外部情報を活用して分析感度を評価する新たな臨床試験デザインと統計手法の開発
Project/Area Number |
21K11784
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 60030:Statistical science-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
飛田 英祐 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任教授(常勤) (30469952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 浩之 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (10604671)
佐藤 倫治 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (80865220)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 臨床試験デザイン / 非劣性試験 / 分析感度 / リアルワールドデータ / 間接比較 / 単群試験 |
Outline of Research at the Start |
臨床試験において治療効果の証明には分析感度を有する試験デザインを計画, 実施することが必須条件であるが, 分析感度の定量的な評価法は未だ十分に確立していない. 分析感度がない試験では, 有望な治療であっても有効性が証明されない又は無効でも有効と判断される可能性があり, 臨床試験における分析感度の問題は国際的にも関心の高い課題である. 本研究では, 分析感度が問題となる臨床試験デザインに対し, 臨床試験データから観察される試験治療の許容最小有効量と, リアルワールドデータなどの外部情報とをデータ分析的に統合可能か否かの評価を行い, 分析感度を有した治療効果が推定可能な新たな解析方法を開発する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,臨床試験において治療効果が真に有効であるのか無効なのかを判別する能力である分析感度(assay sensitivity)が問題となる非劣性試験や単群試験などの試験デザインに対し,臨床試験データとは質が異なるリアルワールドデータとの統合可能性の評価を行い,試験治療で観測される許容最小有効量を指標とすることで,分析感度を定量的に評価し治療効果を科学的に証明する革新的な試験デザインの検討およびそのデザインにおける解析方法,サンプルサイズ設定および評価方法とその妥当性についての開発・提案を行う目的である.そのため,(1)既存情報の調査・把握,(2)試験デザイン・評価手法の構築,(3)提案法の性能評価,(4)現実への適応可能性の4つのステップで遂行する計画としている. R4年度は,提案法の性能評価を行うために必要となる外部データの品質評価として,COVID-19感染に伴う規制前後での行動変容による病院カルテデータ及び医療データベースの特徴や品質へ与える影響の調査を行い,その結果を2023年2月に開催された日本臨床試験学会で報告した.加えて,病院カルテデータ及び医療データベースと臨床試験データの統合可能な条件や許容可能範囲に関する検討結果が2022年8月の薬理と治療(JPT)増刊号で掲載された. 外部情報を利用した臨床試験デザインとして,delayed start design を改良した単群試験デザインにおけるバイアスの影響を最小化する治療効果の推定方法の構築を行い,いくつかのシミュレーション研究の結果を得たことから,2023年度に学会報告及び論文化を予定している.2群非劣性試験デザインの分析感度の定量的な評価方法については外部データを利用した間接比較の方法を提案し,その性能評価をシミュレーションにて行う段階に至っており,2023年度に学会報告及び論文化を計画している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた通りR4年度は,(1)データベース品質/分析感度の評価に関する既存文献の調査・把握(R3~R5年度)及び(2)外部情報の品質の評価方法と分析感度の定量評価法の開発(R3~R4年度)を行った. 特に,外部情報の品質の評価方法の開発については,現在実施中の医療データベースの特徴を可視化する臨床研究の結果から,施設の規模やデータ入力ルールの相違によるデータのバラツキの問題,臨床試験データとの統合可能性を検討した結果が2022年8月の薬理と治療(JPT)に掲載された.一方で,COVID-19感染に伴う行動規制等により病院カルテデータ及び医療データベースの特徴や品質に与える影響の検討を行い,2023年2月に開催された日本臨床試験学会で報告した. 実際のカルテ情報などの外部データの品質は臨床試験と比べ低いため,比較対照群などの直接的な利用は現実的に難しいものの,臨床試験における分析感度を間接的に評価することに利用することは,無効な治療が誤って有効あるいは非劣性であると判断されることを防ぐために有益である. 外部データを利用する臨床試験デザインの1つとして,単群試験における分析感度をdelayed start designを改良することで,より推定精度が高く,かつバイアスの影響を最小化する治療効果の推定法を提案し,シミュレーションによる性能評価を検討した結果の論文化を進めている.また,非劣性試験における分析感度については,非劣性試験で得られる試験治療の許容最小有効量と外部データとの間接比較による定量的な評価方法を提案し,その結果を2023年度に開催される国際学会で報告及び論文化を予定している。 今後は,外部情報の品質評価の結果から臨床試験に間接的に利用可能な条件や許容範囲に基づき,提案する解析方法の性能をシミュレーションや実際の臨床試験への適応可能性の検討を進める予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策について,当初は(1)データベース品質/ 分析感度の評価に関する既存文献の調査・把握(R3~R5年度)及び(3)提案法の性能評価(R4~R5年度)を計画していたが,COVID-19感染症の影響のため,本年度は(2)外部情報の品質の評価方法と分析感度の定量評価法の開発(R3~R4年度)も含めて,研究全体の結果をまとめ,提案方法が現実の臨床評価に適応可能となる外部情報の品質を検討していく計画である. 今後は外部データの品質に関して,より大規模なデータベースと臨床試験データの統合可能性の検討を行うために,データの可視化を含めたデータマネージメント/データ分析の作業や臨床試験と比較した品質の検討が重要となる.また,外部情報を利用する臨床試験デザインにおける提案する評価・解析方法の妥当性については,実際の臨床試験に即したシミュレーション研究により性能評価を行い確認する計画である.そのデータマネージメントやシミュレーションにおいては,更なる実際の臨床試験に関する公表文献の整理と共にプログラム・データの整理など研究を遂行する上でより作業的な負荷が高くなることから,R4年度に引き続き,研究補助者に依頼しながら研究を行うことで,より効率的に検討方法の妥当性を確認でき,結果をまとめることが可能になると考える. また,研究成果については,理論的な方法論に対して,シミュレーションや実データに基づいた数値的な評価を加えた実用可能性を検討して,国際学会(The International Society for Clinical Biostatistics)で発表を行う予定であり,国外の研究者等の意見やコメントを踏まえて,より現実的な方法論として論文化を2023年度内に目指す予定である.
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)
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[Book] 臨床試験の事典2023
Author(s)
丹後 俊郎、松井 茂之
Total Pages
608
Publisher
朝倉書店
ISBN
9784254322644
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