Project/Area Number |
21K12392
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山本 信人 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (50265922)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
チャンドラ エリザベス 慶應義塾大学, 国際センター(三田), 講師(非常勤) (80726753)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | インドネシア / 華人 / 暴力 / 政治変動 / 脱植民地化 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、インドネシアの脱植民地化を1940年代における一連の政治変動として位置づけ、オランダ植民地帝国の解体の過程で発生した住民主体の暴力の実態とそのメカニズムの解明を目的とする。1940年代のインドネシアは、オランダによる実質な植民地統治の崩壊、日本軍政、独立革命と3つの大きな政治変動を経験した。本研究では、政治変動が起こる「前」に住民主体の対華人暴力が発生した事例に着目する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はコロナ禍による各種規制が緩和されたことを受け、8月から9月にかけて1か月ほどインドネシアにおいて調査を実施することができた。インドネシア国立図書館(ジャカルタ)では、1940年代のインドネシア語、オランダ語、中国語新聞に目を通す作業をおこなった。中ジャワ州都スマランおよび周辺都市、東ジャワ州都スラバヤおよび周辺都市、バリ州バトゥンおよび周辺都市、中スラウェシ州都パル、中スラウェシ州ポソおよび周辺都市では、地方資料館および地方図書館での資料収集、研究者および暴力被害者家族への聞き取り調査を実施した。
インドネシアでの調査以外では、2022年度は資料の整理と分析に時間を費やした。収集した新聞報道を通して、権力空白期に社会的暴力が発生したことを跡づけることができはじめている。 まず、1942年3月から日本軍政が発行を始めたプロパガンダ紙『共栄報』(中国語版およびマレー語版)の分析と整理に時間を割いた。1942年3月から4月にかけての対華人暴力については、『共栄報』に断片的な記事として報道されていることを確認した。つぎに、インドネシアで目を通した1942年2月から4月までのインドネシア語新聞(数紙)では、対華人暴力のみならずインドネシア人地方名望家などへの暴力に関する記事があったことを確認済である。インドネシア紙の報道では、暴力関連記事に「(人民)主権」を意味するインドネシア語「daulat」が使用されていることを発見した。ここにはもともと人民に帰属するはずの権利を取り戻すという意味合いが含まれていると解釈をすることができる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度から2022年前半にかけては、コロナ禍による各種規制のためにこのような海外での調査ができなかったために研究の進捗状況は芳しくなかった。ところがコロナ禍が段階的に収束に向かっていた2022年8月から9月にかけて、インドネシアにおいて現地調査・資料収集が可能となった。研究対象時期のインドネシア語新聞の閲覧(インドネシア国立図書館)、スマラン、スラバヤ、バドゥン、パル、ポソでの資料収集と聞き取り調査により、研究計画時に想定していた資料収集ができた。
以上より、いまだに十分な資料収集ができているわけではないが、断片的な資料から1940年代初頭のインドネシアにおける政治変動と暴力の関係を再構成する作業は「概ね順調に進展している」と考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は1940年代初頭の史資料収集に注力するために、オランダおよびインドネシアでの調査を実施する。オランダでは王立戦争・ホロコースト・ジュノサイド研究所(NIOD、アムステルダム)、王立史料館(デン・ハーグ)などで1940年代のインドネシアに関する各種史資料の収集をおこなう。インドネシアでは国立図書館(ジャカルタ)、ジョクジャ・ライブラリー・センター(ジョクジャカルタ)、新聞史料館(スラカルタ)などでの資料収集、中ジャワ小都市、北スラウェシ・マナドでの聞き取り調査を実施する。また、研究成果の一部は、NIOD、インドネシアのガジャマダ大学(ジョクジャカルタ)、サム・ラトゥランギ大学(マナド)にて研究報告をすることで調整をしている。一連の研究報告を基に、年度内に英語論文を作成する計画を立てている。
|