放射線発がんの“芽”におけるゲノム変異解析~最初のドライバー遺伝子変異を探せ~
Project/Area Number |
21K12250
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63020:Radiation influence-related
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
飯塚 大輔 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線影響研究部, 研究統括 (00455388)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 乳腺幹細胞 / 細胞系譜追跡 / 放射線誘発乳がん / ゲノム異常 / ゲノム変異解析 / 放射線発がん |
Outline of Research at the Start |
低線量被ばくでは、発がんのリスク評価が最重要課題である。本研究では、薬剤投与によりマウス体内で幹細胞とその子孫細胞を標識できる細胞系譜追跡技術を駆使し、がんの最初期の“芽”であるクローン性増殖を捉え、それをゲノム解析することにより、放射線誘発がん最初期の遺伝子変異を同定することを目的としている。
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Outline of Annual Research Achievements |
原発事故や医療被ばく、職業被ばくでは、低線量放射線による発がんリスク評価が最重要課題である。これまでに放射線が誘発したがんのゲノム変異解析が多数行われているが、放射線による直接のがん化のメカニズムを説明しうる遺伝子変異(ドライバー遺伝子変異)は十分には捉えられていない。幹細胞は発がんの起源細胞とされるため、幹細胞を追跡すれば、がんの最初期を捉えることが可能であると考えられる。 本研究では幹細胞とその子孫細胞を追跡することができる細胞系譜追跡技術を用い、被ばく後の乳腺組織において、がんの最初期の“芽”であるクローン性増殖を捉え、それをゲノム解析することにより、放射線誘発乳がん最初期の遺伝子変異を同定することを目的としている。 前述のクローン性増殖のゲノム解析のための確立すべき実験手法として、昨年度は通常のパラフィン切片における蛍光タンパク質の免疫染色の条件決定と、透明化組織のパラフィン切片化とHE染色に成功した。今年度は、この切片を用いた蛍光タンパク質の免疫染色の染色条件を確立した。また、組織切片から遺伝子解析を行うために、細胞を分離するレーザーマイクロダイセクションの技術習得を行った。 乳管を構成する内腔細胞と基底細胞それぞれの細胞系譜追跡が可能なマウスモデルを用い、被ばく後の細胞系譜追跡を行った。4週齢でタモキシフェンを投与後、放射線を照射し、基底細胞の細胞系譜追跡を行ったところ、照射後12週までの期間においては、照射の有無によるクローンの変化は現時点では観察されていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、透明化した組織やそのパラフィン切片における蛍光たんぱく質の免疫染色法を確立することができた。また、マウス繁殖や維持は時間的に予測を立てることが難しいが、幸いにもすべて予定の範囲を大きく逸脱することなく実施することができ、被ばくによるクローンの長期的な変化について解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き低線量から高線量の放射線照射後に経時的に乳腺を採取し、被ばくによるクローンの変化について特に被ばく後の長期的な解析を行う。この細胞集団(クローン)の採取について、透明化した乳腺組織から凍結もしくはパラフィン連続切片等を作製したのち、マイクロダイセクション法等によって蛍光タンパク質の発現や病理組織学的変化を指標にしてクローン増殖や病変などを採取する。得られた細胞からDNAやRNA等を抽出したのちに、網羅的もしくは既知のがん遺伝子やがん抑制遺伝子の遺伝子変異解析等を行う予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)