高確度なイン・シリコ創薬を目指した新規分散力エネルギー評価法の開発
Project/Area Number |
21K12132
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 62010:Life, health and medical informatics-related
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
吉田 達貞 長崎国際大学, 薬学部, 講師 (80527557)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 分散力エネルギー / イン・シリコ創薬 / 分子軌道法 / 分子間相互作用 / レクチン / 定量的構造活性相関 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、独自の分散力エネルギーの評価法について継続的な開発と改良を行い、生体巨大分子に対する実用性を実証することである。これにより、従来よりも高確度で高速なインシリコ・スクリーニングの実施を目指す。実験では得ることが困難な原子・電子レベルの微視的物理化学の観点から薬物と受容体タンパク質との分子間相互作用を詳細かつ定量的に理解し、創薬に資する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、簡便かつ高精度な分散力エネルギーの評価法について継続的な開発と改良を行い、生体巨大分子に対する実用性を実証することである。2年目にあたる令和4年度は、主に次の生体巨大分子に関する適用・応用計算を行った。 ホモ二量体を形成するレクチンMytiLec-1とその結合糖鎖の複合体構造(300アミノ酸残基,6リガンド)について、約300ナノ秒のMD計算を実施したトラジェクトリーから得られた150個のスナップショットに対して、非経験的フラグメント分子軌道法と本分散力評価法を組み合わせて適用することで、動的効果を考慮した。本アプローチにより算出した各アミノ酸残基とリガンド間の結合相互作用エネルギーとメラープレセット摂動法で算出したそれらとの間には高い相関関係が成立しており、計算コストを大幅に削減しながらもほぼ同様の相互作用プロファイルを得た。結合相互作用エネルギーを静電的相互作用、分散力、水和自由エネルギー変化等の各種成分に分割評価し、二量体形成および糖鎖認識の安定化に寄与するサブドメインやアミノ酸残基を定量的に示すことができた。この結果に基づき、バーキットリンパ腫細胞の糖鎖に対して結合能を増強する可能性のあるアミノ酸変異の導入を提案した。さらに、MytiLec-1の単量体状態のMD計算の結果からは、二量体会合面に位置する疎水性コアの揺らぎが比較的大きいことが示唆されたため、赤血球凝集を抑制する目的でこのサイトを標的とした低分子リガンドのインシリコ・スクリーニングを実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本分散力評価法とメラープレセット摂動法により得られたレクチン・糖鎖複合体の相互作用エネルギープロファイルの比較結果から、計算精度と計算コストの両面から本手法の有効性が示された。 MytiLec-1の二量体形成を阻害する低分子化合物のインシリコ・スクリーニングに関しては、信頼度の高い予測を得るためには単量体状態での動的効果を取り入れた結合能の評価が必要であるものの、トレードオフ的に計算コストが増大する。化合物の結合サイトとして標的にした疎水性コア近傍を切り出したモデルを結合能の評価に用いるなどの検討が今後の課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度はMytiLec-1の二量体形成阻害剤のスクリーニングを計算とwet実験から相補的に行うことで、新規リード化合物の構造要件の詳細の特定と化合物の最適化を行う。また、種々のタンパク質-リガンド複合体系のみならず、光増感剤としての応用が期待される凝集誘起発光特性を持つ低分子化合物の凝集メカニズムにおける分散力の評価についても適用・応用計算を行い、本手法の有効性・汎用性を検証する。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)