Project/Area Number |
21K12266
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63040:Environmental impact assessment-related
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
濱崎 活幸 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (90377078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
團 重樹 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (20443369)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 温暖化 / 温度耐性 / 温度適応 / カニ類 / イモガイ類 |
Outline of Research at the Start |
毒を保有するカニ類やイモガイ類は、主に南西諸島以南の熱帯・亜熱帯海域に分布するが、地球温暖化の進行に伴い日本本土沿岸に分布を拡大する可能性がある。本研究では、人に危険な南方系の有毒カニ類とイモガイ類は、どのような環境(水温)条件で北方へ分布を拡大し、定着できるかを明らかにする基礎として、幼生や成体の温度耐性を明らかにし、海洋における幼生の分散実態を遺伝的集団構造解析で推察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、人に危険な南方系の有毒カニ類とイモガイ類は、どのような環境(水温)条件で北方へ分布を拡大し、定着できるかを明らかにする基礎として、幼生や成体の温度適応を明らかにし、海洋における幼生の分散実態を遺伝的集団構造解析で推察する。そのために、本年度は以下の研究課題に取り組んだ。(1)カノコオウギガニ幼生の温度適応:石垣島産の抱卵雌からふ化した幼生を5段階の水温(20、23、26、29、32℃)で飼育した。その結果、稚ガニまでの生残はみられなかったものの、ゾエア期の生残率は26℃近辺で高く、発育臨界温度は15程度と推定された。(2)イモガイ類卵の温度適応:飼育して得たイボシマイモとゴマフイモの卵嚢を水温別(18、21、24、27、30、33℃)に培養した結果、イボシマイモは21~30℃で、ゴマフイモは24~30℃でふ化し、房総半島まで分布するイボシマイモの卵の方が低温側に適応していることが明らかとなった。(3)イモガイ類幼生の温度適応:石垣島産ゴマフイモからふ化した幼生を水温別(18、21、24、27、30、33℃)に培養した結果、生残と発育の適正水温は27~30℃、低温側の理解発育温度は19℃と推定された。(4)イモガイ類幼生の変態誘起方法の検討:房総半島産ベッコウイモからふ化した幼生を予備的に自然海水と人工海水で飼育したところ、自然海水で飼育した場合に稚貝への変態・着底がみられた。(5)遺伝的集団構造の比較:スベスベマンジュウガニをモデル種として、石垣島産と房総半島産個体のミトコンドリアDNAのCOI領域に塩基配列に基づく、遺伝的集団構造を比較した結果、集団間に有意な分化がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カニ類を対象とした研究では、亜熱帯に生息するカノコオウギガニ幼生の飼育を始めて試みた結果、稚ガニまで飼育できなかったものの、温度適応を明らかにすることができた。さらに、房総半島産と石垣島産スベスベマンジュウガニ集団において、遺伝的な差異が検出され、昨年度まで明らかにした低温耐性の違いが遺伝的際に基づくものである可能性が示唆された。 イモガイ類を対象とした研究では、幼生の飼育が可能になり、温度別の飼育実験によって亜熱帯種の温度適応が明らかとなった。また、幼生の変態を誘起する条件が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
カニ類を対象とした研究では、入手が容易なカノコオウギガニを材料に卵の温度適応について検討を進める。また、スベスベマンジュウガニとカノコオウギガニ幼生の温度適応を代謝応答の観点から比較するために、無給餌条件下で調査する。 イモガイ類を対象とした研究では、これまで対象とした温帯種のベッコウイモ、亜熱帯種のゴマフイモとマダライモ卵の温度適応に関する実験を繰り返し、さらに実験精度を高める。また、自然海水を用い、ベッコウイモ幼生を温度別に飼育し、ゴマフイモ幼生の温度適応と比較する。
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