Envisioning Post-COVID-19 Marine Resource Management in the Philippines
Project/Area Number |
21K12418
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
|
Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
瀬木 志央 甲南女子大学, 国際学部, 准教授 (30752729)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
|
Keywords | 新型コロナウイルス / パンデミック / 海洋資源管理 / 小規模漁業 / COVID-19 / 漁業サプライチェーン / パトロン・クライエント関係 / 生業戦略 / 感染症 / フィリピン |
Outline of Research at the Start |
フィリピンでは小規模漁業による海洋資源利用は食料安全保障や貧困軽減に重要な役割を果たすが、海洋資源は著しく悪化している。COVID-19感染拡大を起因とした過剰な資源利用と更なる資源悪化のネガティブ・フィードバックは、資源に依存する人々の一層の周縁化を招く。こうした事態の打開には、感染症拡大が人々の海洋資源の利用と管理に及ぼした影響を明らかにし、あらたな資源管理のあり方を検討する必要がある。 本研究は、海洋資源の利用と管理に関わる多様なアクターの感染症を巡る思考と実践が、海洋資源の利用、管理、流通、消費に与えた影響を明らかにし、感染症にレジリエントな海洋資源管理のあり方を提示する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はCOVID-19よる感染抑止措置が海洋資源利用へ与えた影響を明らかにすることに焦点を当てた。そのため、8-9月、2-3月に中央ビサヤ地域の複数の村落にてフィールドワークを実施し、小規模漁業者、「商業漁業」従事者(艇体重量3GT以上の漁船を用いておこなう漁業)、仲買人、小売業者、NGO関係者、行政官、政治家を中心にインタビュー、そして漁撈活動等の参与観察を通してデータ収集に努めた。また、漁業水産資源庁(BFAR)、環境天然資源省(DENR)、観光省(DOT)の第7地域オフィス(中央ビサヤ地域を管掌)の協力を得て、主要市場における魚価、主要魚種の漁獲量、違法漁業の拿捕数、観光産業の動向といった統計データの収集にも努めた。
本年度の調査活動による成果は以下の通りである。 1)感染拡大抑止のためにおこなわれた都市部の「ロックダウン」措置が地方部での漁獲圧力を高めていた実態が見えてきた。ロックダウンにより経済活動が停滞した都市部では、失業した地方出身の労働者達が血縁・地縁を頼り地方村落へと移動し、小規模漁業への(再)参入していた。セブ南部の村落では、こうした新規参入者がパヤオ漁の重要な担い手とみなされ、日常的な漁撈活動に統合されていく過程が観察された。これはすなわち漁獲努力量の大幅な増加を意味し、地方での更なる資源減少が懸念される。 2)市町を跨いだ移動制限による警察業務の負担増加や、違法行為の意図的な見逃し方針により、小規模漁業、商業漁業による違法漁業も顕著に増加したことが明らかになった。こうした情報は、感染症のエンデミック、パンデミック時における資源管理のあり方を検討する上で大変意味深いものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画にしたがい、感染症に関する言説と実践の諸相、小規模漁業や「商業漁業」と水産バリューチェーンへの短期的影響についての分析は概ね順調に進んできた。しかし、2年目の取組内容として掲げてきた水産バリューチェーンへの中長期的影響や海洋資源管理レジームへの影響に関する分析は十分に進展していない。
また主要市場における魚価データの収集についても、政府機関内でデータが散逸している状況が見られ更なる情報収集が求められる。
加えて、これまでの調査で扱って魚種は総じて国内市場に向けたものであった。しかし、グローバル規模のサプライチェーンで扱われるマグロ類やカニ類の資源利用と資源管理に関する調査には手がつけられていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度(23年度)については、夏と春に現地でのフィールドワークを実施し、以下に関するデータ収集に努めたい。1)ロックダウン時に地方で増加した漁業者と漁業努力量のその後の展開、2)パンデミック、さらにはウクライナ戦争により混乱した世界経済動向が海洋保護に取り組む環境NGOの活動に及ぼした影響(寄付額、取り組み内容、プライオリティ、活動方針等)、3)グローバル市場への供給されるマグロ類や主に中国へ輸出されるハタ類やナマコといった水産物をめぐる、パンデミック時の資源利用と資源管理の実態。
|
Report
(2 results)
Research Products
(1 results)