Project/Area Number |
21K12319
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64040:Social-ecological systems-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高畠 千尋 北海道大学, 獣医学研究院, 客員研究員 (50771052)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 野生動物の適応行動 / 人里周辺の景観構造 / 生息地選択 / 地域個体群保全 / 野生動物との共存 / 人との棲み分けの検証 / 人里周辺の景観要因 / リスク認知 |
Outline of Research at the Start |
絶滅危惧個体群のヒグマによる「人との棲み分け行動」がどのような景観で成功するか、また不成功に終わるか(駆除)を明らかにする。まずヒグマを捕獲しGPS首輪を装着し追跡する。そこから得られる利用地点データと、過去のヒグマの駆除地点データを用いて、クマによるリスク認知が人里周辺の景観によってどのように変化するか、また、実際のリスクとリスク認知のギャップがどのような景観で起こるのかを探る。最終的には「クマの棲み分け行動が失敗しやすい」エリアを推定することによって、そのような場所での人による「クマとの棲み分け」の方法を示し、長期的な共存のための対策に役立つ知見を提供する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、人との遭遇や農作物への餌付きで駆除されることの多い北海道に生息するヒグマを対象として、人里周辺で「人との棲み分け行動」をしているかどうかを検証することを目的としている。そのため、北海道北部地域のヒグマ個体群を対象として、移動行動を高精度で把握できるGPS測位データを収集してきた。一方、棲み分け行動を含む生息地選択に影響を与えると考えられる環境要因として、対象地域内の植生・林縁・河川・林縁などの自然景観要素、市街地・農地・人工林・道路などの人為景観要素を地理情報システム上で整備した。補足として、GPSデータからヒグマが実際に集中利用していた場所や人為景観(道路や農地)を横断していた場所を踏査し、景観構造や植生、ヒグマの痕跡などを現場で確認した。さらに死亡リスクの高いエリアを特定化するため、過去の駆除地点データを収集した。 これらのデータから生息地選択の推定、および移動行動解析を行い、人里周辺で人為由来のリスクを認知し回避する「人との棲み分け行動」を検出し、最終的には「実際のリスクが高いにも関わらず、クマのリスク認知の低いエリア=棲み分け行動が失敗しやすいエリア」を予測し、クマの行動に適切に対応した、人による「クマとの棲み分け」の方法を示し、長期的な共存のための対策に役立つ知見を提供することを最終目標とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ヒグマの移動行動データの収集については、北海道大学中川研究林内で冬眠期以外の季節に捕獲檻を設置し、これまで合計15頭のヒグマを捕獲し、そのうちの7頭にGPS首輪を装着することができた。しかし昨年度は捕獲率を上げるための工夫をした甲斐なく4頭のみの捕獲となり、そのうちの1頭が死亡、他の個体も若齢などの理由で新たにGPS首輪を装着することができなかった。従って現状では目標の8頭以上の年間を通した移動行動データを得られていない。また、これまでの移動行動データが得られた6頭のヒグマのうち、人為景観を実際に利用したのは2頭のみで、「人との棲み分け行動」を解析し一般化するためのデータとして不十分な状況である。 一方、過去のヒグマ駆除地点データについては、調査地周辺の市町村に捕獲個体についての情報提供を行い詳細なデータを得ることができた。ただし現時点では、過去2-3年の情報に限られ、解析に用いるためにはさらに周辺の市町村から多くの情報を集める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は解析の要であるデータ不足のため、ヒグマの捕獲とGPS装着による移動行動データの収集と、ヒグマ駆除地点のデータの収集を続ける。しかし研究助成最終年度であるため、不十分ながらも、これまで取得してきたGPSデータを用いて詳細な移動行動解析を行い、ヒグマによる「人との棲み分け行動」が実際にあるかどうか検証を試みる。また構築したGIS情報を活用してヒグマによる生息地選択解析に取り組み、ヒグマがなぜ、人里周辺を利用するのか、その要因の解明を試みる予定である。
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