双方向変換言語のための計算モデルとプログラミング言語への応用
Project/Area Number |
21K11744
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 60010:Theory of informatics-related
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中野 圭介 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (30505839)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
|
Keywords | 双方向変換 / 計算モデル / 計算可能関数 / チューリング機械 / データベース / プログラミング言語 / 計算理論 / 計算可能性 |
Outline of Research at the Start |
双方向変換は,二つの異なる形式のデータを関連づける二つの変換によって構成され,データの更新に伴う同期を実現する技術である.双方向変換を構成する二つの変換は,互いに矛盾しないようにラウンドトリップ性と呼ばれる性質を満たす必要があるため,その記述を支援する双方向変換言語が数多く提案されてきた.既存の双方向変換言語では,その記述に強い構文的制約を設けることでラウンドトリップ性が保証されていたが,その制約により表現力が十分でない可能性がある.本研究では,任意の計算可能な双方向変換を記述できる計算モデルを提案し,従来の双方向変換言語の表現力を検証するための基盤を実現する.
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,双方向変換を過不足なく表現できる計算モデルを設計し,既存の双方向変換言語の表現力を検証することである.双方向変換とは,異なる環境のデータ間における互いの整合性を保守するための両方向の変換のことであり,双方向変換言語ではこの二つの変換がラウンドトリップ性(互いに矛盾しないこと)が自動的に保証できるように,構文的な制約が設けられている.しかし,この制約のために任意の計算可能な双方向変換が記述できない可能性が指摘されており,設計した計算モデルを利用してこれを検証することが一つの目的である. 現在までに,対合および冪等とよばれる二種類の関数クラスについて過不足なく表現する計算モデルが研究代表者によって提案されており,これを拡張する方向で進めている.対合とは定義域に含まれるどんな入力に対しても二度関数適用することで元に戻るような関数のことであり,冪等とは定義域に含まれるどんな入力に対しても二度関数適用しても一度だけの結果と同じになるような関数のことである.提案した計算モデルはチューリング機械に制約を加えて定義されており,双方向変換の計算モデルも同様のアイデアで設計している. これと並行し,既存の複数の双方向変換言語に対し,表現できる双方向変換の範囲に差異がないかについて検証を行った.その結果,上記のラウンドトリップ性を満たす双方向変換であっても表現できない具体的な例が存在する可能性が確認された.表現できないことの厳密な証明は今後の課題であるが,少なくとも(長さを制限した)単純なプログラムでは記述できないことが確認できている.発見された具体例は実用的なものではないことから,双方向変換が満たすべき性質としてラウンドトリップ性だけでは捉えきれない性質が存在する可能性があり,これについても今後調査する必要がある.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに提案している対合や冪等に対する計算モデルに基づいて拡張する方向で進めているが,双方向変換の満たすラウンドトリップ性が対合と冪等の条件だけでは表現できないため,これらとは別の制約が必要となる.一方で,既存の双方向変換言語の表現力について差異がある可能性について確認できたことは大きな成果と言えるため,研究は概ね順調に進んでいるといえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
対合のための計算モデルと冪等のための計算モデルに加えて,部分的な冪等性などを表現する制約を発見することで,双方向変換言語の計算モデルが作成できるものと期待される. 一方で,ラウンドトリップ性以外にも双方向変換が満たすべき性質がある可能性が確認されたため,こちらについても検証を進め,必要に応じて設計する計算モデルにおいてもこれを考慮する予定である.
|
Report
(2 results)
Research Products
(10 results)