Project/Area Number |
21K12406
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩田 健治 九州大学, 経済学研究院, 教授 (50261483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HANADA EVA 神戸大学, 国際連携推進機構, 准教授 (40581856)
高崎 春華 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 准教授 (40583026)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | EU経済統合 / 単一市場 / 単一通貨 / ユーロ / ウクライナ / 国際通貨 / ブレグジット / EU株式市場 / 地域統合 / ヨーロッパ / 経済統合 |
Outline of Research at the Start |
EU統合は、隣接する諸国が自国の権限をEUに移譲することを通じて、グローバル化がもたらす諸問題にEUレベルで主体的に対処しようとする試みと理解することができるが、2010年代に入りユーロ圏政府債務危機やブレグジッドにより岐路に立たされている。 本研究は、EUが直面した「ユーロ危機」と「ブレグジッド」という二大イベントを取り上げ、経済分野における統合理論の枠組みを用いて、それぞれを「通貨統合」と「市場統合」における「コスト・ベネフィット」の逆転現象として考察する。その上でCOVID-19等のグローバルな環境変化やEUによる制度改革が、その再逆転をもたらす可能性やそのための道筋について探求を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は、(1)2010年代にEU統合が直面した困難の本質を「経済統合論」の理論枠組みを用いて概念的に把握し、(2)①EU単一市場および②単一通貨ユーロの長期的存続を可能とする諸条件や制度の在り方について解明することにある。 2022年10月に研究代表者の岩田が九州大学の理事・副学長に就任し(経済学研究院での科研関連の研究活動と一部教育活動は職務附加により継続)、投下可能なエフォートが低下したため、以上の研究目的達成のために、単独研究から2名の分担者を加えた協働研究に研究体制を切り替えた。 そのため、2023年度は、10月8日に研究分担予定の花田エバ・高崎春華の2名の研究者および研究代表者のもとでEU研究を行っている松下俊平(熊本学園大学)と田中晋(JETRO)とで九州大学東京オフィスにて「EU研究会」を開催し、今後の研究分担の基本方針を定めた。その後、12月13日の正式承認をまって、2024年3月16日には、九州大学伊都キャンパスにて、花田・高崎の2名の分担者に、松下を加え、研究集会を開催した。そこでは、研究代表者の岩田が「科研基盤Cの到達目標と2024年度研究計画(含予算)について 」について報告し、新規参加の分担者2名に対し、本研究のエッセンスについて学術的な観点から踏み込んだ報告とディスカッションを行った。それを受けて、花田からは「中東欧諸国から見た単一市場・単一通貨」について、また高﨑からは「欧州グリーンディール展開過程のEU単一市場とそのEU近隣諸国への影響」について報告が行われ、本研究の目標達成に向けたディスカッションが開始されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年10月に研究代表者の岩田が九州大学の理事・副学長に就任し(経済学研究院での科研関連の研究活動と一部教育活動は職務附加により継続)、投下可能なエフォートが低下したため、単独研究から2名の分担者を加えた協働研究に研究体制を切り替えた。そのため、本研究課題三年度の2023年度は、最終年度である2024年度を見据えて、3名による共同研究体制を速やかに構築することにエフォートの大半が投下される形となった。既に、23年10月の事前打ち合わせと、同年12月の分担者追加承諾後の24年3月の最初の研究集会を通じて、研究目的であるEU単一市場と単一通貨ユーロが直面する現下の諸問題を、経済統合理論の観点から解明することの意義を確認することができた。その点で、本研究課題は、最終年度におけるキャッチアップに向け、新体制を構築することに概ね成功したものの、研究活動および成果の点で若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的の中の「(1)2010年代にEU統合が直面した困難」とは「単一通貨ユーロ」を襲ったユーロ圏政府債務危機と「単一市場」の縮小を意味する「英国のEU離脱(ブレグジット)」であったが、その後22年に始まるロシアによるウクライナ侵攻により、EUを取り巻く政治経済的環境は激変し、統合は新たな「困難」に直面することになった。 2023年度の研究分担者追加により、単一市場・単一通貨を中東欧および地中海近隣諸国の観点から分析することが可能となり、また欧州グリーンディールが単一市場・単一通貨に及ぼす影響についてもより主題的に考察することが可能となっている。そこで、新規分担者を含めた新たな陣形で、以下の研究を進める。 研究目的(1)については、ウクライナにおける戦争がもたらしている新たな困難の本質を「経済統合論」の理論枠組みの中で解明するとともに、ユーロ制度改革ののための金融同盟(=銀行同盟+資本市場同盟)の統合理論上の位置づけについて新たに検討を行う。 研究目的(2)①の単一市場については、EUによるコロナ禍からの復興基金やそのための共同債発行の現状についてデータの収集を行い、専門家とのディスカッションを行う。「欧州グリーンディール」についても引き続き資料収集と分析を行う。 研究目的(2)②の単一通貨ユーロについては、コロナ・ショック前後から観察される北の諸国と南の諸国との実質経済成長率の逆転現象の解明に努める。そのために復興基金が北と南の双方に与えた影響を分析した先行研究のサーベイと、ヨーロピアン・セメスター関連資料の当該視角からの分析を行う。並行して、世界経済のデカップリングがユーロの国際的役割にもたらす影響に関しても引続き分析を進める。 以上で得られた多様な知見については、順次学会報告や論文としての公刊を追求するとともに、全体の議論の収束を図りつつ最終取り纏めにつなげていく。
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