Project/Area Number |
21K12430
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小柏 葉子 広島大学, 人間社会科学研究科(社)東千田, 教授 (30224091)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | パブリック・ディプロマシー / 地球温暖化問題 / 太平洋島嶼国 / トランスナショナル / 太平洋島嶼諸国 |
Outline of Research at the Start |
太平洋島嶼諸国は、地球温暖化による代表的「環境弱者」として、地球温暖化問題の重要なステークホルダーとみなされている。本研究は、国家間の外交交渉以外の場における地球温暖化問題をめぐる国際世論において、太平洋島嶼諸国が一定の存在感を持っている点に注目し、国家が自国の政策や立場などに対する国際的な支持や共感を広げるために、外国の市民に向けて働きかけるパブリック・ディプロマシーを分析概念として用いながら、地球温暖化問題をめぐる太平洋島嶼諸国の外国市民に向けた活動を考察し、国家間関係においては国際的な影響力に乏しい諸国がパブリック・ディプロマシーを効果的に用いるには何が必要とされるのか解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き、本研究のキ-概念であるパブリック・ディプロマシーの要素の1つとして、コミュニケーションに焦点をあて、当該国と外国市民との間でインターネット等を通じ、どのように双方向的な情報や意見の交換が行われているか、国内研究調査機関において、補充的な関連資料の調査を進めた。また、これらの文献を整理し、分析を行った。さらに、パブリック・ディプロマシーのいま1つの要素であるネットワークについて、当該国が外国市民に向けて働きかけを行う際、NGOなど国内外の非国家主体とどのように連携を図っているのか、関連文献を収集するとともに、国内研究調査機関において、関連資料の調査を実施し、整理、分析した。 こうしたこれまでの研究成果に基づき、地球温暖化問題をめぐって、オーストラリア、ニュージーランド両国と意見の対立をみた太平洋島嶼国が、地域機構である太平洋諸島フォーラムを通じたそれまでの外交活動から離脱し、それによって、オセアニアの地域秩序に変容がもたらされたことを分析して発表を行うとともに、これを論考としてまとめ、本研究課題である太平洋島嶼国による地球温暖化問題をめぐるパブリック・ディプロマシーの背景要因について明らかにした。さらに、本研究課題とも関連するオセアニアにおける地域秩序の変容を受け、新たな地域秩序構築の試みとして登場した「青い太平洋」戦略が、米中対立の文脈の中で、地球温暖化問題を柱の1つとして位置付けるなど、太平洋島嶼国にとってオポチュニティを広げる一方で、米中対立に巻き込まれるリスクを高めていることを考察した論考を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、これまで新型コロナウイルス感染症の蔓延のため、思うように行えなかった国内研究調査機関での資料調査を計画的に進めることができ、文献による考察の点では研究を進展させられた。ただ、海外における現地調査については、新型コロナウイルス感染症の蔓延の影響から、現地における医療体制が脆弱化し、新たな感染症の流行につながったことから、実施を見送ったため、その面では研究の進捗に遅れが出た。また、本研究課題に関する海外で出版予定だった複数の研究文献が大幅な刊行の遅れなどによって、本年度は入手することができなかったことも、海外での最新の研究動向を知るうえで研究の進捗に影響をもたらした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の研究の推進方策については、引き続き国内研究調査機関における資料調査を行って分析を進めていく予定である。また、海外現地調査も状況を見極めつつ、実施を図っていくつもりである。あわせて、本研究課題に関連する現地からの関係者が夏頃来日する予定であり、その際、聞き取り調査を行うことを検討している。本年度入手できなかった関連研究文献についても、今後は順次刊行される予定であり、最新の研究動向を把握し、本研究課題の推進に役立てることができるものと思われる。
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