怒りの感情抑圧が精神的・身体的異常を引き起こすメカニズムの解明
Project/Area Number |
21K11714
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
高橋 優 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40551049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 武士 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60335594)
上野 浩司 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (60725068)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 怒り / 感情 / 抑圧 / マウス / 攻撃 / 行動実験 / 神経症 |
Outline of Research at the Start |
怒りという感情の抑圧による身体的症状(倦怠感や全身の痛みなど),精神的症状(不眠、不安、焦燥など)を訴える患者は多い。怒りの感情抑圧による身体症状への影響のメカニズムが不明であるため,病因に基づいた生物学的検査や治療薬の開発が出来ていない。申請者らは実験動物であるマウスにおいて,慢性的に怒り行動を阻害すると社会的行動や脳の神経細胞に異常が生じることを発見した。本研究では,これまでの研究成果を応用させ,怒りの抑圧による身体的症状と精神的症状への影響を明確にする。これにより,怒りの抑圧による身体的・精神的症状へのメカニズムを理解し,これらの症状を抑える治療方法の確立,予防方法の確立に繋げる。
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Outline of Annual Research Achievements |
感情は動物種によって異なるが、ヒトにおいては「喜び、怒り、悲しみ、楽しい等」とされている。怒りは原始的な感情であり、「危険にさらされた」という意識が怒りを喚起している。怒りは大脳辺縁系を刺激してカテコールアミンの放出を促進し、扁桃核から副腎皮質神経系の活性化や、独特の表情の変化など複数の経路で反応を生じさせる。怒りの抑制は円滑な集団生活を維持するために重要であり、社会的な動物に存在している脳機能であると考えられる。しかし、怒ることで発生した大脳辺縁系や副腎皮質神経系の活性化を抑え続けることが、生体内にとってどういった影響を与えることになるかは不明のままである。本研究の目的は、未だメカニズムの解明がされていない怒りの抑制による中枢神経系・自律神経系への影響のメカニズムを明らかにすることである。怒りの抑制による身体的・精神的症状と病態基盤を相互に理解し、それを踏まえた検査方法、治療方法、予防方法の確立など、臨床研究につなげることが目的である。本研究では、Resident Intruder Testを応用してマウスの攻撃的行動を慢性的に抑制することで、マウスの行動にどのような影響があるかを行動テストバッテリーを用いて調べた。慢性的に攻撃的行動を抑制されたマウスは体重を徐々に減少させた。また、攻撃的行動を抑制されたマウスはテールサスペンション試験において無動時間の割合が減少した。本研究は、慢性的な攻撃的行動の抑制が身体や中枢神経系に与える影響の科学的根拠の一端を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
怒りの感情抑圧モデルマウスの作成には工夫と多大な労力と時間が必要でしたが、なんとか確立することができました。確立することができたが、この実験のためには1ヵ月間の連続した実験日の確保や、飼育スペースの確保などが必要であったため、実験日と実験スペースの確保に苦慮しました。令和4年度には実際に怒りの感情抑圧モデル(攻撃的行動抑制モデル)を使用して研究を行いました。最終年度に向けてある程度の実験結果を得ることができ、順調に進んでいます。
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Strategy for Future Research Activity |
①怒りの感情抑制ストレス負荷処置後のマウスの行動の詳細な行動解析を実施する。マウスの個体によって行動に違いがあるのか明らかにする。すなわち,ストレスに対する耐性などが個体によって異なるのか調べる予定である。 ②組織学的解析によるマウス脳における活性化部位の探索を行う。怒りの抑圧によって偏桃体が活性化していることを確認するために,マウス脳を抗c-fos抗体を使用して免疫組織学的に染色する。その他の脳領域でも異常な活性化が生じていないか染色,観察する。また,怒りの抑圧による慢性的なストレスによって海馬の神経発生に異常が生じていないか確認する予定である。 ③血液中のストレスホルモン濃度の測定をする予定である。怒りの抑圧によって副腎皮質ホルモンの量が増加していることを確認するために,血中のコルチゾール,コルチコステロン,コルチゾン等の量を測定する。 ④データ解析と追加実験の検討を行う。実験結果まとめ,研究分担者間で議論して次の実験計画を詳細に練る。追加実験が必要な場合は追加実験を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)