排外主義に抗するチベット難民音楽文化と「文化交流基盤型共生モデル」
Project/Area Number |
21K12383
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山本 達也 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (70598656)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | チベット難民 / 多文化共生 / ポピュラー音楽 / 文化人類学 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、芸能・音楽を通じた他者共生のメカニズムを制作と消費の両面から解明し、これを文化交流基盤型共生モデルとして提示することである。音楽は、文字情報に依拠しないため、生産・流通・消費の過程に民族間に新しい交流の形を生み出しうる媒体であり、共生に寄与する可能性を有する。国民国家を前提とした多文化共生モデルや包摂モデルでは、そうした音楽を通じた共生の実態を十分に分析できない。ネパールの事例から新たな共生モデルを提示する本研究課題は、移民問題や多文化共生、排外主義やヘイト・スピーチが喫緊の課題となっている現代日本において大きな社会的意義をもつと期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
ネパール在住チベット難民とヒマラヤ系民族との多文化共生の様態から共生モデルを探ることを目的とする本研究課題は、チベット難民の若者たちがネパール国民とともに制作するチベタン・ポップと呼ばれる音楽ジャンルを媒介として多様な人々が交流し知己を得、音楽活動を離れてもその繋がりを維持していく様相に着目するものである。 コロナ禍が落ち着いた昨年度にはカトマンドゥにて2週間の現地調査を行い、コロナ禍の最中でもヒマラヤ系の人々がチベット難民ポップ歌手にアクセスし、作詞作曲を依頼して自身がチベタン・ポップ歌手としてデビューしている例や、逆に、チベット難民歌手にヒマラヤ系の人々が楽曲提供し、それがチベタン・ポップとして世に発信されている様相が明らかになった。そして、活動の際に、お互いが目指すものやその齟齬、チベタン・ポップに携わる中で時に問題となっていく「非チベット人チベタン・ポップ歌手」としての自己認識、また、チベット難民社会で語られるナショナリズム的な言説との関わり合いの中で、チベタン・ポップ市場に携わる多彩なアクターたちがどのように位置どりをしているのかなどが明らかになった。 ここで得られた知見をもとに、『<音>を編む』という論集に「つながりを手繰り寄せる/選り分ける」と題した論文を掲載予定である。また、これまでの知見をもとに、投稿論文を執筆中であり、それらを国際学術誌に今年度あるいは来年度をめどに投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響で当初予定していた調査計画は実行できなかったものの、22年度の調査滞在においてかなりのデータを蓄積できたこと、また、そこで得られた知見を論文としてすでに寄稿することができていることから、概ね順調に進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、8月から9月にかけて1ヶ月程度の現地調査を予定しており、そこで得られた補足情報をもとに、国際学術誌に投稿する英語論文の執筆を進めたい。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)