Project/Area Number |
21K12134
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 62010:Life, health and medical informatics-related
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
土屋 裕子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (30557773)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 深層学習 / シミュレーション / 疾病発症機構 / 創薬 / オートエンコーダー |
Outline of Research at the Start |
自然免疫に関わるタンパク質STINGは感染時に生成されるリガンドを結合することで活性化しI型インターフェロン (IFN) 産生を促進する。しかし変異体では無感染状態でも恒常的にIFNを産生し自己免疫疾患の発症を導く。変異による主鎖構造の顕著な変化が見られないことや変異部位からIFN産生に関わる機能部位まで離れていることから、ダイナミックアロステリーと呼ばれる現象が生じていると考えられる。研究代表者らが開発したシミュレーションデータから側鎖原子の構造情報を落とすことなくシグナル伝達の解析を行うオートエンコーダーに基づく手法により、STINGの遺伝子変異が導く恒常的活性化のメカニズムの解明を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
自然免疫応答において重要な役割を担うStimulator of interferon genes(STING)タンパク質の活性化機構の解明は、DNAウイルス感染等による活性化機構のみならず、自己DNAに対する炎症応答及びこれらが原因となる疾病発症機構等の解明に有用な情報を与える。 STINGは4回膜貫通領域、細胞質領域、天然変性領域からなる約380残基のタンパク質で、感染が生じた際に生成されるリガンドを結合することで活性化しI型インターフェロン(IFN)産生を促進する。一方で、膜貫通領域や細胞質領域における点変異がSAVI(STING-associated vasculopathy with onset in infancy)などの自己免疫疾患を導くことが報告されている。 変異による主鎖構造の顕著な変化が見られないことや、変異部位からIFN産生に関わる機能部位まで離れていることから、ダイナミックアロステリーと呼ばれる現象が生じていると考えられる。本疾患の発症メカニズム解明を目的に、シミュレーションで得られる側鎖原子の構造及び揺らぎ情報を利用しシグナル伝達の解析を行う教師無し深層学習法に基づく手法を開発した(Tsuchiya et al, JCIM, 2019; Tsuchiya et al, SciRep, 2021)。シミュレーションと深層学習を融合した本手法により、STINGの点変異が導く恒常的活性化のメカニズムの解明を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シミュレーションデータから側鎖原子の構造情報を落とすことなくシグナル伝達の解析を行う、教師無し深層学習法オートエンコーダーに基づく手法を開発し、その有用性を確認した(Tsuchiya et al, JCIM, 2019; Tsuchiya et al, SciRep, 2021)。本手法をSTINGタンパク質の変異が導く自己免疫疾患発症のメカニズム解明に応用するため、今年度は特に深層学習モデルの再構築を行った。 深層学習で利用するトラジェクトリの時間帯や間隔及び平均化等は、前年度に実施したヒトSTING全原子モデルの分子動力学シミュレーションのトラジェクトリの解析結果に基づき決定した。特に、変異残基周辺の局所的な構造変化は観察されなかった一方で、大域的には異なる動きが観察された点を考慮した。最適な深層学習モデルの選定のため、野生型STINGのトラジェクトリを用いた複数の深層学習モデルの異なる条件下での試行を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
精度向上を目的に、3状態(野生型、リガンド結合型、変異体)のSTINGタンパク質の立体構造に対し1μ秒のシミュレーションを各々2回実行し、野生型のトラジェクトリを用いた深層学習モデルの選定及びパラメータ調整等を行った。今後は、最終モデルを確定し、リガンド結合型及び変異体のトラジェクトリデータを用いた推論を実施する。得られた結果に基づきアミノ酸変異のシグナル伝達経路を推定し、その変異が他のアミノ酸及び下流のタンパク質に与える影響や変化等を抽出する。これらの疾病発症機構解明に係る知見をまとめ、学会発表及び論文投稿を行う。
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