腹膜タイト結合におけるクローディン15の生理学的意義の検討
Project/Area Number |
21K11648
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
石塚 典子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (30440283)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 腹膜 / クローディン15 / タイト結合 |
Outline of Research at the Start |
腹膜を介した物質の透過性は高いと考えられており、腹膜は腎不全が進行した際に、透析療法に用いられている。申請者らは腹膜のタイト結合にクローディン15が強く発現していることを偶然見つけた。クローディン15は腸管上皮にも多く発現し、Naの透過性に寄与することが知られている。腹膜に、Na透過性を有するクローディン15が強く発現していることは、腹腔内の液産生に関与している可能性が高い。本研究により、腹腔液産生機構におけるNa透過性の生理学的意義が明らかにできれば、腹膜透析法の効率化に繋がる基礎研究に貢献できると考えられる。
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Outline of Annual Research Achievements |
腹膜は、腹腔の内面や内臓など体腔表面を覆う膜であり、表層にある一層の中皮細胞と、深部にある結合組織から構成されている。腎不全患者の腹膜透析療法においては、この腹膜が透析膜として用いられる。透析液への老廃物の移動は、中皮細胞間を介して腹腔内に移動すると考えられている。中皮細胞間には、タイト結合が存在することが知られているが、その特性ならびに生理学的意義については知られていない。 クローディンはタイト結合のバリアの強さとイオン透過性に関与している。このうち、クローディン15は腸管に多く発現しており、ポアを形成するチャネル型クローディンで、ナトリウムイオンやカリウムイオンを透過させることが知られている。小腸ではクローディン15が管腔内ナトリウム恒常性を維持し、ナトリウム依存性栄養素吸収に関与することが示唆されている。これまで、クローディン15の小腸以外での発現は高くないと考えられていたが、近年、クローディン15は腸管以外では腹膜中皮に発現していることが報告され、また、本研究室の先行研究でも、腹膜のタイト結合にクローディン15が発現していることを確認している。上皮機能の役割としてはバリア機能の他に、自由表面での力学センサーとしての機能が、腎臓の尿細管や胆嚢上皮で提唱されており、この機能は腺毛様の構造が重要であることが示唆されている。このため、腹膜中皮には腺毛様構造を有することから、この構造がクローディン15欠損で変化するか否かを、走査電子顕微鏡観察で評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時は、腹膜に発現しているクローディン15がイオン透過性に関与していると考えていた。しかし、前年度、摘出した横隔膜中皮を用い、電気生理学的にタイト結合のバリア機能を検討した結果、経上皮抵抗は低く、明確なタイト結合に由来すると考えられる電気生理学的な特性は明らかにできなかった。そこで本年度は視点を変え、クローディン15の欠損が中皮構造に形態変化をもたらすかを評価することとした。光学顕微鏡による観察結果からでは腹膜中皮の形態学的な変化は観察されなかった。このため走査電子顕微鏡観察で評価することを試み、本年度は条件検討を行った。野生型マウスでは横隔膜では約0.5μmの腺毛様構造が観察されたが、クローディン15欠損マウスでは約1μmと長くなっていた。また、線毛の長さに変化は小腸の漿膜では大きな変化はなく部位差が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の走査電子顕微鏡による形態観察により野生型マウスとクローディン15欠損マウスの腹膜上皮の線毛構造に変化が示唆された。走査電子顕微鏡による観察からは半定量的な解析に留まるため、透過型電顕での検討や部位差の形態観察を行いたいと考えている。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)