食物連鎖を介した海鳥における抗菌薬耐性菌の蓄積・拡散動態
Project/Area Number |
21K12272
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63040:Environmental impact assessment-related
|
Research Institution | Setsunan University (2023) Osaka Ohtani University (2021-2022) |
Principal Investigator |
見坂 武彦 摂南大学, 理工学部, 教授 (80397661)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 抗菌薬耐性 / 渡り鳥 / 海鳥 / 薬剤耐性 / コリスチン / カモメ / 腸内細菌 / 耐性菌 / 食物連鎖 / 抗菌薬 |
Outline of Research at the Start |
海洋生態系において高次捕食者である海鳥は、食物連鎖を通じて消化管内に環境中の抗菌薬耐性菌を濃縮し、渡りを通じて広範囲に拡散させる「耐性菌の輸送者」となる可能性がある。本研究では、次世代シーケンサーを用いたメタゲノム手法と培養法を併用して、北日本の繁殖地における海鳥の腸内、被食者となる栄養段階の異なる生物、ならびに海水の耐性菌・遺伝子を網羅的に調べ、耐性菌の食物連鎖を介した濃縮メカニズムを検証する。また越冬のための「渡り」にともなって飛来する地域の水環境において、耐性菌群集構造の経時的変化を調べ、海鳥の渡りに伴う耐性菌・耐性遺伝子の拡散と長距離移動の機構、その由来を遺伝子配列をもとに検証する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
海洋生態系において高次捕食者である海鳥は、食物連鎖を通じて消化管内に環境中の抗菌薬耐性菌を濃縮し、渡りを通じて広範囲に拡散させる「耐性菌の輸送者」となる可能性がある。本研究では、北海道の繁殖地における海鳥(オオセグロカモメおよびウミネコ)の腸内、被食者となる栄養段階の異なる生物、ならびに海水の耐性菌・遺伝子を網羅的に調べ、耐性菌の食物連鎖を介した濃縮メカニズムを検証することを目的とした。腸内細菌群集は16S rRNA遺伝子のV4領域、餌は真核生物のCOI遺伝子を網羅的に超並列DNAシーケンサーで解析した。臨床上重要なコリスチン耐性の遺伝子はリアルタイムPCR法、耐性菌数は大腸菌の選択培養法で調べた結果、以下の知見が得られた。 1)動物プランクトン、海洋生物(二枚貝)、海水:ろ過による濃縮ならびに大腸菌の選択培地で増菌培養を試みたが、コリスチン耐性大腸菌およびコリスチン耐性遺伝子mcr-1は検出限界未満であった。 2)ウミネコ:2018年~2022年の期間、腸内細菌群集としてCatellicoccus属、Escherichia属が安定して存在した。餌は2018~2019年は種類が多く、2020年以降は偏りがあった。mcr-1陽性率は5~40%の割合で存在した。mcr-1陽性率と、クダマキガイ、ゲンゴロウでは正の相関がみられた。 3)オオセグロカモメ:2018年~2022年の期間、腸内細菌群集としてPsychrobacter属、Escherichia属、Catellicoccus属が安定して存在した。餌は期間変動が大きかったが、ウトウやカモメなどの鳥を安定して食した。mcr-1陽性率は平均約35%の割合で存在した。mcr-1陽性率と、ゴミム・ウトウ・カイアシは正の相関がみられた。 以上のように特定の餌が因子となり、コリスチン耐性遺伝子は周辺環境からカモメ腸内に顕著に濃縮されることがわかった。カモメは採餌行動を通じて日常的に数十kmを移動し、渡り期には千kmを移動することから、コリスチン耐性遺伝子が拡散していると推測される。
|
Report
(3 results)
Research Products
(7 results)