「体感」により「教える技能」の伝達を支援するシステムの開発に向けた学際的基盤研究
Project/Area Number |
21K12182
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 62030:Learning support system-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松居 辰則 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20247232)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 教える技能と技術 / 暗黙知 / 体感 / オントロジー構築 / VRにおける没入感 / 安心感・信頼感・共感の生成 / 非対称なインタラクション / フレームワーク / サービス・ブループリント / デザインプロセス / 教える技能 / 教える技術 / オントロジー |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は,「教える技能」を「体感」を通して伝達するための仕組みを検討して,具体的な伝達支援システムを開発するための基盤を学際的視点で検討することにある.そのために以下の課題を達成する.①教える「技術」に関するオントロジー構築,②教える「技能」を「体感」するための「行為」の構成要素の整理,③仮想空間における「一体感」,「伝達感」の共有・増幅の実現,④「体感」による教える「技能」の伝達支援システムのプロトタイプの作成と評価(基盤としての整理).本研究は常にフィールドと連携して実空間における情報をもとに実証的に進める必要がある.したがって,本研究では様々な「教える」ことのフィールドと連携する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,「教える技能」を「体感」を通して伝達するための仕組みを検討して,具体的な伝達支援システムを開発するための基盤を学際的視点で検討することにある.ここでの「技能」とは「暗黙性が高く形式化困難であり他者へ伝達が困難」であり,これに対して,「技術」とは「形式化可能であり他者へ伝達が可能」であると考える.さらに,「技能」とは「何を教えるか(対象領域)」に独立であり,「技術」は対象領域に独立である部分と対象領域に依存して決定する部分が混在するものと考える.つまり,対象領域に関するある程度の知識と教える技能と技術を有していれば,「教える」ことの熟達化が進むものと考えられる.すなわち,「技能」は転移可能であり普遍的な「知」であることが重要な特徴である.「技術」に関しては,対象領域に依存する部分と独立の部分を分離して,独立の部分に関するオントロジーを構築し,利用者の状況やニーズに応じて適切に支援可能な仕組みの基盤を形成する.「技能」に関しては,「体感」を通して伝達を支援するシステム開発のための要素技術を検討する. 2022年度は「オントロジー構築のための汎用モデル」の適応可能性を検討した.このモデルは,非対称な関係下(熟達者と非熟達者,教授者と学習者,医師と患者,美容師とクライアント等)でのインタラクションの行為を記述対象としたモデル表現と,関係の上位者(熟達者,教師,医師,美容師等)の思考過程を記述対象としたモデル表現を統合的に扱うことが可能である.このことを,熟達したプログラマー,熟達した教授者への適応可能性を検討した.さらに,VRを利用した知識や技能の伝達に関する基礎的な研究を行った.具体的には,人工物とのインタラクションにおける安心感,信頼感,共感の生成可能性と生成過程のモデル化の検討を行った.加えて,英語学習を題材にした没入感による理解深化の可能性を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では,当初の研究目的を達成するために以下の課題を達成する.(1)教える「技術」に関するオントロジー構築,(2)教える「技能」を「体感」するための「行為」の構成要素の整理,(3)仮想空間における「一体感」,「伝達感」の共有・増幅の実現,(4)「体感」による教える「技能」の伝達支援システムのプロトタイプの作成と評価(基盤としての整理). しかし,本年度(2022年度)も2021年度に続きCOVID-19の影響で当初の研究を進めることができなかった.具体的には,当初計画されていた対人実験や実地調査(「技能」,「技術」に関する実地調査やデータ取得のための対人実験)を実施することができなかった. そこで,2021年度は,以下のような本研究を進める上で必要となる基礎的な研究,特に計算機シミュレーションやモデル構築を中心に研究を行った.①オントロジー構築のための汎用モデルの検討,②学習者の心的状態の推定手法の精錬化,③学習時における伝達感共有の測定手法の検討(※「メタ知覚」に関する研究とも関連する),④学習時における一体感(Peer感)に関する心理モデルの検討(※「メタ知覚」に関する研究とも関連する).加えて,2022年度は,⑤オントロジー構築のための汎用モデルの適応可能性を検討した.具体的には,熟達したプログラマー,熟達した教授者への適応可能性を検討した.さらに,⑥VRを利用した知識や技能の伝達に関する基礎的な研究を行った.具体的には,人工物とのインタラクションにおける安心感,信頼感,共感の生成可能性と生成過程のモデル化の検討を行った.加えて,⑦英語学習を題材にした没入感による理解深化の可能性を検討した. 2023年度は,上記の知見をふまえて当初の目的に沿った研究を進めることが可能である.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度までに,「(1)教える「技術」に関するオントロジー構築」,「(2)教える「技能」を「体感」するための「行為」の構成要素の整理」の基礎的な部分に関して成果を得ている. 2023年度は,2021年度,2022年度に行った研究の知見に基づき,当初の目的に沿った研究を行う予定である.特に,熟達者の教える「行為」に関する映像等の分析,熟達者へのインタビューに基づいて達成する予定である(企業における集合研修など).具体的には次のような研究を実施する予定である.①「行為」の言語化(形式化)を行う.具体的には,暗黙性の高い「知」を可能な限り形式化する(「映像の評価(例えば,優れている点)を言語化」,「複数人で共有し,他者の差異を認識して言語化」,「以上を繰り返し,映像の評価に関する命題を抽出」).②得られた命題(形式知)を熟達者と非熟達を取り巻く状況(コンテキスト)に基づくオントロジーとして整理する.③「行為」の構成要素を視線と発話(韻律と間)に限定して,観察とインタビューによって熟達者の「技能」に関する行為の特徴を整理する. さらに,(3)「仮想空間における「一体感」,「伝達感」の共有・増幅の実現」に向けての基礎的な研究を行う予定である.どのような「行為」(視線,発話(韻律と間))に対してどのような刺激(視線の誘導,発話(韻律と間)の可視化等)をどのようなタイミングで付与すれば「一体感」や「伝達感」が共有・増幅されるのかについて実験心理学的な手法で検証を行う.
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)