次に、環境適応学習の実験パラダイムについては根本的な見直しを行い、こちらも速やかに実施できるよう準備を進める。具体的には投げる位置を瞬時に変えてその際の投動作のキネマティクスを調べた先行研究を参考に、リリース制御に関するデータが得られるような実験パラダイムを構築する。 これらの実験を年内までには実験を全て完了させ、その後、データの整理や解析を行った上で成果報告をまとめていく。
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