PCNAのユビキチン化で制御される新規DNA損傷トレランス経路の解析
Project/Area Number |
21K12238
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63020:Radiation influence-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
金尾 梨絵 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (30542287)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | DNA損傷トレランス / イルジンS / 損傷乗り越えDNA合成 / DNA損傷 / ユビキチン化 / PCNA / DNA修復 / 損傷乗り越え複製 |
Outline of Research at the Start |
細胞が増殖するためには細胞分裂に先立ち、ゲノムDNAをコピーするDNA複製が必要であるが、放射線、紫外線、化学物質などにより生じたDNA上の損傷はDNA複製の妨げとなる。細胞にはDNA損傷が生じても複製を継続するためのDNA損傷トレランスと呼ばれるメカニズムが備わっているが、ヒト細胞において、その全容はまだ明らかになっていない。本研究はヒト細胞のDNA損傷トレランスのメカニズムを明らかにしようとするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
紫外線や化学物質などにより生じるDNA損傷はDNA複製の進行を妨げ、ゲノム不安定化をまねく。このような事態を避けるため、細胞にはDNA損傷があってもDNA複製を継続させるメカニズムが備わっており、DNA損傷トレランスと呼ばれている。DNA損傷トレランスには複数の経路があると考えられており、DNA複製に必須のスライディングクランプであるPCNAのユビキチン化で制御されると示唆されている。損傷乗り越えDNA合成(TLS)は最もメカニズムが解析されている経路であり、損傷のあるDNAを鋳型にDNA合成できるDNAポリメラーゼ(TLSポリメラーゼ)が損傷部位のDNA合成を行う。PCNAのモノユビキチン化はTLSを促進することが知られている。ヒト細胞では、TLS以外の経路の詳細なメカニズムは不明な点が多い。紫外線損傷に対してはDNAポリメラーゼηが主要な経路を担うため、他のDNA損傷トレランス経路を解析するため、本研究では、DNA損傷剤として、比較的かさ高いDNA付加体を作る、イルジンSを用いている。イルジンSを用いた解析から、E3ユビキチンリガーゼであるRFWD3がヒト細胞でDNA損傷に関わることを見出している。 本年度は、RFWD3のDNA損傷トレランスにおける機能に、PCNAのユビキチン化が必要なことを示した。また、RFWD3の既知の機能であるE3リガーゼ活性、及び1本鎖DNA結合タンパク質であるRPAとの相互作用とクロマチン上への局在がDNA損傷トレランスに重要であることを明らかにした。また、RFWD3はRPAをユビキチン化することが知られているが、RPAのユビキチン化はDNA損傷トレランスに関与しないことを示唆した。また、紫外線損傷に対してもRFWD3がDNA損傷トレランスに機能していることを示唆した。 以前からの研究結果とこれまでの結果を学術論文として報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、RFWD3の相互作用因子の解析に着手した。 また、RFWD3発現抑制細胞の変異解析も進めており、おおむね計画通りに進んでいる。 紫外線損傷に対する影響の解析も行い、RFWD3が紫外線損傷に対しても、PCNAのユビキチン化依存的にDNA損傷トレランスに関与することを見出した。さらに、PolηとRFWD3がそれぞれ独立して働いていることを示唆し、紫外線損傷に対する影響を解析した結果に関しては学術論文として報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続き、RFWD3の相互作用因子の解析、DNA損傷誘発変異の解析を進める。 RFWD3の相互作用因子については候補因子を得ているため、細胞内での相互作用、細胞内局在、相互作用部位などについてさらに解析を進める。また、タンパク質間相互作用をin vitroで解析するため、RFWD3組換えタンパク質の発現、精製方法を検討する。RFWD3タンパク質は不安定であり、発現系の検討が必要であり、今年度検討を進める。細胞内相互作用の結果を元に、相互作用因子の組換えタンパク質の作製も進め、タンパク質間相互作用を解析する。 DNA損傷誘発変異については、紫外線、イルジンSについて解析を進め、RFWD3が関与するDNA損傷トレランスのメカニズムの解明を進める。
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Report
(2 results)
Research Products
(13 results)